連載・藤原美智子 2018年9月|美しく生きるための逆算思考

美しく生きるための逆算思考|連載・藤原美智子 2018年9月

COUTURE of LIFE:Essay and a story

連載・藤原美智子 2018年9月|美しく生きるための逆算思考

美しく生きるために考えること、すべきことをまとめた私の新著

この本は私の新著、『LIFE IS BEAUTY 美しく幸せに生きるための逆算思考』(集英社)です。女性誌『BAILA』(集英社)で「生き方の指針となるような連載を」ということをテーマに15年続いた連載に、加筆・修正を加えて一冊にまとめました。メイクや美容の悩みはもちろん、ファッションや恋愛、人間関係、仕事、お金、生き方などについて触れています。

Photographs & Text by FUJIWARA Michiko

ヘアメイクアップアーティストの仕事が私の思考回路を広げてくれた

ところでヘアメイクアップアーティストの私が何故、メイクや美容以外のことまで?と思われた人もいるかもしれませんね。実はヘアメイクアップアーティストというのは瞬時で、いろいろなことを把握・判断できなければいけない職業。

その人の顔立ちの長所や短所、あるいは内面の魅力や個性は何か。それをお会いした瞬間に見極めて、良い部分を強調して短所は目立たないように。あるいは一見、欠点のように思える部分を個性にしたり、まだ本人も気がついていない内面の魅力を外側に浮き上がらせるようにヘアメイクをしたり。

だから単に流行りのヘアとメイクを作れば、マニュアルどおりに作ればOKではなく、人間の外側と内側の様々な要素を読み取れなければいけない職業なのです。

その上でファッションの撮影の時は、スタイリストやカメラマンの要望に応えて。あるいはCM撮影の時にはディレクターの要望に沿うようにヘアメイクを作ります。

でも雑誌のビューティの撮影では編集者や美容エディターの絵コンテをもとに、具体的にどんな感じにするのかを決めたり、スタイリストの人が用意してくれた衣装の中からへメイクのイメージやモデルに合うものを選んだり。

また撮影後にはメイクの説明や、どのようなイメージで作ったのか、どのような女性が今求められているかなど編集内容に必要な様々なことに答えるのもヘアメイクアップアーティストの仕事。

このように仕事で求められる多くのことが、私の思考回路を広げてくれたように思います。

歳を重ねる意義は何?

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私は数年前から確信していることがあります。それは“歳を重ねる意義は幸せになること”であり、“人は幸せになっていくために歳を重ねている”ということです。それは幸せな状態でいられる時に、女性は輝くし魅力的になることを確信するようになったからです。

メイクやファッションで可愛くなったり綺麗になったり、あるいは自分らしい個性を表現できるようになるのは女性にとって大事なことですが、それは最終地点ではなく幸せな状態になるための一つの過程に過ぎません。

現実は大変だったり、心の余裕が持てなかったりすることが多々起こります。でも物事の捉え方や思い方を変えると、それこそ現実も顔の表情も綺麗さも瞬時に変わるのも事実。その変化を私は長年、メイクルームで見てきました。ヘアメイクをしている途中、あるいは終えた直後、それまで何かしらの要因で曇っていたモデルの表情やオーラがキラメキに変わる瞬間を今までたくさん見てきたのです。

その瞬間を私は「瞳に星が入る」とひそかに呼んでいます。

このような瞬間を見ることができるのが、この職業の醍醐味であり、私はそれを見たいためにヘアメイクのテクニックを磨いたり、心理的なことを勉強したりしてきたと言っていいでしょう。

“可愛い”や“綺麗”の先にある美を目指して

もちろん私自身も一人の人間であり女性として悩んだり苦境に立ったりした時、どのような思考の仕方をしたらいいのだろう、行動したらいいのだろうといろいろ試行錯誤してきました。

そして、こうした今までの自分の体験や、ヘアメイクという一つの職業から実践で得た多くの気づきを活かして人の役に立ちたいという思いから数年前、「ヘアメイクアップアーティスト」という自分の肩書きの他に、“生き方”という意味を込めた「ライフスタイルデザイナー」という肩書きを加えました。

この本はまさにその両方を象徴するような一冊になっていると思います。「可愛い」や「綺麗」の先にある魅力的でキラキラと輝く幸せな女性、そんなトータルな美を目指している女性に読んでいただけると嬉しいです。