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抽象的でフローラルな香りをやさしく包む「エンプティネス」
バラでもない、ジャスミンでも、フリージアでもない。これは想像上の花「ウッディーアンバー」の香り。何とも瑞々しいこの香りを発するパフュームの名は「KENZOPOWER」。フランス屈指の調香師が手がけ、日本を代表するデザイナーがボトルとパッケージをデザインした。鏡のようなテクスチャーに、シンプルな曲線を用いたミニマルなフォルム。そのボトルが収められた箱は店頭に並べられたとき、空間に光をもを織りまぜる。 オウプナーズではデザインを担当した原研哉氏にお話をうかがった。視覚と嗅覚をやさしく刺激する「KENZO POWER」の魅力がここに明らかになる。 文=武井正樹
Photo by JAMANDFIX
撮影協力=ギンザ・グラフィック・ギャラリー
──「KENZOPOWER」のボトルとパッケージのデザインを手がけることになった経緯についてお聞かせください 今回の「KENZOPOWER」のひとつ前のプロジェクト「TOKYO BY KENZO」(2007年)の時に、KENZOのクリエイティブ・ディレクター、パトリック・グエージに声をかけていただいたのが、そもそものはじまりでした。 「TOKYO BY KENZO」はコンペティションでした。ボトルのデザインが「竹」をモチーフにしたものに決まっており、そこに「東京の夜の木のイメージ」をデザインするというやや難解な内容でした。
──香水をおさめたこちらのボトルですが、以前、原さんがデザインされた日本酒のボトル「白金」(はっきん)をコンパクトにしたそうですね パトリックからは「白金のボトルのような」という要望が今回の依頼のなかにありました。といわれてもおなじデザインを使うわけにはいかないと、新たにデザインに取りかかりました。 しかし発想を変えて、このメタリックでミニマルなカタチは、自分にとってはボトルのイメージの原型のようなもので、あえておなじデザインを使うことのほうがラディカルでいいかもしれない、と思うようになりました。日本の酒とフランスの香水におなじデザインを供給し、それで両社が満足するならば、その物語がいちばんおもしろいなと。 すぐに「白金」の製造元である長野県の小布施堂に連絡し、その旨をお話しました。すると即座に「おもしろい」といってくださり、デザインはそのまま、「白金」を小さくして、今回の「KENZOPOWER」のボトルが誕生しました。
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