建築文化保存機構|日本初となる建築模型ミュージアム、この夏オープン
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日本初となる建築模型ミュージアム、この夏オープン
建築文化の担い手である現代の建築家の諸活動を、理解し普及させることをめざす「一般財団法人 建築文化保存機構」が、寺田倉庫で「建築倉庫」を開始する。実際の運営は4月からスタートし、8月を目途にミュージアムとして一般公開する予定だ。
Text by TAN Miho(OPENERS)
模型や資料の展示にくわえ、企画展やイベントにも期待
建築家、山本理顕氏や坂茂氏らが中心となり、2月に「一般財団法人 建築文化保存機構」が設立された。目的は、建築家が制作した模型や資料を共同で保管できる場所を提供し、体系的にアーカイブ化すること。そして、この事業の柱となるのが、4月より運営がスタートする「建築倉庫」だ。
海外の多くの美術館において、建築模型はコレクションの対象として扱われるが、日本ではそれぞれの事務所で保管するのが一般的。本財団の代表理事を務める山本理顕氏は、「模型の保管先に苦慮し、やむなく捨てることも多い。しかし、模型は建築にとって重要な存在。模型を囲むと説明も伝わりやすくなる。また、建築物は建築家の作品としてだけではなく、多くの人に承認されるものであるべきだと思う。模型は、そのうえで重要な存在だ」と語る。
「建築倉庫」は、建築模型や資料の“保存”だけでなく、“活用”をもめざすのが最大の特徴。つまり、「倉庫」を「ミュージアム」として活かすのだ。本財団が現在かかげる概略は下記の5項目。
1 保存管理事業
良質な保存環境のもとで、建築模型を管理できるサービスを提供します。
2 展示事業
保管される模型は、見せながら保管するルールとします。一般来場者にも広く門戸を広げ、博物館としても機能します。年に数回の企画展示を行います。
3 販売事業
設計事務所が建築模型の売却を希望する場合、法人が代理者となり美術館やコレクターに対して販売します。
4 コレクション事業
優れた模型は収蔵作品とし、一般に公開、他の展覧会への貸出を行います。
5 教育普及事業
講演会・ギャラリートーク・ワークショップなど教育普及事業を展開します。
建築家としては自身の模型や資料を保管する場所を得られるいっぽうで、一般来訪者は、時代の先駆けとなる建築が生まれる過程をその目で見て、学び、さらには購入することもできる。この双方向へのアプローチから、日本の建築業界のさらなる活性化をめざす。
場所は、天王洲アイル駅からほど近くに位置する寺田倉庫の1階。高さ3.8メートル、幅1.5メートルもの大きな棚が120棚でレイアウトされ、保管および展示する常設スペースとして使用される。
羽田空港から電車で30分足らずという立地のよさから、海外からの訪問者も期待できるとし、年間3万人の入場者数を見込んでいる。
建築倉庫/現代建築模型博物館(仮称)
東京都品川区東品川2-6-10 寺田倉庫内
スケジュール|
3月~ 申し込み受付開始
4月~ 運営開始
5月~8月頃 ミュージアムオープン、オープニング企画展開催
建築文化保存機構
archidepot@gmail.com