J.M. Weston│フランス生まれの美しい靴「J.M. Weston」の歴史とあたらしい世界

J.M. Weston│フランス生まれの美しい靴「J.M. Weston」の歴史とあたらしい世界

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J.M. Weston│ジェイエムウエストン

1891年からつづくフランス生まれの美しい靴

「J.M. Weston」 の歴史とあたらしい世界(1)

ドイツ総選挙でナチス党が圧勝した1932年、パリ・シャンゼリゼ通りに「J.M. Weston(ジェイエムウエストン)」のフラッグシップショップがオープンし、その店は、当時のパリの名士が行き交う場としておおいに賑わった。この時代に、現在も製造されているJ.M. Westonのシンボル的なモデル、ハントダービー、チェルシーブーツ、ゴルフが生まれ、ブランドの代名詞である「180 ローファー」は第2次世界大戦後に誕生する。

Text by OPENERSPhoto by J.M. Weston

大統領や政治家から、レジスタンスな若者までが愛した靴

「1966年にはみんながウエストンの“モカシン”を履いていた」という伝説が残るJ.M. Westonの「180 ローファー」。シャンゼリゼのドラッグストアにたむろする反抗的な若者たちは、父親の靴を“ジーンズ姿に素足でローファーを履く”ことで、既存の社会的規範に反抗した。さらに1968年にパリで起きた学生運動のさいには、そのローファーは学生たちのシンボルとなった。

第2次世界大戦後、J.M. Westonの創立者の息子ユージェーヌ・ブランシャールによって200以上のモデルを経て完成された「180 ローファー」は、発売以来変わらぬ木型を使ってつくられている。紐靴とはちがい、足にフィットさせるのが難しいローファーだが、「180 ローファー」は4mmピッチのサイズ展開とA~Fまでの豊富なウィズ(横幅)展開で、自分の足に最適な一足を選ぶことができる。足の曲線に合わせた、足全体を包み込む構造は快適な密着感を生み出し、アウトソールには自社のタナリーでなめされた革を用い、耐久性に優れている。

ブラックボックスカーフのローファーは世界でももっとも売れている商品のひとつであり、本国フランスではもちろん、世界中で卒業時や就職のお祝いなど、人生の節目におけるプレゼントとして重用されている。

ゴルフシューズを原型とするそのユニークなスタイルから「ゴルフ」と称されるモデル「641」もJ.M. Westonを代表する名作。ブランドの頭文字を凹凸にあしらったラバーソールは抜群のグリップ感をもち、人間の足に極めて近い独特の木型と、4種類のウィズ(横幅)展開とあいまって、優れたフィット感と履き心地を備えている。アッパーには多少の雨であれば浸入を防いでくれるロシアンカーフを使用。特筆すべき堅牢性を発揮する。

専門職人によって生み出される比類なき強さと美しさ

1足のJ.M. Westonの靴が完成するまでには約3ヵ月、150以上の工程が必要で、全工程がそれぞれ専門の熟練した職人の手仕事によって伝統技術に忠実につくられていく。

すべて職人の手作業でつくりだされるラスト(木型)、フランス最高のタナリーから150種類以上にわたって直接仕入れられる原皮、革切職人によってパーツ毎に一足ずつカットされるアッパーの革、世界で唯一自社で所有しているソールレザー専用のタナリーによる抜群の強度をもったソールの革……。

そして、靴のアッパーとインソールを縫い合わせる伝統的なグッドイヤーウエルト製法によって、J.M. Westonの靴は、快適さと美しさを備えた名作として発売から現在にいたるまで変わらぬ人気を誇っている。