繊維を纏うBMWは、生き物のように動く
CAR / NEWS
2015年4月24日

繊維を纏うBMWは、生き物のように動く

繊維を纏うBMWは、生き物のように動く──
デザインコンセプト「BMW GINA Light Visionary Model」

BMWは、デザインコンセプトモデル「GINA Light Visionary Model」(GINA ライト・ビジョナリー・モデル)を発表した。

「GINA」(Geometry and Functions In “N” Adaptions)は、BMWグループが掲げる将来に向けたデザインコンセプトで、乗るひとの個性をより豊かに表現し、さまざまな要求に応えることのできる、デザインと機能性を備えた製品づくりの実現を眼目としている。

それを具現するためのひとつの手段が「GINA ライト・ビジョナリー・モデル」。BMWらしいスポーティな2シーターロードスターの体をなすが、ボディを覆うのは繊維、しかも内包する可動部分によりフォルムを変えることができるという、きわめてユニークなコンセプトモデルだ。

たとえばヘッドランプは、通常はカゲもカタチもないが、点灯すればまるで生き物が目を開いたかのような動きでフロント両端からあらわれる。跳ね上げ式のドアはボディパネルにシワをつくりながら開き、スピードが上がると自動的にボディ後端が持ち上がるリアスポイラーはダウンフォースを発生させる。

エンジンフードは中央から裂けるようにして口を開き8気筒エンジンを披露、乗員の頭部を支えるヘッドレストはシートが盛り上がるようにして出現するなど、デザインと機能が融合したコンセプトが貫かれる。

BRAND HISTORY
“キドニーグリル”と丸目四灯ヘッドライトにより、ひと目でそれとわかるフロンマスクが特徴のBMW。日本の輸入車市場においてもつねに高い人気を誇っているが、その名前が何を意味するのか、即座に答えられるひとは意外に少ないのではないだろうか。

Bayerische Motoren Werke(バイエリッシュ・モトーレン・ヴェルケ)。直訳すれば「バイエルン地方のエンジン工場」という意味だ。前身だったラップ社は、カール・フリードリッヒ・ラップが1913年にドイツのバイエルンに設立した航空機用エンジンのメーカーで、おなじバイエルンの機体メーカーのオットー社と組んで、ビジネスを成功に導く。1916年にはバイエリッシュ・モトーレン・ヴェルケ有限会社と改称。2年後には株式会社に組織変更するとともに、バイエルンの青い空と白い雲をイメージしたプロペラのロゴマークを登録している。

その後も革新的な技術により存在感を高めたBMWだったが、第一次世界大戦の敗戦により、航空機エンジンの製造中止を余儀なくされた。そこでBWMは、もてる技術をモーターサイクルに注ぎ、1923年にはシャフトドライブの「BMW R32」を発表して注目を浴びることに。しかし、それだけでは飽きたらず、オースチンセブンをライセンス生産するディクシー社を買収。これにより自動車ビジネスの足がかりをつかみ、1929年には「BMW3/15 PS」を発売、自動車メーカーとしての歴史をスタートさせている。

ちなみに、BMWと深い関係にあったオットー社は、ガソリンエンジンの理論を確立したニコラウス・アウグスト・オットーの実の息子であるグスタフ・オットーが創立した会社。BMWが内燃機関にこだわるのは、このあたりに理由がありそうだ。

           
Photo Gallery