彫刻を作るんじゃなく空間を作る意識でいると、形に対する考え方も変わります|MEDICOM TOY

MEDICOM TOY|彫刻を作るんじゃなく空間を作る意識でいると、形に対する考え方も変わります

MEDICOM TOY|メディコム・トイ

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B-BOY彫刻家・TAKU OBATA氏に聞く(2)

フィギュアに関してはずっと渋ってきたんです

――2014年にはニューヨークのJonathan LeVine Galleryで個展を開催。グラミー賞を受賞した音楽プロデューサー、スウィズ・ビーツも作品を購入されたとか。

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TAKU OBATA DOZE(DOZE GREEN)というアーティストも同じギャラリーの違う空間で個展をやってて。彼はもともとB-BOYで、『ワイルド・スタイル』のポスターの左下でポーズしてる奴なんですけど、俺のちっちゃい作品を買って、いろんな人に自慢してくれたんです。そこからスウィズ・ビーツも作品を買ってくれて。

あと、ニューヨークではROSTARR(ブルックリンを拠点に活動するアーティスト)の家に10日間くらい泊めてもらって、かなりお世話になりましたね。

――日本でもライムスターの宇多丸さんが頻繁にメディアで紹介されています。

TAKU OBATA 俺の兄貴がライムスターのバックダンサーをずっとやってて、「B-BOYイズム」(’98年)のPVにも出てるんです。それでイベントで兄貴に紹介してもらって、B-BOY彫刻をやってますって言ったら『ヤバイ!』ってなって最初の個展に来てくれて。『小島慶子 キラ☆キラ』(2009年3月〜2012年3月 TBSラジオ)の第1週目で俺のことを紹介してくれたり、タマフル(『ライムスター宇多丸のウィークエンド・シャッフル』2007年4月〜2018年3月 TBSラジオ)に出させてもらったり。

――宇多丸さんも日本のB-BOYから才能溢れるアーティストが登場したことで嬉しかったんじゃないでしょうか。

TAKU OBATA ありがたいことに、そう言ってもらえてます。昨年のワタリウムのトークイベントにも来てくれて(『ライムスター宇多丸&TAKU OBATAのアフター7ジャンクション@ワタリウム美術館』 2018年10月27日開催)。

――その時のワタリウムの展覧会が今回のメディコム・トイとのプロジェクトにつながったそうですね。

TAKU OBATA ワタリウムさんのほうからメディコム・トイでフィギュアを作りたいと言われたのが最初です。メディコム・トイさんも僕のことを知ってくれていたみたいで。

――以前からメディコム・トイのことはご存知でしたか?

TAKU OBATA もちろん知ってました。フィギュアも好きだったので。

おもちゃとの出合いは幼稚園とか小学校の頃に流行ったキン消しなんですけど、高校生のときに200円のガシャポンが出始めて、それがやたらリアルで衝撃的だったんです。

すごい好きで山ほど買って家に並べてました。作品を知らなくても単純に造形としてかっこいいなと思って。そのあとアパレルブランドからおしゃれなフィギュアだったり、メディコム・トイさんからBE@RBRICKが出たりして、面白いなと思ってました。

――造型という意味では近いところもあります。

TAKU OBATA 彫刻科の学生って原型のバイトをやるやつが結構多いんです。藝大の先輩や後輩で原型師になったやつもいますし。俺も昔、マネキン屋の原型を作るバイトでいろんな会社のテイストに合わせてポリパテっていう造形材で既存のマネキンの髪の毛の感じをぬるくして新しい形にした時はけっこう褒められました。いまだにBEAMSのマネキンは俺がぬるくしたやつが使われてます(笑)。

単純化するのって結構難しいんですけど、そこは彫刻家のスキルが問われるところですね。……今回(『B-GIRL Down Jacket

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NAGAME』)みたいに自分の作品の原型製作をやることってあるんですか?

――アーティスト本人が手掛けることは滅多にないと思います。

TAKU OBATA 普通は二次元の絵を原型師が立体化しますよね。そこがたぶん新しいと思うんです。建築模型だと小さいものを作ってそれをでかくしていく感じですけど、これは元が大きい作品をスキャンしてスケールダウンした作品だから、ちゃんと彫刻になる。

フィギュアに関してはずっと渋ってきたんです。UNBOXという会社から作品をソフビのフィギュアにしたいとずっと言ってもらってて、これも3Dスキャンデータから作れると知って作ったんです。13パーツから出来てて可動式でかなりクオリティの高いものです。ただソフビは中空で熱に弱いので重心がどうしても前に来てしまう欠点がありました。

今回メディコム・トイから発売されるものはそれと差別化する意味もあって、ムクでまったく動かない状態にしたので“作品”ということにしたんです。

――製作にあたってメディコム・トイとはどういうお話をされましたか。

TAKU OBATA スキャンしたデータをそのまま出力して、なるべくオリジナルの色に近いようにしてもらいたいと伝えました。最初に3Dで出力したサンプルが中空だったので、これを原型にすると微妙に形が変わってしまうから、必ずムクのものでやってほしい、というやりとりをしたので、実際の彫刻そのままになるはずです。

――ちなみに『B-GIRL Down jacket NAGAME』というタイトルの由来は?

TAKU OBATA 単純にダウンジャケットが長めってだけです(笑)。他の作品も全部分かりやすい名前にしてるだけなんですよね。

――今後もこのシリーズは作り続けていく予定ですか?

TAKU OBATA もちろん続けます。フィギュアにするかは分からないですけど、彫刻に関しては他の素材でもやりたくて、もともと作っていたブロンズ、あとフランスの会社からずっとやりたいって言われているのでセラミックでもやろうと思ってます。

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