スタイルのある生活と、サステナブルなアフリカ支援をスマートに解決|CLOUDY
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2022年4月8日

スタイルのある生活と、サステナブルなアフリカ支援をスマートに解決|CLOUDY

CLOUDY|クラウディ

株式会社DOYA代表取締役、NPO法人Doooooooo代表、銅冶勇人さんインタビュー

東京・渋谷RAYARD MIYASHITA PARK内にあるアパレルブランド「CLOUDY(クラウディ)」を訪れたのは、まだ冬の肌寒い朝のこと。しかし当日の灰色の空とは打って変わり、「CLOUDY」の店舗一角は、すでに春を迎えているかのごとくパワフルだ。このブランドは、アフリカンテキスタイルを使用したアイテムを展開、生命力に満ち溢れた彩りは、見ているだけで縮こまった身体と気持ちをほぐしていく。

Photographs by OHTAKI Kaku | Text by KOIZUMI Yoko | Edit by TSUCHIDA Takashi

“株式会社”と“NPO法人”のハイブリッド

「CLOUDY」は、株式会社DOYAのアパレルブランドであると同時に、さらにふたつの役割を担う。それは、ガーナやケニアでの雇用創出であり、売り上げの一部を認定特定非営利活動(NPO)法人「Doooooooo(ドゥ)」の活動資金に充てることだ。同法人は、主にアフリカの教育・雇用・健康のサポート、環境問題解決を軸に活動を行っている。
この“株式会社DOYAの代表取締役社長”と“NPO法人「Doooooooo」の代表”を兼任するのが銅冶勇人(どうや・ゆうと)さんだ。銅冶さんは2010年、会社員時代に「Doooooooo」を、退職後の2015年に「CLOUDY」を立ち上げている。
銅冶勇人(どうや・ゆうと)
株式会社DOYA代表取締役社長、特定非営利活動法人Doooooooo代表
東京生まれ。2008年、慶應義塾大学経済学部卒業後、ゴールドマン・サックス証券株式会社に入社。2010年特定非営利活動法人
Doooooooo創立。2015年同証券会社を退職し、翌年株式会社DOYA創立。同年9月アパレルブランドCLOUDY創設。
WEB http://cloudy-tokyo.com/
銅冶さんが描いたビジョンはこうだ。
・アフリカンテキスタイルを使ったアパレルブランド「CLOUDY」を作る。
・「CLOUDY」の売り上げの一部をNPO法人に還元し、アフリカでのさまざまな活動に還元していく。
・「CLOUDY」の自社工場を設立し、現地女性や障害者を中心に雇用を創出する。
・学校を建設、そこで学んだ子どもたちが手に職をつけ、将来の可能性を描けるようにする。
この循環型ビジネスを確立するうえで、NPO法人と株式会社がともに存在し、継続的に活動資金を得るハイブリッド型経営を行う複合組織をつくり上げたのである。すでに自社工場も学校も設立した。
さて、アフリカ社会が抱える問題を解決する目的でつくられた「CLOUDY」だが、店頭で問題提起を連想させる写真、文章はひとつもない。それは「アパレルブランドとして戦いたい」という銅冶さんの思いがあるからだ。
「お客さまにとって“魅力ある製品”であることが第一前提。忖度なく品物を見てもらえる状況を用意しておきたいんです。そのうえで持続的に売り上げをつくることがこのブランドの存在価値であり、アフリカに対する継続的な活動に繋がりますから」

ガーナの女性に就労の機会をつくる

「現地では、女性が就労しにくい状況があります。いまだ社会が、女性に対して格差を押し付けている部分があるのだと思います。人間として、尊重されていないんです。また学校に行けなくなる理由も、圧倒的に女性の方が多い。就労の機会を増やすことは、彼ら彼女らの子どもが継続的に教育を受けられる環境づくりにとっても大切なんです」
2020年からは現地でデザイナーを雇用。現在5人のデザイナーが毎月30~50の新たなCLOUDYオリジナルのテキスタイル (布等に使われる柄) を描いている。縫製技術も向上し、複雑な製品も販売できるようになったそうだが、一方で弊害もあると銅冶さんは苦笑い。
「勝手にアレンジを利かせて、自分の息子のイニシャルを入れたりと、まったく製品にできないモノが出来上がってくることもあるんです」
しかしそんな工夫の数々は、彼女たちの意欲の表れ。銅冶さん曰く、「その気持ちこそが、従業員たちの成長の証」とも。とはいえ、彼らに近づくほど、彼らを信じるほど、想定しないことが起こるのだと嘆息する。過去には自社工場のミシンを、その日の食料のために従業員に売られてしまったこともある。
「さすがにミシン事件のときは辛かった(笑)。でも彼らと同じ目線でものごとを考えたときに、頼れる人もおらず、お腹を空かせた子どもがいたら、僕もミシンを売るでしょう。日本における正誤のレベルや価値観で、彼ら彼女らの行動を測ってはいけないんです」
銅冶さんは日本でも同様なことが起こっていると続ける。
「世代間ギャップとか、ゆとり教育という言葉で勝手にカテゴリー分けされて、『だからお前とは方向性が合わない』と結論づけることがありますが、その前に話し合ったのか? ちゃんとコミュニケーションを取ったのか?  と思うんです。僕がアフリカで体験したのはまさに同じことでした」
薬品を使った染色は大量に水を使うだけでなく、その汚水も問題となっている。そのため「CLOUDY」のTシャツやスウェットでは無水染色という素材を採用。また写真のMA-1の表地のナイロンにはペットボトルを原料としたリサイクル素材を使用している。裏地はテキスタイルデザイナーによるオリジナル柄だ。銅冶さんが着ているジャケットの柄はガーナ北部のボルガタンガで生産される伝統的なバスケットの編み方をモチーフに描かれたテキスタイルで、絆を意味しているそう。

「いま動き出そう」としている人へ

銅冶さんが「いま動き出そう」としている人へ、何か伝えたいことはあるだろうか。
「情報量が多いなかで、どうしても成功している人がフォーカスされますが、プロセスが美化されていたり、成功例が肥大化しているように感じ、そういう話に触れるほどに、最初のスタートが切りづらい世の中だと感じます。ただし何かを始めたら、想定外の何かが起こるんです。そして、その起こった何かで、また次が展開するものです。ですからアドバイスになるかどうかわかりませんが『考える前にまず何事もやってみよう』ということですね。
あとは『人のせいにしない』。SNS とか匿名性が高い情報を発信・受信し続けていることで、自分の発言に責任を持たない人が増えてきているように思います。すぐに“〇〇が言ってた”“サイトに書いてあった”と言い訳する。そうではなく、自分の頭で結論を導いていくことが大事なんだと、僕は思います」
問い合わせ先

CLOUDY
Tel.03-6450-5110
https://cloudy-tokyo.com/

                      
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