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2020年12月30日

ブライトリングの次世代型ウオッチボックスが“環境と経済に好影響を与える技術”に認定|BREITLING

BREITLING|ブライトリング

ブライトリングとの関係をソーラー・インパルス財団代表ベルトラン・ピカールさんが語る

ブライトリングは、rPET(100%リサイクルPET)を使った新しいウオッチボックスを開発。2021年の春から世界で導入がスタートする。これに先駆けて、この取り組みが“環境と経済に好影響を与える技術”として、ソーラー・インパルス財団から「Efficient Solution Label」認定を受けた。認定を受けた新しいウオッチボックスについて、そして財団代表のベルトラン・ピカール氏にブライトリングとの関係を聞いた。

Text by KOIZUMI Yoko|Edit by TSUCHIDA Takashi

新しい発想で誕生したウオッチボックス

環境負荷を軽減し、美しい地球を守るという目的のもと、ブライトリングが取り組んだのが環境配慮型ウオッチボックスの開発だ。ここでいうウオッチボックスとは、購入した時計を収納する箱のことである。多くの高級ブランドでは、重厚で、趣向を凝らした、しっかりした造りの箱が用意されているのだが、ブライトリングはこの慣例を大きく変更した。
従来パッケージでは、外箱、内箱、ウオッチピロー、トラベルポーチほか、国際保証書、クロノメーター認定書、取扱説明書、またモデルによっては回転計算尺の使い方がひとつのユニットとなって同梱されている。それらを今回、ボックス、ウオッチピロー、クイックスタートガイドの3点に凝縮したのである。
最大のポイントはボックスとウオッチピローに使用する素材すべてで「rPET(100%リサイクルPET)」を採用したこと、そして写真のように平らな状態に展開できる設計にしたことにある。
材料をひとつにすることで調達行程を簡便化するだけでなく、ムダを排し、ゴミも削減する効果をもたらした。不要になれば再びリサイクルするのも簡単だ。またボックスサイズを従来の約半分にすることで材料そのものを軽減している。
そしてボタンを外せば板状にできる設計により、スペース効率が向上。一度に運搬できるボックス数を増やし、輸送回数を減らすことにつなげている。さらには輸送ルートを見直し、製造施設から直接世界の主要都市へ搬送するようにしたことで、輸送距離は平均30%程度軽減。輸送時における二酸化炭素排出量は、従来と比べて60%以上の軽減になったという。
ウオッチピローは広げるとトラベルポーチとして使え、購入時はボックス+ウオッチピロー、またはウオッチピローのみのどちらかを選択できる。ユーザーに対して環境保全への意識を刺激する仕組みを有していることも意義あることだろう。
ジョージ・カーンCEOも「当初の目的以上の成果をもたらすボックスが完成した」と自信を見せた。「もちろん、従来のボックスを選択することも可能です。その場合は、環境負荷への影響を相殺するため、SUGiへの任意の募金をお勧めしています」と続けた。SUGiとは種の多様性の復元を目的に活動するベンチャーで、募金は世界各地にあるSUGiアーバンフォレストの生態系再生のために使用される。

時計のパッケージ初となる「Efficient Solution Label」認定

ブライトリングの新ウオッチボックスは、ソーラー・インパルス財団が寄与する「Efficient Solution Label」認定を受けた。
ソーラー・インパルス財団とは、サスティナブルな経済成長を実現するための有益な解決方法を、次のフェーズに押し上げることを目的に2004年に設立されている。同財団では、収益を出しながら環境保護を実現した1000のソリューションを選択しており、認定されたソリューションに対して、「Efficient Solution Label」を寄与している。Efficientとは“有益”、Solutionとは“解決”という意味を持つ。直訳すれば、“有益な解決法として認証”という内容になる。現在、環境を保護する商品やプロセスの収益性を保証する唯一の評価システムとなっている。
この財団を立ち上げたのがベルトラン・ピカール氏だ。
 
ピカール氏はパイロット、精神科医、そして冒険家という人物だ。気球による初の無着陸世界一周飛行を達成した人物でもある。そのときの愛機が「ブライトリング オービター3」である。ちなみに祖父のオーギュスト・ピカールは気球飛行家、深海探検者であり、父のジャック・ピカールは海洋探検者という冒険家一家である。
無着陸世界一周飛行プロジェクトはブライトリングがスポンサーとなって実施され、1997年、1998年に続き、3回目の挑戦となった1999年に成功を成し遂げている。
「1992年、初めての熱気球での大西洋横断レースで優勝するためにブライトリングがサポートをしてくれたことが関係の始まりです。約30年にわたる友情と忠実な関係を築いてきました。その後ブライトリングは、ブライトリング オービター 3での3度目の挑戦や、人道支援団体『Winds of Hope』の共同設立、現在では環境保護ソリューションを推進する『ソーラー・インパルス財団』を支援してくれています」
2019年3月21日、ベルトラン・ピカール氏とブライアン・ジョーンズ氏は、熱気球による無着陸世界一周飛行に人類で初めて成功。その際に使用されていた熱気球が「ブライトリング オービター3」である。
ブライトリングは漁網をリサイクルしたナイロンストラップをパートナーと共同開発し、2019年に製品化。また今回は再生ペットを採用したウオッチボックスを製作し、製品を通して環境保全活動を実践してきた。
「ブライトリングはテクノロジーに関連するあらゆる分野でパイオニア精神を持っています。私が素晴らしいと思うのが、環境保護のためにテクノロジーを利用していること、そしてストラップやウオッチボックスを作ることで業界を牽引している点です。いままで誰もこうしたボックスを作ろうとは思っていなかったのですから、その意義は大きいと思いますね」
『Efficient Solution Label』の選定はどうやって行われているのだろうか。
「私たちの専門家グループによる専門的なプロセスを経て初めて認定されます。420人の独立した専門家グループが、持ち込まれるすべてのアイデアに対して3つの視点から検討します」
視点のひとつが信頼性。すぐにでも商品化できること、明確なコンセプトを持ち、生産者と利用者の両者に有益であること。ふたつ目が雇用を創生し、経済的に有益であり、節約を可能にすること、そして3つ目が環境保護を実現していること。この3つを満たしてはじめてラベルが授与される。
このラベルの利点は先に述べたように、環境保護と収益性をともに実現していることを証明することだ。そのためスタートアップの場合には投資家や顧客を見つけることも可能だ。そして世界中の政府に対して「環境破壊よりも保護の方が利益を生むと証明することができることも大きい」と、ピカール氏。
ただ今回の選定に対して、ブライトリングとの長年のコミュニケーションを考えると何らかの“忖度”があったのかと勘繰りたくなる。だが、その問いをピカール氏は一笑に付した。
「専門家全員が基準をすべて満たしていると判断したからです。資源利用という点で大変優れています。新しい素材を作ったのではなく、いずれ捨てられ、粉々にされ、燃やされてしまう素材を使うことは、明らかに経済サイクルに組み込まれています。またフラットになるという設計も運搬時のコスト削減に大いに役立っています。私はこのボックスをとても気に入ってます。それは環境保全という視点だけでなく、何と言っても美しくてモダンだからです。環境保護を実現していて、美しいことが両立していることが素晴らしいのです。私はブライトリングの時計を20本ほど持っていますが、実は屋根裏の引き出しは巨大な箱でいっぱいになっているんです。(フラットになることで)引き出しがきれいになるのも嬉しいですね(笑)」

業界を牽引し、世界を啓蒙する

そしてピカール氏は、優れた製品には消費者を啓蒙する効果もあると考えている。
「さまざまな企業は社会に対して果たすべき役割があると思います。ブライトリングは高級時計業界に対して果たすべき役割があり、手本となる役割があります。ブライトリングの時計を購入するのは、その製品が好きだとか、憧れのブランドであるとか、ブランドに自分のアイデンティティを重ね合わせるからでしょう。ブライトリング・ユーザーがボックスを通じて、よりエコ・フレンドリーな道を拓く先駆者になってくれれば、消費者に対して環境保護を啓蒙することができるようになります。また、多くの高級時計ブランドに対して、環境保護に参加することができるというメッセージにもなり、後に続きやすくなると思います」
ブライトリングのウオッチボックスは755番目のソリューションであり、現在、認定を受けているのは897になる(2020年12月25日現在)。
「1000になったら、(ソーラー・インパルスに続き)もう一度、世界一周することを考えています。それはつまりオービターやソーラー・インパルスで旅するのではなく、『ソリューションで世界一周』をすることが目的です。つまり、さまざまなソリューションを大企業や行政機関、国連や政府に提案していきたいのです。そしてより積極的な環境・エネルギー政策のために、いま世界にはどんなツールが揃っているのか、雇用を創出し、経済発展を可能にしながら環境保護ができるソリューションが存在することを彼らに示したいのです」
そしてブライトリングとは今後も変わらぬコミュニケーションを取っていきたいと、ピカール氏。
ベルトラン・ピカール氏(左)とジョージ・カーンCEO。
「私たちには友情があります。財団やほかのプロジェクトでもともに発展してきたいと考えています。オービターのときのように、思わぬところで新たな夢に出合うかもしれませんからね。それに再生エネルギーを手掛けるという大きなチャレンジもありますから、ブライトリングとともに歩み続けたいと思っています」
問い合わせ先

ブライトリング・ジャパン
Tel.0120-105-707
https://www.breitling.com/jp-ja/

                      
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