連載・TOKYO PREMIUM BAKERIES|第21回 ヌクムク

連載・TOKYO PREMIUM BAKERIES|第21回 ヌクムク

カラダもよろこぶ、東京の自然派素材パン屋

第21回 nuku muku HOMEMADE Breads & Cakes|ヌクムク

こだわりとぬくもりがたっぷりの、丸っこいかたち

東京でほんとうに「上質でおいしいパン」を提供しているパン屋さんを紹介する連載の第21回は、西武池袋線中村橋駅から徒歩5分、目白通りを渡ったところにある『ヌクムク』。一見、アメリカンヴィンテージをあつかう雑貨屋さんにも見える外観ですが、店内にはこだわりの本格パンやお菓子がぎっしりです。

取材・文=戸川フユキ写真=高田みづほ

自分たちの居心地のいい空間でつくる、大好きなパンとお菓子

「自分たちの好きなものに囲まれて働ける、居心地のいい空間にしようと思っていたら、自然とこんなふうになったんです」と、オーナーの与儀高志シェフはにっこりと微笑む。『ヌクムク』の店内には、ヴィンテージのおもちゃや雑貨がところ狭しとディスプレイされ、それらとまったく違和感なく、本格的な長時間発酵のパンや、丁寧につくられたケーキや焼き菓子がならんでいる。店内に貼られたお知らせのイラストも、すべてがほのぼのとあたたかい雰囲気だ。

『ヌクムク』は、アパレル関係の会社員だった与儀氏が、青山『ドンク』、中目黒『ナイーフ』、練馬『アンジェリーナ』、赤坂『ペルティエ』など、都内実力店で修行ののちに、奥さまの地元の町である中村橋に2006年8月オープンした。現在、奥さまはパティシエとしてお菓子を、また奥さまのお母さまは販売を担当し、家族みんなで“ぬくもりのあるお店づくり”を実現している。店名の『ヌクムク』も、「ぬくもり」という言葉からの発想だそうだ。

店内には、液種(だね)を使って生地を熟成させ焼きあがるまで4日かかるクロワッサン、長時間発酵のバゲットや自家製ライ麦酵母でつくるライ麦70パーセントのドイツパン、自家製のカスタードがたっぷり入ったクリームパンからサンドウィッチや人気のチーズケーキ、プリンなど、いろいろなパンやお菓子が揃っている。もちろん素材も、国産の小麦や、奄美大島のきび砂糖、沖縄産天日塩、フレッシュクリームなど、充分吟味されたものを使用する。

与儀シェフに“こだわり”をたずねると、「パン屋として味をおいしくするのは当たり前ですが、ほかのことも全部なんです」と答えが返ってきた。「まず、パンだけではなく、いろいろなものが揃っているお店にしたかったんです。それと無骨なものやトゲトゲした感じのものは、店に置きたくなくて。たとえダンボール箱ひとつであっても……」と言う。

そう言われてみたら、奥の棚に置かれた箱や机に敷かれた布なども、すべてデザインを吟味したうえで選ばれたものなのがわかる。またクロワッッサンやクリームパンなど多くのパンが、愛嬌のある丸っこいかたちなのもうなずける。

トップ写真のクロワッサンは、いままで取材もふくめて訪れたパン屋さんのなかで一番丸々としている。液種をおこしてから生地を充分熟成させ、焼きあがるまでに4日かかる。発酵バターとサワークリーム使用で、卵は入っていないタイプ。バターの香りがよく、ザクザクした食感とほんのりとした甘さが特長だ。

また自家製のライ麦酵母のドイツパンも人気。ライ麦70パーセントでもっちりとした食感。日が経つごとに熟成が進み旨味が増す。くるみ&レーズン、チョコレート&ヘーゼルナッツなど、中身は日替わりで数種類が焼かれる。パティシエの奥さまがつくる「焼きチーズケーキ」は、ラムレーズンがアクセント。ホームメイドタイプでしっとりとなめらか、やさしい味わいだ。

『ヌクムク』では、ふんわりとやわらかいパンやこわれやすいものは、つぶれないように別にして、マチのある紙袋(パンのイラストのワンポイントスタンプが押された)に入れてくれる。「パンの持って帰り方」にまでこだわりと愛情が感じられ、これは買う側にとってもうれしい心づかいだ。

もちろん、かわいらしいだけではない、パンづくりのたしかな技術と丁寧な仕事、そして日々の積み重ねが、『ヌクムク』の人気を支えているのはいうまでもない。自分の店をもち、「やりたいこと」を「自分の好きな方法」で「こだわりをもって表現する」とは、どんなことかがよくわかる。なにより「日々、楽しんでます」と微笑む、与儀シェフの笑顔が印象的だ。

nuku muku HOMEMADE Breads & Cakes
『ヌクムク』

東京都練馬区貫井5-1-8
Tel. 03-3825-5404
営業時間|10:00~19:00
月曜、第2・4火曜日(火曜不定休あり)
西武池袋線、中村橋駅下車徒歩5分
http://nukumuku.com/