シャンパーニュで乾杯! それは幸せを確認し合うこと|Nicolas Feuillatte
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2023年11月20日

シャンパーニュで乾杯! それは幸せを確認し合うこと|Nicolas Feuillatte

Nicolas Feuillatte|ニコラ・フィアット

「ニコラ・フィアット テイスティングセッション」で感じたのは、シャンパーニュの特別感はやっぱりシャンパーニュでなくっちゃだめなんだということ

シャンパーニュの価格がぐいぐいと上がっています。困りますよね、ほんっとに。でもこれ円安だけが理由ではありません。世界中でシャンパーニュの需要が高まっているから。需要と供給のバランスがますます傾いているからなんです。そんななかで、スパークリングワインは他にもあるよとばかりに、スペインのカヴァやイタリアのフランチャコルタなど、さまざまなバブルズたちがいまでは日本に紹介されています。なかにはシャンパーニュと肩を並べそうな美味しいものもあるにはあるんですが、やっぱりシャンパーニュは美味しい。ちょっと別格。比べるものではないと、最近、私は考えを改めています。

Text by TSUCHIDA Takashi

シャンパーニュ最大、5000を越える農家と連携するビッグメゾン「ニコラ・フィアット」

皆さんは「ニコラ・フィアット」というシャンパーニュブランドをご存じですか? 1976年創業というシャンパーニュでは最も若いメゾンながら、フランス第1位、世界で第3位の販売数を誇っています。
私はこのブランドのシャンパーニュを、よく飛行機の機内で楽しんできました。コロナ後の今も提供が続いているのか確かめられていないのですが(すみません!)、かつてフィンランド航空ではエコノミー席からでもニコラ・フィアットの小瓶を購入することができたのです。お金を支払って購入できるので、もうちょっと飲みたいときも気兼ねなくCAさんに頼めたことを覚えています。ほかにも、エアフランスでも採用されるなど、ニコラ・フィアットは、機内のシャンパーニュとして複数のエアラインに採用されてきた実績があります。
またホテルのプールサイドシャンパーニュに、ニコラ・フィアットが採用されているケースも少なくありません。それはシャンパーニュの上質な味わいを、気取らずカジュアルに演出するこのブランドの性格と合致しているからでしょう。そもそもフランスや世界で抜群の販売数を誇る理由は、シャンパーニュクオリティをニーズに合わせてフレキシブルに提供してきたからにほかなりません。家飲み用に価格を抑えた製品を造り出したり、パーティ用に華やかなアートボトルを提案したりと、小気味良いアイデアで世界のシャンパーニュラヴァーの心を掴んできたのです。
ところが私、今回のティスティングイベントで、ニコラ・フィアットに対する考えを一部、改めなければならないと思いました。このブランドは、カジュアルさだけではなかったのです。
左から順に、「レゼルヴ・エクスクルーシヴ ブリュット」(※マグナム)、「ブラン・ド・ブラン 2017」、「レゼルヴ・エクスクルーシヴ ロゼ」、「パルム・ドール ブリュット 2008」。
私が最も驚いたのは、「ブラン・ド・ブラン 2017」。この2017年は、シャンパーニュ地方のブドウにとっては厳しい天候だったようですが、それを見事に生き抜いたのがシャルドネ。そしてシャルドネ100%で造ったこの銘柄は、日本酒の純米大吟醸のように、芳香なタッチで官能の世界へと誘ってくれます。ところが、その香りは、決して食材を邪魔しません。
飲み心地はあくまで軽やかで、香りがまるで第3のソースのように食材をグレードアップさせ、格別な食体験へと成就するのです。この幸せな感覚は、紛れもなく伝統的なシャンパーニュメゾンのそれと同等。これがニコラ・フィアット? と思ったのは、あの場で決して私だけではなかったはずです。むしろ、積極的にとてもとてもおいしい!
「渡月亭」にて提供されたランチメニューの八寸。見た目通りの繊細で滋味深い味わい。
さて、今回のティスティングイベントは目黒雅叙園「渡月亭」で行われたので、提供された料理も当然和食。そのお椀メニューに抜群のマリアージュを見せたのは「レゼルヴ・エクスクルーシヴ ロゼ」でした。ロゼは出汁と合う! 製造工程でブドウの皮だけでなく梗(※くき部分)も一緒に醸造していることが効くのでしょう、染み出すような滋味深い味わいにとてもよくマッチするのです。
ロゼが出汁に合うのは、和食とシャンパーニュの“テッパン”ではあるのですが、雅叙園クラスの非常に繊細な出汁と、ニコラ・フィアットのロゼがしっかりと噛み合う事実は、やはりこのブランドの実力を物語っていると思うのですが、いかがでしょうか。
パルム・ドール ブリュット 2008
そして極めつけは、10年を超えた長熟ヴィンテージの「パルム・ドール ブリュット 2008」。この長さの熟成に耐えられるのは、ブドウが優れている証拠であり、すなわちこのブランドの実力をそのまま示すもの。この凄みがあるからこそ、ブランドは多彩なテイストを生み出しているのであり、カジュアルなアイテムにも品格を備えているのだと思います。
パルム・ドールとなるとお値段が張りますが、グラン・クリュ畑の高貴なブドウを多く使い、時間をかけて造っているので当然のこと。他のメゾンのプレステージクラスキュベと同様、ニコラ・フィアットのプレステージクラスも、人生のうちで幾つか巡ってくるチャンスを決して逃さず、味わってみてほしいと思います。
ニコラ・フィアット 醸造最高責任者 ギョーム・ロフィアンさん。
これだけの醸造をやってのけるのですから、このブランドの醸造長はさぞかし気難しいか、と思いきや、めっちゃフランク! おそらくワインのことを本格的に語り始めたら止まらなくなる人だと思いますが、真面目でありつつも、とても普通の人で、ご本人曰く「日本にも何度か来たことあるけど、鉄板焼のプレゼンテーションはアメイジング!」だそうです。いや、普通だからこそ、一般の飲み手である私たちの機微が分かるんだろうなと思いました。
そう考えが進んだのは、ブランドの中心に立つ「レゼルヴ・エクスクルーシヴ ブリュット」が程よい立ち位置だからです。ブラン・ド・ブランのキレと、ロゼのまろみのちょうど中間。酸味も強すぎず、弱すぎず。コクはあるけど、ひつこくない。”ザッツ、万人受けするシャンパーニュ”という様相です。さすが、ギョームさん、できる人だな、と思いました。勝手に。
当たり前ですが、お酒は人が造っています。そしてどの製造工程においても、人が味わいを方向づけています。ゆえに、誰が造っているのかが、とても大事。その意味でも、ギョームさんの造るシャンパーニュは、私はこれからも飲み続けたい。そう思った次第です。
問い合わせ先

ニコラ・フィアット
https://www.nicolas-feuillatte.com/jp/

                      
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