Patek Philippe|スイス初、パテック フィリップ初の腕時計

Patek Philippe|スイス初、パテック フィリップ初の腕時計

特集|パテック フィリップ展~歴史の中のタイムピース~

Patek Philippe|パテック フィリップ

First Swiss wristwatch

スイス初の腕時計

1868年、パテック フィリップは現代的な発想で時計を製作した。それがスイスのウオッチメーカー初となる腕時計である。

Text by KOIZUMI Yoko

スイス初、パテック フィリップ初の腕時計

今回、紹介するのは、スイス初、そしてパテック フィリップ初の腕時計である。それまでも美しく宝飾が施されたブレスレットに時計が付属することはあったが、この時計のブレスレットは細く、シンプルに仕上げられており、あくまでも時計を主体としたデザインである。こうした点からも前者とは一線を画していることがわかる。現代に通じる腕時計の原点といってもいいだろう。パテック フィリップに残る販売台帳には、1876年11月13日にハンガリーのコスコヴィッチ伯爵夫人が購入したという記録が残っている。

First Swiss wristwatch|スイス初の腕時計 02

この腕時計は一見するとジュエリーのようだが、カバーを開けると時計が現れるというシークレット・ウォッチの一種だ。時計はカバーを備えた中央の時計部とそれを挟む左右のケースの3つの正方形から構成されている。

ただしカテゴリーは腕時計ではあっても、伯爵夫人が着用するためにつくられただけあって、装飾の美しさはジュエリー同様だ。カバー上面は2種類の立体的な花びらがダイヤモンドを囲み、ケースの上面は黒七宝が施され、金細工で縁取られたローズカットのダイヤモンドが配される。

台座の色を変えることで、ダイヤモンドの色合いを変えて見せるとは、心憎い演出である。またほかのモデルのようにケースに彫金を施すのではなく、立体的な造形で飾られている点も特徴で、ここからもパテック フィリップの独創性が見て取れる。

時計のムーブメントは1868年に製造されたもの。パテック フィリップは146年前、超小型時計の製造技術力を有していたのである。

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イエローゴールド・ケース、鍵巻・時刻合わせ式
時計/縦13.2mm、横32.3mm、厚さ13.6mm
ブレスレット/内径56mm、外径62.3mm