「hammock」LOW TABLE / E&Y.2009
2009.10.23
新作「hammock」発表&エキシビション「KOICHI FUTATSUMATA EXHIBITION」開催
デザイナー・二俣公一 インタビュー
空間デザインをベースに、建築・家具・プロダクトの境界線を超えたクリエイションを見せる、デザイナー・二俣公一。「CASE-REAL(ケース・リアル)」の名のもとに活動開始から11年目を迎えた今秋、「E&Y new collection 2009」として新作プロダクト「hammock」を発表する。
あわせて自身の名義では初となるエキシビション「KOICHI FUTATSUMATA EXHIBITION」を開催(「DESIGNTIDE TOKYO 2009」エクステンション会場)。本展ではインテリアオブジェクトにフォーカスした約11点が展示される。
そして今回、エキシビションの準備中にもかかわらず、二俣氏からお話を伺うことができた。自身の深淵にある感覚から、妥協のない三次元の表現へ
──そして本展に込められた思いとは?
Text by OPENERS
活動から約10年、4年前の転機、そして2009年秋、新作「hammock」発表
──二俣さんが「CASE-REAL」として活動をはじめたのが1998年。この年は東京のデザインイベントの幕開けといってもいい年でした。「CASE-REAL」も「HAPPENING 1998」(デザインイベントの先駆者的存在、CASE-REALは表参道・同潤会アパートにて展示)に参加されて、今年は「DESIGNTIDE TOKYO 2009」での新作発表と、この約10年における、デザインイベントとご自身のかかわりについてお聞かせください
二俣公一 「HAPPENING」には1998年から2000年まで出展し、つづけて「デザイナーズブロック」(インテリアショップ「IDEE」を中心に開催されたデザインイベント)にも参加、いま振り返ると若さだけが先走って、当時は勢いだけでやっていましたね。ただ、「やらなきゃはじまらない」という意識はあって、何年か出展してみたものの、結果、自分たちの未熟さを実感して……。さらにはイベントに参加して、その反応を待つというのに、やがて空虚さを覚えるようになってしまいました。その後はこうしたイベントには参加せず、空間設計の仕事に重きを置き、福岡で地味にやってきました。
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「CONCENTS」ELECTORICAL SOCKET,1998
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しかし心境が変わったのが4年前。当時「E&Y」のコレクション担当だった松澤 剛さん(現・E&Y代表、DESIGNTIDE TOKYO ディレクターの一人)からお話をいただいたのがきっかけです。それからはインテリアのオブジェクツにも気持ちが入り込んでいきましたし、個人的にも確信がありました。 そして誕生したのがコートハンガー「4FB」。2007年の「DESIGNTIDE」、2008年の「ミラノサローネ」にて発表したものです。 そして活動から約10年経ったいま、改めて新作を出す機会を、さらには公では初となる個人のエキシビションをさせていただくことになりました。
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──(インタビューに同席していた)松澤さんにもお聞きしますが、二俣さんにオファーをした経緯、また客観的にご覧になって、この10年間で二俣さんのクリエイションで変化を感じた点は?
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松澤 剛 わたしたち「E&Y」と二俣さんとのかかわりは、2000年に当時福岡にあった私たちのショールームで、「CASE-REAL」名義で展示をしていただいたのがはじまりです。当時、海外のデザイン・デザイナー中心に意識が向かうことに対しての空しさがありました。モノをつくるという環境を含めて、海外のデザイナーはたしかに優秀です。しかし日本人にも多くの優秀なデザイナーがいるので、そこにも注目してほしいと切に願っていました。
そんな矢先、2005年にE&Yのコレクション発表の巡回展を福岡で開催したのですが、そのとき二俣さんにお会いして、自分がずっと思っていたことをお話させていただきました。思えばそれがE&Yからコレクションを発表するきっかけでしたね。
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「4FB」COAT HANGER / E&Y,2007
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二俣さんのクリエイションに関しては……この10年でスキル、言語といった表現方法の経験値みたいなものは確実に上がっていると思いますが、本質はまったく変わっていないように感じます。二俣さんが手がけられたものに対して、一番多く形容されるのが「きれい」「ミニマル」という言葉。しかし彼自身、もともとはアヴァンギャルドな考えの持ち主で、「感覚的な部分」が強い方だと思います。こういった面が二俣さんの変換装置を通して、現在のクリエイションに具現化し、その「共存させる」様子は、やはり上手いなと思いますね。
新作「hammock」は、ハンモックみたいなものが、ガラス越しに浮いているような
二俣 たしかに「感覚的な部分」は強いですね。自分は三次元でモノをつくることが使命でしたので、アイデアありきではダメだと思っています。最初は「感覚的な部分」を最終的に落とし込む段階では、自分の中でハードルがあって。自分の好き嫌いを含めて、このハードルを乗り越えることができなかったら、そのコンセプトを生む意味もないと思っています。ですから「感覚的な部分」を三次元に具現化することにかんしては、相当考えますね。
デザインする際は、「感覚的な部分」を形にすることにこだわりながらも、機能を追求したリアルな部分にも目が離せない。自分のなかで相反するものが頭の中で凝縮している感じです。とにかく気になるパーツが多すぎて、しかもそれを全部まとめないと納得できないんです。だから今回の新作もすごく時間がかかりましたね。
──それでは今回発表される新作「hammock」についてお聞きしたいと思います。まだ詳細が明らかにされていないのですが……こちらはどのようなモノでしょうか?
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「hammock」LOW TABLE / E&Y.2009
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二俣 「hammock」ですが、じつのところ、デザインとしては「4FB」よりも前に「E&Y」に提案していたものです。3年くらい僕のなかでも、松澤さんのなかでもあたためていたもので──
物理的には、ハンモックみたいなものが、ガラス越しに浮いているようなもの。用途でいうとローテーブルになります。
ガラストップのため、シャープな印象ですが、ハンモックの形状がきれいなカーブを描いていて、またハンモックがラタンでできているため、優しい質感が出ているかと思います。実際に似たようなモノもなかったと思いますし、造形としても新鮮かと。
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──お話だけでもいろいろ想像してしまいますが……とにかく23日の発表を楽しみにしています。
つづいて二俣さんから見た「E&Y」というレーベルついてお聞きしたいと思います。1985年からアートとデザインを縦横無尽に編集して、独自のフィルターでプロダクトに落とし込んでいく「E&Y」は、国内でも特異なファニチャーレーベルだと思います。「デザイン」に特化したレーベルとしての魅力は、二俣さんが活動をはじめたときから変わらないと思いますが、いかがですか?
二俣 そうですね。「E&Y」のコレクションは、かつてのコレクションも同様に、アートではないんですがアートなんですよ……言い方がおかしいかもしれませんが。
プロダクトとして日常的に機能し、購入できる価格帯の決定、流通されるものとして設定、こういう大前提があるにもかかわらず、僕のなかではアートでもあるんです。もっというとアートが安く買える。しかも実用性まである。「E&Y」のコレクションを僕のなかではこのように認識しています。ですから先ほど話にあがった「感覚的な部分」を100%維持しながら、そこに機能を含めたリアリティを完璧に合致させ、デザインを普及させることができる。これには非常にレベルの高い造形能力が要求され、さらには全体を見るというバランス感覚が要求されますが、「E&Y」はそれができる唯一のレーベルだと思います。
今回、自分の活動の軌跡とともに、「hammock」を発表できることは、僕自身たいへん光栄に思います。
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「ELEKIT TUBE AMP」TUBE AMPLIFIER / EK JAPAN,2008
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──最後にありきたりな質問ですが、デザイナーとして目指す先、今後の抱負をお聞かせください
二俣 人のひらめきや言葉にならないイメージやそういった人間臭いものには想像を絶するパワーがあると思っています。僕はそういうものが好きなんです。作品がシンプルだからそういうふうに感じない方も多いと思いますが、発想の原点はそういうところにいつもあります。そして、そういうファーストイメージは相応にして世の中には不適合なことが多い。しかし、それをうまくコントロールしながら美しいカタチで世の中に適合させしっかり機能するものにできれば、それは唯一無二なモノになるのではないでしょうか。そして好き嫌いも含め、そういうデザインは人の心に残るのではないかと思っています。
モノとして柔(やわ)でない岩のように揺るぎない強さと、人間らしい儚さや繊細さをもちあわせるような、そんな美しい存在を生み出してゆきたいですね。
──ありがとうございました
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二俣公一(KOICHI FUTATSUMATA)
デザイナー。CASE-REAL主宰。1975年 鹿児島生まれ。98年に活動を開始し、現在は福岡と東京が拠点。人為的な精密さとラフさをあわせもつ独特の造形観から生まれるデザインワークはつねにシンプルで、静かながら力強い。
http://www.casereal.com
http://www.futatsumata.com
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2009/2010 E&Y NEW COLLECTION
KOICHI FUTATSUMATA EXHIBITION
会期|2009年10月23日(金)〜11月13日(金)
時間|11:00〜19:00
会場|E&Y SHOWROOM
東京都目黒区駒場1-32-17
お問い合わせ
E&Y
Tel. 03-3481-5518
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