「着物」より「おしゃれ」が好きだ。ROBE JAPONICA ウエオカ タロウ氏インタビュー | MEDICOM TOY
DESIGN / FEATURES
2022年2月3日

「着物」より「おしゃれ」が好きだ。ROBE JAPONICA ウエオカ タロウ氏インタビュー | MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

原宿発、着物・浴衣ブランドとのコラボレーション

東京・原宿に構える着物・浴衣ブランド「ROBE JAPONICA(ローブ・ジャポニカ)」が、メディコム・トイとのコラボレーションでBE@RBRICKになって登場。さらにオリジナルのテキスタイル(織物・布地)を軸に日常生活をより楽しめるプロダクトを開発していくプロジェクト、MLE(MEDICOM TOY LIFE ENTERTAINMENT)より同柄の巾着バッグ、座布団などのファブリック商品、さらにきものガウンの発売も決定した。

Text by SHINNO Kunihiko|Photographs by NAGAO Masashi| Edit by TOMIYAMA Eizaburo

"Wearing modern JAPAN"の美学

ROBE JAPONICA(ローブ・ジャポニカ)は、『「着物」より「おしゃれ」が好きだ』をテーマに、リアルクローズとして普段のファッションに和服を取り入れてほしいという思いからスタート。和服の良さを踏まえつつ、素材や色柄に現代的なエッセンスを加えた「今のファッション」を発信し、世界的な人気を誇るROBE JAPONICA代表/デザイナーのウエオカ タロウ氏にブランド立ち上げから今回のコラボレーションまで、これまでの歩みと展望をうかがった。
──「ROBE JAPONICA」は、いつスタートされたのですか?
2015年7月にデザインフェスタギャラリー原宿でブランド発表をおこない、12月に現在の場所(東京都渋谷区神宮前3丁目25-6 サンビューティ原宿1F)にお店を出しました。7年目です。ブランド名は「着物は日本のローブ」という意味を込めて、海外の方にも響くように敢えて横文字にしました。
──原宿というのは初めから決めていたのでしょうか?
決めてました。ファッションの聖地ですよね。しかも原宿って面白い街で、竹下通り、表参道、明治通り、この裏原と言われるエリアでファッションのコンセプトが全然違うんです。ありとあらゆるファッションを全部飲み込んでくれる街っていうイメージがもともとあって。だったら和服もあっていいよねという思いから、最初の店は原宿に出すつもりでした。着物のお店は東京だと銀座、日本橋が多いですけれども、もっと等身大のファッションとしてアピールするには原宿しかないと。
いまの時代ならネットでも発信していけることは分かっていましたが、自分としてはネットで服を買うことに抵抗があるんです。試着しないと、どうしても着心地とかテクスチャー、柄の大きさって分からないじゃないですか? ましてや和服なので馴染みがない人には「着付けを習わないと着られないんじゃないか」と思っている方も多いので、いやいや、簡単に着られますよ、着物ってかっこいいんですよと対面で説明できるように実店舗がほしかったんです。原宿は家賃も高いので大変ですけれども。あとは卸しもやっていますし、地方の方にも手に取っていただけるようにポップアップも展開しています。去年は博多と大阪と有楽町で開催しました。
──キルティングやライダースといったユニークなデザインの着物もたくさん扱ってらっしゃるんですね。
ここに並んでいるのは2021 A/W OUTERWEAR コレクションです。
うちはオリジナルの着物、羽織、浴衣、コート、帯がメインで、最近はオリジナルの雪駄や下駄など履物にも力を入れています。メンズ中心ですが、夏の浴衣はユニセックスで展開しています。秋冬ものはオーダーでレディースも受け付けています。高価で扱いにくい素材はなるべく使わず、カジュアルに楽しめる綿、麻、ウールが中心です。ベルベットやジョーゼット、ビニールやレザーといった、通常あまり和服に使われない素材も積極的に取り入れています。
──着物のデザインは以前から手がけられていらっしゃったんですか?
いえ、新聞社にいたんです。記者として20年働いて、デスクまで務めました。
──どうしてファッションの世界に飛び込もうと思われたんでしょう?
新聞って、あったことを正確に伝えることが仕事じゃないですか? それはもちろん大事なことなんですけれども、ある意味クリエイティビティに欠けるところがあるんです。自分はマスコミ人としてプライドを持って仕事してきましたが、いつか自分の手で新しい事を生み出して、世の中に彩りを加えることをやりたいと思っていました。
そこでふと浮かんだのが着物です。僕の実家は寺で、祖母が和裁をやっていたこともあって、幼い頃から和服に親しんで育ったんです。ところが、男物の着物といえば、紺、グレー、茶色、ベージュ、深緑。色柄の物足りなさにモヤモヤしていました。
僕が物心ついた頃、ちょうどDCブランドブームの最中で、男物のスカートとかマスキュリンな女物のジャケットが出てきたんです。男女雇用機会均等法が始まったり、洋服の世界でジェンダーレスが進み始めたことから、いつか誰かがファッショナブルなメンズ着物を出してくれると期待していたものの、いつまでたっても欲しいものが出てこない。着物だけがこうじゃないといけないという固定観念に縛られたままです。
僕はそこを壊したかったんです。20年働いてちょうどキリが良かったし、だったら自分でやろうと思ってデザイナーを目指すようになった次第です。
──まったくのゼロからのスタートだったんですね。
そうです。新聞社を辞めてから美大でテキスタイルを学びつつ、夜はAdobeの学校に通いました。いまどき図案を作るにはイラレ、フォトショが使えないといけないでしょう? 染め屋さんや縫製工場も、何のツテもないから大学と学校の合間にNTTに行って全国の電話帳をめくりながら、北海道から沖縄まで電話しました。家内工業でホームページがないところが多いから、電話帳で探すしかなくて。
僕はもともと伝統的な着物を作りたいわけではないから、まずそれを理解してもらわないといけないし、価格も抑えたかったんです。たぶん着物が普及しない第一の理由に「高い」があると思うので。そういう考えを理解してくれるところを探すのに、2、3年かかりました。
 
──お客様の層はどういう方々が多いですか?
年齢層は幅広いです。10代から、上は60代70代。いわゆる「着物男子」は意外と少ないんですけど、総じて言えるのはファッションに高感度の人が多いです。どちらかというと、おしゃれが好きだからアイテムとして着物も着るという感覚かもしれないです。
一昨年、ファーストサマーウイカさんが明石家さんまさんの番組でうちのものを着用したときはものすごく反響があって、「バズる」とはこういうことかと思いました。お笑いのすゑひろがりずさんの初単独ライブの衣装を手がけたときも、たくさん問い合わせをいただきました。
あとは原宿という場所柄、海外の方もよくいらしていただいていて、有名どころだとU2っていう世界的なバンドのメンバー、アダム・クレイトンが顧客なんです。ケイティ・ペリーも来てくれましたね。
コラボレーションのお話もこれまでJリーグやプロ野球球団からいただいて、オフィシャルの浴衣を展開しています。たぶん和装業界がやらないようなことをやっているのがいいんですかね。
うちは積極的にSNSを展開していないブランドですけれども、それでも原宿で7年続けてこられたのはありがたいことだと思っています。
──今回、メディコム・トイとのコラボレーションで、ウエオカさんのデザインされた「MIRROR」柄のBE@RBRICKとMLEアイテムが発売されます。
ご縁があって作っていただくことになりました。これまでBE@RBRICKって、ルーブル美術館とか大英博物館とか錚々たるところとやっているじゃないですか? だからお話をいただいたときは、うちでいいの?って思いました。
「MIRROR」は一昨年の浴衣の柄なんですけれども、メディコム・トイさんとの話し合いの中で最初はこの柄がいいんじゃないかということになって。
──鏡の中に「熊」と「猫」がいて、その周りを「蝶」と「トンボ」が飛んでいますね。
熊って子供にも人気で、可愛らしい動物みたいに言われるけど、実際は凶暴で人を殺すこともあるじゃないですか? 猫もみんなから愛される一方、気まぐれで自分勝手だったり、相反するイメージがある動物なんです。
蝶とトンボも、蝶はまっすぐ飛べないけれども、トンボはまっすぐしか飛べない。相反するものを配置することで裏と表、鏡の持つ二面性を表現してみました。
鏡に映るものが真実か虚像か──今の世の中はフェイクニュースに代表されるように、どこまでが本当でどこまでが嘘か分からない混頓とした世界じゃないですか? 「MIRROR」の図案は、そういう思いを込めて作ったものです。
うちは着物だからって伝統や格式にとらわれるのではなく、もっとファッションにまで「落とそうよ」という意識なので、そうなると別に和柄である必要もないし、絹である必要もない。だから場所も原宿なんです。
──まだサンプル段階ですが、BE@RBRICKをご覧になった感想はいかがですか?
現物の着物をお送りしたんですけれども、僕が一番こだわっていた色味がちゃんと忠実に再現されていたので、さすがだなと思いました。特に青い部分はよく見るとグレーの柄が入っているんですけれども、そこも結構出ていますね。同柄の巾着や座布団も、素材が麻なので肌触りの良さを感じてもらえると思います。
僕は布が専門なので、こういうふうにフィギュアと布物を一緒に発信してくれるのはありがたいなと思いますし、世界中にファンがいるBE@RBRICKなので、この機会に、いろんな人に和装の楽しみを知っていただけたら嬉しいです。
──今年の夏は、リアルクローズとしての「着物」に注目する方がますます増えそうですね。
着物って本当に奥深いんです。内袖の部分にスマホや財布を入れておくこともできるし、体型が変わっても前を合わせるだけなので、洋服のように着られなくなることもないですから。
「ROBE JAPONICA」では今年も浴衣を50柄ほど展開する予定なので、そちらもぜひ楽しみにしていてください。
BE@RBRICK ROBE JAPONICA 「MIRROR」 100% & 400% / 1000%
サイズ|各全高約70mm/280mm/700mm
価格|[100% & 400%]1万6500円(税込)/ [1000%]6万3800円(税込)
発売方法|2022年1月24日(月)00:00〜2月10日(木)23:59、MCT TOKYO(http://mct.tokyo)及びROBE JAPONICA店舗にて受注を承ります。その後、メディコム・トイ直営店舗及びオンラインストア各店、他一部店舗にて発売予定
発売日|2022年6月発売・発送予定
※数量限定商品のため、在庫が無くなり次第販売は終了となります。
©️ 2022, ROBE JAPONICA
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ROBE JAPONICA 「MIRROR」
KINCHAKU BAG
サイズ|W480mm × H765mm
価格|9350円(税込)
使用主素材|リネン(麻)
発売方法|2022年1月24日(月)00:00〜2月10日(木)23:59、MCT TOKYO(http://mct.tokyo)及びROBE JAPONICA店舗にて受注を承ります。その後、メディコム・トイ直営店舗及びオンラインストア各店、他一部店舗にて発売予定
発売日|2022年6月発売・発送予定
※数量限定商品のため、在庫が無くなり次第販売は終了となります。
ZABUTON
サイズ|W490mm × H490mm
価格|1万3200円(税込)
使用主素材|リネン(麻)
発売方法|2022年1月24日(月)00:00〜2月10日(木)23:59、MCT TOKYO(http://mct.tokyo)及びROBE JAPONICA店舗にて受注を承ります。その後、メディコム・トイ直営店舗及びオンラインストア各店、他一部店舗にて発売予定
発売日|2022年6月発売・発送予定
※数量限定商品のため、在庫が無くなり次第販売は終了となります。
KIMONO GOWN
サイズ|MENS(XS,S,M,L,XL)、WOMEN(S,M,L) ※紐付 ※対丈仕立てです。
価格|5万5000円(税込)
使用主素材|リネン(麻)
発売方法|2022年1月24日(月)00:00〜2月10日(木)23:59、MCT TOKYO(http://mct.tokyo)及びROBE JAPONICA店舗にて受注を承ります。その後、メディコム・トイ直営店舗及びオンラインストア各店、他一部店舗にて発売予定
発売日|2022年6月発売・発送予定
※数量限定商品のため、在庫が無くなり次第販売は終了となります。
©️ 2022, ROBE JAPONICA
問い合わせ先

メディコム・トイ ユーザーサポート
Tel.03-3460-7555

                      
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