フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボに試乗|Volkswagen
CAR / IMPRESSION
2015年4月3日

フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボに試乗|Volkswagen

Volkswagen the Beetle Turbo|フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボ

フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボに試乗

フォルクスワーゲンが10月8日に国内に導入した「ザ・ビートル ターボ」。大型リアスポイラーをはじめとするスポーティなルックスと、211psを発揮する2リッターTSIを搭載したザ・ビートルはどのようなクルマか。早速試乗した小川フミオ氏のリポート。

Text by OGAWA FumioPhotographs by ABE Masaya

エモーショナルなザ・ビートル

ザ・ビートル」に、よりエモーションをとパワフルなエンジンや強化されたサスペンションをそなえた「ターボ」が追加された。2013年10月8日に発売された「ザ・ビートル ターボ」(348万円)は、211psの最高出力と280Nmの最大トルクをもつ1,984cc4気筒ターボエンジン搭載車。


現在、ザ・ビートルのラインナップは、175psの1.2リッター4気筒ターボエンジン搭載の「デザイン」(とそのパッケージバリエーション)と、おなじパワープラントを共有する「ザ・ビートル カブリオレ」から成る。その構成に、スポーティな要素をくわえることで、より広範囲なユーザー層へのアピールを狙ったのが、ザ・ビートル ターボだ。

Volkswagen the Beetle Turbo|フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボ 07

Volkswagen the Beetle Turbo|フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボ 09

インタークーラー付きターボチャージャーを1基そなえた「TSI」エンジンは1,700rpmから280Nmもの最大トルクを発生。これに、6段のデュアルクラッチ変速機「DSG」が搭載され、「先代のゴルフGTIなみ」(フォルスクワーゲングループジャパンの広報担当者)のパワフル感が謳われている。


操縦感覚は、パワフルになっただけでなく、軽快になり、クルマはたんに四角い箱であってはおもしろくない、とエモーショナルさをもとめる層に強く訴求するものだ。

Volkswagen the Beetle Turbo|フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボ

フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボに試乗 (2)

ザ・ビートルの印象を一変させる身のこなし

たしかにザ・ビートル ターボは、力強い。エンジントルクの立ち上がりが速いのでダッシュ力がある。いっぽう、大径ターボチャージャーのおかげで、2,500rpmからもりもりと力が出てくるめりはり感が楽しい。


ザ・ビートル ターボの足まわりは、「ゴルフ」と同様、4リンク式のリアサスペンションがおごられている。ダンピングがしっかりして、乗り心地が重厚になった感がある。くわえてスポーティな面でも向上がみられる。路面の追従性のよさは、すでにゴルフで経験ずみだ。コーナリング中の挙動は、気持ちがいいという表現がしっくりくる。

小さなRの屈曲路では、ハンドルを通しての入力にしたがって、ドライバーの意思に忠実に車体が軽快に動く。コーナリングラインがぶれることもなく、進入は安心しておこなえ、いっぽう脱出時の加速もよい。ザ・ビートルは雰囲気重視のクルマという印象があったとしたら、このターボを体験すると一変するはずだ。


コーナリング中に駆動輪内側の空転を感知すると自動的にトラクションを回復する電子制御式ディファレンシャルロック「XDS」をそなえていることもあり、中高速コーナーもかなり楽しいはずだ。

Volkswagen the Beetle Turbo|フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボ 10

Volkswagen the Beetle Turbo|フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボ

フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボに試乗 (3)

機能装備でスポーティを強調

ザ・ビートル ターボは外観上もスポーティさが強調されている。18インチホイールとリアスポイラーが、フツウのザ・ビートルとのちがいを明確にする。しかし、ことさらデザイン上の遊びを採り入れないのがフォルクスワーゲン流なのだろう。あくまで機能的な装備で、このスポーティなモデルの特徴を表現している。


機能性と、適度な遊び感覚のインテリアは、「up!」のオリジンとなったものだ。グロス仕上げのダッシュボードは、タブレット端末のような上質感をもつ個性あるデザインで、現代的な感覚をうまく表現している。“ドイツ車は黒で高級感をだす”とは一般的に言われることだが、そこに巧妙にモダンさをくわえているのだ。


オプションで革張りも用意されるシートのつくりもよく、クッションはじゅうぶん。またドライバーの身体の保持にもすぐれ、疲労感は少ないはずだ。ザ・ビートルはオリジンである2ドアボディに忠実だが、現代版ではリアシートは着座位置が低く設定され、おとな2人が乗っていられる快適性をちゃんと持っている。

Volkswagen the Beetle Turbo|フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボ 16

Volkswagen the Beetle Turbo|フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボ 23

燃費もザ・ビートル ターボのセリングポイントだ。エンジンマネージメントの改良や、効率のよいデュアルクラッチ変速機との組み合わせなどで、リッター13.4km(JC08モード)と発表されている。これを参考にすれば、高速走行などをふくめてうまく運転すれば総合燃費がリッター10kmに届くだろうか。スポーティさを前面に出したモデルとしては悪くない数値だ。


ライバルになるMINIが洒落たパッケージングなど、エモーショナルな要素を強調してセールスを伸ばしたのにたいして、フォルクスワーゲンは、先にも触れたが、ザ・ビートルといえども比較的保守的な路線を堅持しているところに特徴を持つ。ザ・ビートル・ターボを体験すると、このクルマ、雰囲気でもうすこし遊ぶとマーケットがより拡大するような気もする。どうだろうか。


Spec|スペック

Volkswagen the Beetle Turbo|フォルクスワーゲン ザ・ビートル ターボ
ボディサイズ|全長4,270×全幅1,815×全高1,495mm
ホイールベース|2,535 mm
トレッド 前/後|1,570 / 1,535 mm
最低地上高|130 mm
最小回転半径|5.0 メートル
重量|1,3850 kg
エンジン|1,984cc 直列4気筒 直噴DOHC ターボ
圧縮比|9.6 : 1
最高出力| 155 kW(211 ps)/ 5,300-6,200 rpm
最大トルク|280Nm(28.6 kgm) / 1,700-5,200 rpm
トランスミッション|6段オートマチック(6DSG)
駆動方式|FF
サスペンション 前|マクファーソン ストラット
サスペンション 後|4リンク
タイヤ|235/45R18
ブレーキ 前/後|ベンチレーテッドディスク / ディスク
燃費(JC08モード)|13.4 km/ℓ
CO2排出量|173g/km
価格|348万円


フォルクスワーゲン カスタマーセンター
 0120-993-199

           
Photo Gallery