YUGE|デザイナー 弓削 匠 インタビュー(後編)

YUGE|デザイナー 弓削 匠 インタビュー(後編)

FASHION

YUGE|ユージュ

東京ブランドにはないクリエーションを提案していきたい

「YUGE」 デザイナー 弓削 匠 インタビュー (後編)

「ファッションはカルチャーのなかのone of them」と語る弓削さんが、つぎに目指すものとは? 弓削さんから見た東京ブランドのなかでの「YUGE」のポジショニングを聞くうちに、クリエーションに対する自信も見えてきた。

取材・文=津島千佳写真=原恵美子

コカ・コーラのコマーシャルがつくりたい

──毎シーズン、コレクションが完成したときの満足感はありますか?

できあがったときにはまったく興味がなくなっていて(笑)、展示会の途中から、つぎのシーズンに意識が向かいはじめています。

──デザイナーによっては、服は自分の子ども、というとらえ方をされる方もいらっしゃいますが。

僕にはその感覚はまったくないですね。クリエーターがよく言うように、僕も満足することはないし、つぎからつぎへとやりたいことが出てくるから、どうしても気持ちはつぎにいっちゃって。あといまコマーシャルを撮りたいんですよ、コカ・コーラの。

──コカ・コーラのコマーシャルですか!?

1987年くらいから放送されていた“I feel cokeシリーズ”というのがあって。OLやビジネスマンとかリアルな格好をした日本人が、爽やかさ全開でコーラを飲んでいるんだけど、それがすごくいい。コーラの本質をすごくよくあらわしているんです。

現在のCMの多くは説明がくっついてきて、それで安心して買う、みたいなつくりのものが主流ですが、昔のものは観るひとに想像させる余地があるんですよ。よく考えないとわからないけど、なんかこのフレーズかっこいい、みたいなキャッチコピーがどかーんとあって、イメージががつんと伝わってくる。その80年代のコミュニケートの仕方に憧れるんですよね。

──いま流れてるCMにはない感じですね。

あるセレクトショップとコカ・コーラと僕で、なにかしようって話が出ているんです。それをすっ飛ばして「コマーシャルつくりたいんですけど」ってプレゼンしようかと(笑)。「YUGE」のファッションショーの映像をWEB上でCM作品として観られて、そのショーで着た服が店で買えるってものをつくりたいんですよ。企画書つくろうかな(笑)。

──それできたら、おもしろいですね。

ファッションは、ツールのひとつというか。僕は服がすべてじゃないんですよね。

「YUGE」はいわゆる東京ブランドにはハマらない

──弓削さん世代のデザイナーに必ずする質問ですが、川久保玲さんや山本耀司さんの服をどう感じていますか?

ジャパンブランドを世界に知らしめたひとたちだし、ギャルソンと古着の組み合わせ方が好きでギャルソンはよく着ていましたから、影響はあると思いますよ。「YUGE」のスタイリングのコンセプトは、ドレスとカジュアルのミックス。どこかしらにハズシがあって、でもどっちの場面にあってもおかしくないような──。ギャルソンがあったから、そういうのができるようになったと思うんですけどね。90年代はミクスチャーカルチャーですから。

──今後「YUGE」はどんな方向に進みますか?

いまはセレクトショップの卸が中心なので、お客さんの目を引くものをつくらないと、バイヤーが買ってくれないんですよ。でも本当はベーシックにこだわりをもった商品群を展開したいと、じつは「YUGE」をはじめたときから思っていて。いまやっていることの手応えも感じているけど、プリントものは流行りすたりがあるし、毎日着ていてもばれないような長く着られるものがつくりたい。時代のエッセンスを、どのくらいの分量で、どんな感じで取り入れるか、っていうのはバランス感覚でしかないと思っているので、そのへんを考えていけば、クリエーションがブレない自信はありますね。

──そのためにはオンリーショップですね。短期的な目標は出店ですか?

お店と、ミュージカル(笑)。ファッショナブルな歌って踊れる、観ていておもしろいエンターテイメントをつくりたいな。

──最後に、これからも服をつくりつづけますか?

どうなんだろう。最近、紙のデザインが好きで。広告のポスターもつくりたいし、紙のデザインも楽しいんだよなぁ(笑)。

──ありがとうございました。

「YUGE」デザイナー・弓削 匠 インタビュー(前編)はこちら

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