英国靴の雄ガジアーノ&ガーリングインタビュー
FASHION / MEN
2015年3月4日

英国靴の雄ガジアーノ&ガーリングインタビュー

Interview with GAZIANO&GIRLING

新鋭シューズブランド『ガジアーノ&ガーリング』のトニー・ガジアーノ氏、ディーン・ガーリング氏が来日。昨今の既製靴のなかでは、最高とも評される正統派のシューズブランドとしてこれからどこまでソフィスティケートしていくのか。

Text by OPENERSphoto by Jamandfix

ビスポークと既製靴の共有

──ジョン・ロブ ロンドン、ジョージ・クレバリー、エドワード・グリーンと数々の著名なブランドで輝かしい活躍をされていたお二人ですが、独立したきっかけは?

数々の誇り高きステージで仕事を任されていたのは素晴らしいことでしたが、会社のためだけ、という枠にとらわれず自分たちの手で本当に良いと思うものをつくりたかったからです。そしてビスポークと既成靴をうまく共有させたカタチの実現を目指しました。
ビスポークと既製靴は、「ビスポークはロンドン、既製はノーザンプトン」といわれ、場所やメーカー、職人までが相互しない状況になっています。ビスポークと既製の関係性は複雑なのですが、私たちは新しいアイディアとして、ビスポークシューズでしか行わない技術や仕様を既製に落とし込み、マーケットプライスとうまく折り合いをつけてビジネスを構築することを考えました。
ビスポークの素晴らしさを実感できるのは限られた方のみ、というような狭い世界をとっぱらい、ビスポークシューズの素晴らしさを、店頭でより多くの方々に味わってもらうため、ここまでのつくりの既製靴を実現させました。今は需要を満せるよう、システムを向上させることに注力しております。


トニー・ガジアーノ氏


ディーン・ガーリング氏

ビスポークの意匠を既成靴に吹き込む

──英国靴としてはとてもコンテンポラリーでモダンな靴ですね。デザインする際に今のマーケットを意識することはあるのでしょうか?

マーケットをアタマでは意識していませんね。無視しているといえば嘘になりますが、体で感じてつくっているのでそう感じられるのかもしれません。いまも自分たちが本当に良いと思ってつくっている靴がお客さまから支持されているので、大変嬉しく思っております。
オールドクラシックな靴を20年つくっていてもお客さまは喜びません。今後も新たな風をこちらから提案していきたいと考えております。

──今回はビスポークのオーダー会ということで来日されましたが、日本のお客さまに対しどんな印象をもちましたか?

やはり品質や細かいディテールに詳しいお客さまが多いですね。それはとても重要で、お客さまの要望があるからこそ私たちが成長できるのです。世界的にみると日本人のビスポークシューズをつくるのはとても簡単なんですよ。なぜなら日本人はなにを欲しいというのがとても明確だからです。例えば、アメリカ人はなにが欲しいかではなく、自分にあう靴をつくってくれとしか要望がありませんからね。


オックスフォード/GG06 ¥176,400

──年間でビスポークの受注数はどれぐらいなのでしょうか?

約100足ぐらいですね。少ないかと思われますがクオリティを維持するためには仕方ないと考えております。

──ビスポークの納期はどれぐらいですか?

約8ヵ月間かかります。仮縫いまで約4ヵ月、フィッテングまで4ヵ月を要します。
それだけお待ちいただく価値は、必ずあると思いますよ。

ビスポークの意匠を残しつつ、着実な進化を実現をしている既成靴ライン。英国靴のなかでも伝統を継承したたしかな技術による高品質に、独自のアクセントを加えた靴。後世に残る逸品といっても過言ではない。
後編は、その魅力にとりつかれたひとりであるMen's EX編集長 松尾健太郎さんとの対談です。


グラント/DG70 ¥176,400


ヒュージ/DG70 ¥176,400


ガジアーノ&ガーリング(GAZIANO&GIRLING)

トニー・ガジアーノ氏とディーン・ガーリング氏が2006年にスタートしたシューズブランド。
シューズデザイナー・モデリストとしてチーニー、ジェフリー・ウエストで活躍後、エドワード・グリーンにて手腕を振るったトニー・ガジアーノ氏とジョン・ロブ ロンドン、ジョージ・クレバリー、エドワード・グリーンのビスポークアウトワーカーとして活躍したディーン・ガーリング氏。
彼からトニー・ガジアーノ氏への1本の電話から「ガジアーノ&ガーリング」がスタートした。

フォンテンブロー
Tel. 03-5459-0933
http://www.fontainebleau.jp/

           
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