国内導入されたアウディA3スポーツバックに試乗|Audi
CAR / IMPRESSION
2015年4月3日

国内導入されたアウディA3スポーツバックに試乗|Audi

Audi A3 Sportback |アウディ A3 スポーツバック
10年ぶりのフルモデルチェンジ

国内導入されたアウディA3スポーツバックに試乗

新型のアウディA3スポーツバック」がついに国内上陸を果たした。おなじグループのフォルクスワーゲン「ゴルフ」とプラットフォームを共有しながらも、アウディのもつプレミアムな世界観をはっきりとまとうこの5ドアハッチバックモデルの、ベーシックな「1.4TFSI」と、1.8リッター直噴ターボに四輪駆動を組み合わせた「1.8TFSIクワトロ」に一気に試乗。

Text by SAKURAI KenichiPhotographs by MOCHIZUKI Hirohiko

コンパクトでも、アウディのプレミアムな世界観に妥協はない

アウディの屋台骨を支える人気のプレミアムCセグメントモデル、アウディ「A3 スポーツバック」が、実に10年ぶりとなるフルモデルチェンジをおこなった。“小さなプレミアムカー”をコンセプトに1966年に日本で販売を開始した初代モデル、2004年に導入した2代目につづく3代目のモデルは、内外装のデザインを現行アウディがもつクリーンでモダンなテイストに一新するとともに、ボディの軽量化や、さらなるエンジンの効率化をはじめ、新開発した車内でWi-Fiが使用できるインフォテイメントシステム「Audi connect(アウディ コネクト)」などを採用。“先進のアウディ”というイメージにふさわしいモデルチェンジになった。


姉妹車であるフォルクスワーゲン「ゴルフ」のプラットフォームをベースに開発された新型A3スポーツバックは、アウディの他ラインナップ同様、最新のデザイン言語を使用した質感の高いモダンなエクステリアデザインが特徴だ。先代比でホイールベースを60mm延長した2,635mmとし、全長は35mm拡大の4,325mmになった。なにかの塊から削り出されたような、凝縮されたフォルムは、奇をてらったものではないが、高級感をじゅうぶんに感じ取ることができる。

Audi A3 Sportback 1.8 TFSI quattro|アウディ A3 スポーツバック 1.8 TFSI クワトロ

Audi A3 Sportback 1.8 TFSI quattro|アウディ A3 スポーツバック 1.8 TFSI クワトロ

全世界的なダウンサイジングブームにおいて、ボディの大きいDセグメントやEセグメントモデルからの乗り換えも想定しており、まずはじゅうぶんなクオリティとラグジュアリー感が必要であったのだろう。小さい=チープというこれまでの常識はA3スポーツバックにまったく当てはまらない。取り回しに優れ、駐車スペースに気を遣わずに済むのは、都市部におけるオーナーにとっても有り難いファクターだろう。


むろん、都会的なルックスも、魅力的だ。とにかく、コンパクトなサイズのクルマにありがちな“安物感”は一切ない。むしろ、ライフタイルへのこだわりから、あえてA3スポーツバックを選択したという意思が透けて見えそうだから不思議だ。車格という言葉が、陳腐にさえおもえてしまうのだ。

A3スポーツバックのフロントフェイスは、シングルフレームグリルやLEDを使用したヘッドライトが、今のアウディ デザインを明確に主張する。その一方で、リアからは、A4アバントかとおもわせるような風格あるデザイン。左右のコンビネーションランプのあいだを走るラインなど、意匠も近しいものがある。

Audi A3 Sportback |アウディ A3 スポーツバック
10年ぶりのフルモデルチェンジ

国内導入されたアウディA3スポーツバックに試乗 (2)

シンプルだがクオリティ高い仕上げのインテリア

インテリアはシンプルだが、クオリティの高い仕上げ。ソフトパッドを使用したダッシュボードや、質感の高いスイッチ類など、そこにあるのは誰もが知るアウディののそれだ。円を基調にしてデザインされたエアコンのエアアウトレットなどは、先代モデルとのつながりを意識させてくれる。こうしたデザインモチーフの流用は、代替えユーザーにとっても嬉しい配慮だろう。

ホイールベースが延長されてはいるが、キャビンはさほど大きく広がったという印象ではない。全体が少しずつ拡大されているからだろう。しかし、後席を倒し、ラゲッジスペースを最大にすると、先代とかわらない通常340リットルという荷室容量は1,220リットルにまで拡大する。先代が最大1,120リットルなのに対し、これはじゅうぶんなアドバンテージである。

エンジンは、最高出力90kW(122ps)と最高出力103kW(140ps)を発揮する1.4リッター直噴ターボ、最高出力132kW(180ps)を発揮する1.8リッター直噴ターボの3機種をラインナップ。

Audi A3 Sportback 1.8TFSI quattro|アウディ A3 スポーツバック 1.8TFSI クワトロ

Audi A3 Sportback 1.8TFSI quattro

それぞれ「1.4 TFSI」と「1.4 TFSI COD(Cylinder On Demand)」、そして「1.8 TFSI クワトロ」に搭載する。1.4リッターエンジンは、7段Sトロニックトランスミッションを組み合わせ、駆動方式はFF。「1.8 TFSI クワトロ」には6段Sトロニックを組み合わせ、駆動方式はそのネーミングからも分かるように、アウディ自慢のクワトロ システム(4WD)が採用された。

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国内導入されたアウディA3スポーツバックに試乗 (3)

スチールボディでも大幅軽量化に成功

今回試したのは、1.4リッター直噴ターボエンジンを搭載する「1.4 TFSI」と「1.8 TFSI クワトロ」。「1.4 TFSI COD」は、まもなくデリバリーを開始する予定である。


「1.4 TFSI」では、排気量わずか1.4リッターとはいえ、1,400rpmから最大トルクが発生するチューニングで、街中はもちろん高速道路での加速時であっても、パワー不足は感じない。デュアルクラッチの7段Sトロニックは、短いタイミングでサクサクとギアチェンジをおこない、気づくとじゅうぶんなスピードに達している。


「1.8 TFSI クワトロ」の6段Sトロニックは、フィーリングこそ7段Sトロニックとかわらないが、よりトルクが太く、息の長い加速感が楽しめる。加速時でも安定したトラクションを発生させるクワトロ システムとともに、180psの実力は、やはり伊達ではない。アクセルへのレスポンスも、こちらが一枚上手だ。

Audi A3 Sportback 1.8 TFSI quattro|アウディ A3 スポーツバック 1.8 TFSI クワトロ

Audi A3 Sportback 1.8 TFSI quattro

Audi A3 Sportback 1.4 TFSI|アウディ A3 スポーツバック 1.4 TFSI

Audi A3 Sportback 1.8 TFSI quattro

ただ、どちらのエンジンがオススメかと聞かれれば、「1.4 TFSI」でもじゅうぶんに楽しい、と答える。これにはおよそ60kg軽量化され、わずか1,320kgの車両重量が大きく貢献している。絶対的なパワーは当然「1.8 TFSI クワトロ」に及ばないものの、ワインディングでの軽快感が存分に味わえる「1.4 TFSI」は、自分の手の中でクルマを操っている感覚がより明確だ。つまり、この小排気量でも、じゅうぶんなドライビングプレジャーを与えてくれるという印象がいい方向に作用しているのである。


スポーツサスペンションを採用する「1.8 TFSI クワトロ」は、クイックなステアリングフィールとともに、スポーティな味付けを前面に出してくれる。アジリティ(俊敏性)の高さも魅力だ。


ただ、最終的には好みの問題なのだろうが、良く動くサスペンションをしっかりと使ったコーナリングを味わえる、素のA3スポーツバックも、じゅうぶんな楽しさを提供してくれるので、クワトロに引け目を感じずに選ぶことができるという印象をもったことは、つけくわえておきたい。

Audi A3 Sportback |アウディ A3 スポーツバック
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国内導入されたアウディA3スポーツバックに試乗 (4)

車内でWi-Fiを快適に使用

そんなクルマとしての基本的な魅力にくわえ、もうひとつ、新開発されたインフォテイメントシステム「アウディ コネクト」も注目の装備である。A3スポーツバックは、日本初のWi-Fi機能を搭載するモデルとしても話題なのだ。


簡単に言えば、これはクルマに最大8台までのモバイルデバイスを接続できるルーターを装備しているようなもので、このWi-Fi機能を利用して、手持ちのスマホが接続できるのはもちろんのこと、MMIナビゲーションの拡張機能でネット検索やナビにGoogleの画像やストリートビューの表示もできる。

Audi A3 Sportback |アウディ A3 スポーツバック

Audi A3 Sportback |アウディ A3 スポーツバック

たとえば、初めて行く場所もストリートビューの画像で事前に見ることができるので、目的地周辺がイメージしやすい。とくに、食事場所を探しているときなど、店構えや近隣の駐車場の有無、停めやすさを事前にチェックできるのはありがたい。ドライブもスマートになりそうだ。

基本メニューにはニュースや天気、駐車場や近隣空港の検索のほか、フライトインフォメーションやガソリンスタンドの距離順位や価格順などの情報もラインナップしているので、実用性はかなりのもの。もちろん、しっかり取説を読むことを奨励するが、スマホになれた人なら、直感的に操作できる簡単さも魅力である。

ちなみに、「アウディ コネクト」はオプション装備で、3年契約。新車購入時に車両登録と一緒にディーラーで手続きがおこなわれるので、オーナーがわざわざそのために通信会社に向かうなど、余計な手間暇がかからないのもありがたい。

3G回線ではあるものの、こうした情報を7インチのカラーディスプレイに映し車内で見る便利さと新鮮さは、一度使うと病みつきになる。もちろん、PCを接続して車内で仕事もできるだろうが、それよりもスポーティなA3スポーツバックの走りをたのしみつつ、いち早く移動し、目的地に着いてからゆっくりとPCに向かう方が効率的では? などと、余計なことを考えてしまった。

Audi A3 Sportback |アウディ A3 スポーツバック


Spec|スペック

Audi A3 Sportback 1.4 TFSI|アウディ A3 スポーツバック 1.4 TFSI
ボディサイズ|全長 4,325 × 全幅 1,785 × 全高 1,465 mm
ホイールベース|2,635 mm
トレッド 前/後|1,535 / 1,505 mm
最低地上高|145 mm
最小回転半径|5.1 メートル
トランク容量(VDA値)|380リットル
重量|1,320 kg
エンジン|1,394cc 直列4気筒 DOHC ターボ
圧縮比|10.0 : 1
ボア×ストローク|74.5×80.0 mm
最高出力| 90kW(122ps)/ 5,000-6,000 rpm
最大トルク|200Nm(20.4kgm)/ 1,400-4,000 rpm
トランスミッション|7段オートマチック(Sトロニック)
駆動方式|FF
サスペンション 前|マクファーソンストラット
サスペンション 後|4リンク
タイヤ|205/55R16
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ディスク
燃費(JC08モード)|19.5 km/ℓ
CO2排出量|119 g/km
価格|308万円

Audi A3 Sportback 1.8 TFSI quattro|アウディ A3 スポーツバック 1.8 TFSI クワトロ
ボディサイズ|全長 4,325 × 全幅 1,785 × 全高 1,435 mm
ホイールベース|2,635 mm
トレッド 前/後|1,525 / 1,495 mm
最低地上高|130 mm
最小回転半径|5.1 メートル
トランク容量(VDA値)|340リットル
重量|1,460 kg
エンジン|1,798cc 直列4気筒 DOHC ターボ
圧縮比|9.6 : 1
ボア×ストローク|82.5×84.1 mm
最高出力| 132kW(180ps)/ 4,500-6,200 rpm
最大トルク|280Nm(28.6kgm)/ 1,350-4,500 rpm
トランスミッション|6段オートマチック(Sトロニック)
駆動方式|4WD
サスペンション 前|マクファーソンストラット
サスペンション 後|4リンク
タイヤ|225/45R17
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ディスク
燃費(JC08モード)|14.8 km/ℓ
CO2排出量|157 g/km
価格|393万円

           
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