シロッコ|Scirocco|Volkswagen Scirocco:The Car makes Style. 躍動するランドスケープデザイン

シロッコ|Scirocco|Volkswagen Scirocco:The Car makes Style. 躍動するランドスケープデザイン

”スタイル”をつくる、クルマとひと

Volkswagen Scirocco|フォルクスワーゲン シロッコ

Scirocco × ランドスケープデザイナー 団塚栄喜

躍動するランドスケープデザイン

クルマの美しさにはさまざまな決定要素がある。エンジンなど駆動系と室内空間をバランスさせたパッケージング。車体とキャビン、それに車輪の配置によるプロポーション。線や曲面による車体の表情。いろいろあがる。フォルクスワーゲンが2008年に発表した2ドアクーペ、シロッコは、パッケージングがうまく、均整のとれたプロポーションで、緊張感あるボディ面をもつ。スポーティなイメージは「素性のよさ」を土台に成立している。

文=小川フミオ写真=五十嵐隆裕

なぜシロッコはクリエイティブか?

「ヘッドライトからフェンダー、そしてドアへと手のひらを滑らせると、なだらかな曲面のさまざまな方向への動きに気がつきます。見る角度や光の当たる角度が変化すると、複雑な面構成が強調され、躍動するアスリートの筋肉を彷彿とさせます」とフォルクスワーゲンが謳うとおりだ。

シロッコのデザインを成立させる努力は並大抵ではないだろう。高品質の工作精度とともに、金属の塊をくりぬいたような車体のもつ力強さは、美術から工芸までをふくめた「アート」と感じられる。

シロッコ|Scirocco06

駐車場の表面には川崎の地図や、かつて東芝の工場が作っていた製品をパターン化している。メッセージもおもしろい。

シロッコ|Scirocco03

千年の森と題された、フォルクスワーゲン ビートルをモチーフにした作品。レモンの木をはじめ白い花を咲かせる草木ばかり。

美しいクルマのよさは、もつよろこび、乗るよろこびを感じさせることだ。シロッコは、乗るひとの気持ちを高揚させる。創造とは、たんにモノをデザインするのではなく、環境すべてに対する働きかけだ。だから運転する行為も創造的といえる。言い方を変えると、創造的でなくてはならない。美しいものとともにドライブすることの重要性はそこにある。それゆえにシロッコはクリエイティブだ。

今回紹介するクリエイターはランドスケープデザイナーの団塚栄喜氏。1999年に自身の事務所「アースケイプ」を立ち上げた。公共・商業施設及び、国内外の大規模なコンプレックス、レジデンス、学術施設など数多くのランドスケープを手がけ、大きな話題を呼んできた。ランドスケープデザインは、環境への働きかけや、環境とひとをつなぐ創造的な仕事だ。

ランドスケープデザインという創造

団塚栄喜氏の手がけたおもな作品を列記すると以下のようになる。晴海トリトンスクエア(2000年)、丸の内オアゾ北口ビルディング(2004年)、ららぽーと豊洲(2006年)、パークシティ豊洲(2007年)、三井アウトレットパーク入間(2008年)。都市と建築とひととを結ぶのがランドスケープデザイン。クルマとも共通するものがある。

シロッコ|Scirocco12

ルーファ広場で動線が交差する。さまざまな仕掛けがここにもらしつらえられている。

「ランドスケープデザインにあたって意識することは、ひととひとの触れあう仕掛けをうまく作る、自然を広げる、その土地に対して近隣のひとがもっていた“記憶”をちりばめる。それが“訪れるひとに施設のなかで長い時間を過ごしてもらいたい”という事業者の願いをかなえることでもあります」。団塚栄喜氏は語る。

団塚栄喜氏の代表作のひとつに数えられる川崎駅西口に隣接する「ラゾーナ川崎プラザ」。もとは東芝川崎事業所(旧堀川町工場)で、数々の機械や電化製品を送り出してきた。商業施設が多く入るが、同時に都市の再生が重要なテーマだったという。住宅地のほうからは階段を使って上がり、広場をとおり、駅へと向かう。広い敷地には、数々のユニークな仕掛けがほどこされる。

クルマで訪れたゲストがまず目にするのは、「千年の森」と題された団塚栄喜氏による作品。「フォルクスワーゲン タイプ1」、いわゆるビートルをモチーフにしている。白いワイヤを曲げていって、ビートルのシェイプを作っている。シルエットはビートルだが、よく見るとワイヤは草木の模様を構成。しかもビートルのなかには草花が植えられ、天井からはレモンの木が大きく伸びている。

「やがてここから森ができればいい、という思いを込めました。フォルクスワーゲン ビートルを選んだのは、もっとも人気があって、誰もが知っているクルマだからです」