東洋のヴェニス、豊かな水の都・蘇州で時間旅行
LOUNGE / TRAVEL
2018年9月21日

東洋のヴェニス、豊かな水の都・蘇州で時間旅行

高感度なトラベラーが集うW蘇州で過去と現代を行き来する

東洋のヴェニス、豊かな水の都・蘇州で時間旅行

隣国ながら、日本ではまだ広く知られていない表情も多く持つ中国。北京や上海のような国際的な大都市とはひと味違った魅力を持つ地方都市にも事欠かない。蘇州もそのひとつ。“東洋のヴェネチア”とも称される水の都であり、古き良き中国文化も垣間見られる場所だ。

Text by MAKIGUCHI June

世界文化遺産に会いに

蘇州は、上海虹橋国際空港から車で1時間ほど走った場所にある江蘇省の中心都市。亜熱帯モンスーン気候の、緑と水に溢れた美しい街だ。その始まりは紀元前500年前後、春秋時代に遡る。七世紀初頭に北京と杭州を繋ぐ京杭大運河が建設されたことで、その途中に位置する蘇州は貿易の要所に。大運河の支流が網の目のように伸びて街中に水の交通路が生まれ、蘇州はますます発展。宋朝(960年-1279年)―元朝(1271年-1468年)時代には繁栄を極めた。今では、長江流域では最も古い約2500年の歴史を誇る都市となり、国内屈指の観光地にもなっている。

中国で河と橋が最も多いこの街で、人々は今も運河を生かして暮らしており、観光客はクルーズで水辺の風景を楽しむことができる。“東洋のヴェネチア”と称されることが多いのも、こんな文化と豊かな歴史ゆえなのだ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

327-03

周荘 蘇州市観光局提供

水の都を存分に体感できるのが街歩き。おすすめなのが、山塘歴史文化街区だ。唐の時代に開かれたこの地区は、通りの両脇に古くから営まれている飲食店が立ち並び、当時の面影を今に伝えている。街の繁栄を長きにわたり支えてきた山塘河には、今も船が行き交い、まるで映画のワンシーンに飛び込んだかのような錯覚を楽しむことができる。

時間が許すなら、ぜひ周荘もぜひ訪れて欲しい。「中国一の水郷」と呼ばれる周荘は、もっとも典型的な江南水郷街だという。街は湖に囲まれており、街中には運河が走っている。水路に沿うように、昔ながらの店や茶屋、織物工房や鍛冶屋が立ち並んでおり、路地に迷い込むようにして、伝統的な水郷街を散策していると時間を忘れてしまいそうだ。

内页-1

327-05

夜、灯のともった街をそぞろ歩くのもひとつの楽しみ。水面に映り、ゆらゆらと揺れるオレンジ色の灯は、まるで別世界に迷い込んだよう。物語の世界のような幻想的な非現実感を味わうのも蘇州の楽しみ方のひとつだ。

街歩きとともにおすすめしたいのが、明の時代(1368年-1644年)から造られ始めた庭園巡りだ。かつて有力者たちが風流を好んで造らせた、豊かな水を生かした美しい庭園も多く残る。運河、崑曲、絹織物など、この町の風景と伝統文化が称賛され、世界文化遺産に登録されている。

真っ先に訪れたいのは蘇州四大名園として名高い、滄浪亭、獅子林、拙政園、留園。そのうち、留園と拙政園は中国四大名園にも数えられている。滄浪亭は宋代(948〜1264年)、獅子林は元代(1271〜1368年)、拙政園は明代(1369〜1644年)、留園は清代(1644〜1911年)と、それぞれの時代を代表するスタイルを鑑賞することができるのも魅力。庭園巡りをしながら、さながらタイムトラベラーのように歴史散歩できてしまうのが何とも豊かで嬉しい。

そして、忘れてはならないのは美食。蘇州と言えば、世界的に有名なのが上海蟹だ。上海の名がついているものの、特産地は蘇州のある江蘇省。陽澄湖で採れるものが有名で、中国では「大閘蟹(ダージャーシエ)」と呼ばれている。秋の味覚として人気で、特に10月の雌、11月の雄が美味と言われる。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

江蘇料理は、淡白ながら味わいが深く、淡水魚や野菜など素材の味を生かす調理が特徴。魚やエビ、肉などを程よく煮込み、そこから出た出汁の旨味を消さないまろやかな味付けは、飽きが来ず日本人好み。特に滋味深いスープは、胃を温め食欲を増進させてくれる。伝統的な建築の中で蘇州の伝統料理をいただける店も多いので、ぜひ外観にもこだわって店選びを楽しんでほしい。また、この地域は琵琶の産地としても知られ、旬になると街中でも自転車いっぱいに琵琶を積んだ売子の姿が見られる。

街やレストランで接する人々は、のんびりとしていておおらか、朗らかで温かい。旅人にも優しく接してくれ、とても世話好きという印象だ。かつて隆盛を極めた時代の史跡も多く残っており、歴史好きにはたまらない。都市の風情を楽しみながら、古き良き中国に思いを馳せる―。そんな楽しみを味わえるのが蘇州なのだ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

OLYMPUS DIGITAL CAMERA

そんなオールドシティエリア建築遺産を堪能した後、現在開発の進む金鶏湖エリアへと移動することは、まるで過去から未来へ、つまり現代へのタイムトラベルのようだ。蘇州の多彩な表情を楽しむなら、滞在はぜひ金鶏湖のほとりで。さながら、現代建築のショーケースといった趣のこのエリアには、オフィスビルや高級住宅が立ち並ぶ。

このエリアの中心に佇むのがW蘇州だ。2017年9月27日の開業以来、国内外の高感度なトラベラーたちが多く集まる話題のスポット。蘇州の建築遺産や自然を、現代的な解釈でデザインに落とし込み、過去と現代、伝統と革新を交差させたインテリアは、デザイン好きにも注目の的だ。

内页-1

蘇州市観光局提供

327-11

「湖」、「岩」、「パビリオン」、「門」など蘇州らしい伝統的な要素が、デザインにおけるキーエレメントとして用い、館内の至る所に取り入れられている。ゲストたちが真っ先に足を踏み入れるエントランスには、2色のアクリルと金属からなるシャンデリア“Crystal Cloud”が掲げられ、変化する照明で人々を出迎える。

Marriott International Hotel

Marriott International Hotel

玄関の先には、蘇州の歴史的エレメントを現代的なアートとデザインで捉え直した「LIVING ROOM」が。「LIVING ROOM」とは、伝統的なホテルロビーをW独自に解釈したスペース。その土地が持つ特徴やムードからインスピレーションを得て、居心地の良い空間として構築された社交の場だ。

小石のような形の椅子は、古典庭園の岩をイメージさせ、蘇州の歴史的な街並みを捉えた写真と現代的な写真で、蘇州の過去と未来の魅惑的な交錯を表現している。

ゲストルームには街の要素を取り入れつつ、バスタブや机、ベッドなどインテリアのすべてが、金鶏湖の素晴らしい眺めを見下ろすしながら空間浮遊するかのように設計されている。

長期滞在向けに用意された60軒のサービス付きレジデンスには、日本を含む海外からやってきたビジネスマンも多く暮らす。ホテル内にインターナショナルなムードが漂うのもそのためだ。

中華料理以外も楽しみたいという人には、37—38階から蘇州の3つの湖をすべて見渡せる絶景レストラン「Toro Loco」で、蘇州初の本格スパニッシュを。

オールデイダイニング「The Kitchen Table」では、お馴染みの西洋料理が楽しめる。

ホテル内にはもちろん中華レストラン「Su Yan」もあり、地元の絹貿易からインスパイアされた真っ赤なタペストリーも一見の価値ありだ。

日替わりで江浙料理と潮州料理が味わえるのも嬉しい。

327−14

デイタイムはラウンジとして、またナイトタイムにはカクテルバーとして、人と人との交流を演出してくれる「WOOBAR」は、水を感じさせる曲線が屋内から屋外への導線としてダイナミックに続く大胆なインテリアもデザイン好きにはたまらない。

327-15

蘇州一高い場所に位置する36階のプールWET®、金鶏湖を見下ろすAWAY®Spaなどを利用しながら、自分好みのエネルギーチャージをすることが可能だ。

327-16

Marriott International Hotel

Wホテル ワールドワイド グローバルブランドリーダーであるアンソニー・インガム氏は、このようにコメント。

「蘇州はこの10年で劇的に変貌しました。現代的なデザイン、アート、文化を受け入れ、急速に世界中の旅行者の人気スポットとなりつつあります。W蘇州にお客様をお迎えすること、そして中国でも最先端の旅先になりつつあるこの地に、Wホテルならではの活気と大胆なデザインをご紹介できることを楽しみにしています」

327-18

327-19

アートビエンナーレも開催され、今後、国内からますますクリーションの中心地としても注目を集める蘇州。上海から、車なら90分程度、高速鉄道ならわずか30分で行くことのできる歴史と文化、そして水の都。まずは上海出張の合間に、旅行中に、ちょっと足を延ばして訪れてみるのがおすすめだ。

■蘇州市観光局
http://www.suzhoukankou.com/page/p2.html

■W蘇州
https://www.marriott.co.jp/hotels/travel/szvwh-w-suzhou/

           
Photo Gallery