Holland Esquire|デザイナー、ニック・ホーランド氏にインタビュー

Holland Esquire|デザイナー、ニック・ホーランド氏にインタビュー

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Holland Esquire|ホーランド エスクワイヤー

英国カントリーサイドの紳士が手がけるユニークなテーラード

デザイナー、ニック・ホーランド氏にインタビュー

「Holland Esquire(ホーランド エスクワイヤー)」は、リバティやハーヴェイ・ニコルズといった歴史的な百貨店などで展開され、英国を中心に高い人気を誇る、テーラードを基調としたブランドだ。2005年には、ハロッズによるエキシビション「Britain’s Ten Best Tailors」にポール・スミス、ヴィヴィアン・ウエストウッド、オズワルド・ボーテングといったイギリスを代表するデザイナーとともに選出され、世界的な注目を浴びた。

このたび、阪急メンズ大阪でのポップアップショップのために、デザイナーのニック・ホーランド氏が来日。カントリーサイドをルーツとし、伝統的なテーラーリングに、現代のデザイン性をミックスしたそのアイテムの魅力と文化的背景を、そして日英のファッションマーケットについても、語ってくれた。

Photographs by NISHIMURA TomoharuText by IWANAGA Morito(OPENERS)

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英国クラシックへの理解と挑戦

──ブランドについて教えてください。

ブランド名の“Holland(ホーランド)”は私の名からとっています。“Esquire(エスクワイヤー)”というのは、簡単に言うと「紳士」という意味です。紳士と言っても、イギリスのセンターにあるロンドンというわけではなくて、少し田舎寄りの、カントリーサイドの紳士ですね。私自身、ノッティンガムというカントリーサイドで育ち、現在もその場所で暮らしています。

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私の洋服づくりにもっとも影響を及ぼしているのは、ハンティング、フィッシング、シューティングといった、カントリーでレジャーとして親しまれてきた文化です。

ホーランド エスクワイヤーでは、シーズンごとのコンセプトを設けてはいません。しかし、ひとつひとつの洋服にはテーマや物語を込めています。今季はロンドンだけでなく、日本の阪急メンズ大阪でもポップアップショップをおこなったのですが、そのテーマが、「リベンジ オブ ワイルドライフ(野生動物の復讐)」というものです。

剥製のウサギが銃を向けている森のなかで、裸の人間が逃げまどう──など、風刺の利いたビジュアルでディスプレイやルックブックを展開しています。

──そのテーマがアイテムのデザインに反映されている部分はありますか?

こちらのジャケットはどうでしょうか。私が実際にハンティングした動物たちの写真を、ボタンに転写しています。ショップで販売しているジャケットにも、内ポケットに薬莢やキジの羽根を入れており、実際に着て、それを見つけたときに、ストーリーを感じられるような細工をしています。

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──裏地と表地が対照的な色合いですね。

まず遠目に見たときに形で見せる、近づいて見たときにボタンやステッチで興味を引く。そして、洋服の内側を見て、裏地のカラーで楽しんでもらう、というディレクションもデザインのひとつです。もちろん、英国的な手作業のテーラリングを大切にしていますし、メジャーメイドもつづけています。そこから、どのようにおもしろいものをみせていくか、というところです。

ブランドのアイデンティティは、ファブリックにもあらわれています。ツイードはすべてヨーク州の老舗ファクトリー、MOON社と共同開発したオリジナルです。クラシックなテーラードのアイテムがメインですが、ファブリックを見てもらえば、伝統を踏襲しつつも、ホーランド エスクワイヤーがユニークなブランドだということを感じてもらえるでしょう。

──洋服を作るうえで大切にしていることは?

私がいつも心に留めているのが「hands on」と「boundary」という考え方です。「hands on」というのは、父のもとでテーラーの修業をしていたときに学んだもので、とにかく自分の手で覚えるということでした。知識としてではなく、ひたすら作って覚えた感覚のことですね。

「boundary」というのは、ここはこう作らないといけない、といったルールのようなものです。私は、いつもそれに疑問を感じていました。そこへの挑戦という意味で、大切にしている考えです。もちろん、まず「boundary」に忠実に作るということを覚えないと、意味はありません。そこからの挑戦です。

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英国のファッションは、やはりすごくクラシックで、悪く言えば、退屈なものかもしれません。しかしホーランド エスクワイヤーにおいては、ジャケットも厳密にクラシックとされているものからすれば着丈も短いですし、フィットも細いし、肩も狭い。現代にあわせて、コマーシャルにつくっているというところはあります。

──日本のファッションマーケットの印象は?

とても技術力が高く、自由度の高いブランドが多いですね。以前に、とある日本のブランドのジャケットに、とても驚かされたことがあります。製品洗いのかかったアイテムだったのですが、自分たちが扱う素材では、そのような加工を実践すること自体が難しいのです。彼らは洗いによる縮みを想定してパターンをつくっています。仕上がりのサイズを逆算して考えると、おそらくかなり大きなものになるでしょうね。そのうえで、あれだけ素晴らしいフィッティングを実現しているのは、本当にすごい。

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イギリスのファッションマーケットは未だにクラシックが主流で、新鮮さを感じさせてくれるものに溢れているとは言えません。日本には何度も来ているのですが、表参道や原宿の裏通りを歩いていると、いつも魅力的なショップに出合うことができます。そのたびに、もっと自分たちも頑張らないといけない、と感じます。

今回の来日では、阪急メンズ大阪でのポップアップショップも好評でしたので、とても有意義な時間を過ごすことができました。いずれは、日本でもオンリーショップをオープンしてみたいですね。

HOLLAND ESQUIRE
http://www.hollandesquire.com/

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