スイス時計2.0時代を予感させる新生アールジェイ、そして就任した新CEOの意気込み|RJ

RJ|スイス時計2.0時代を予感させる新生アールジェイ、そして就任した新CEOの意気込み

BASELWORLD2018

RJ|アールジェイ

スイス時計製造のパフォーマンスをもう一度高めるべく、
旧ロマン・ジェロームから新生RJへ(1)

私が見たところ、バーゼルワールド2018で最もドラスティックに変革を遂げたのがRJです(正確に申しますと、RJはバーゼルワールド脇のホテルでの自主発表ですが)。ブランド名を旧ロマン・ジェロームからRJへと変更、昨年12月に新CEOを迎えました。この新CEOがとても若く、30代前半にして世界的ブランドの主となったわけですが彼は単なる幸運な“ヤンエグ”ではありません。彼はわずか2カ月余りでブランドコンセプトを練り直し、新作のプロトタイプまで作ってみせました。この記事はバーゼルワールド後に来日した新CEOにインタビューした際の内容をまとめたものです。新生RJの将来性を占うには、きっとこの記事が役立つと思います。感触はベリーグッド! このブランド、これからますます伸びそうです。

Photographs by SUZUKI Takuya(Portrait)Text by TSUCHIDA Takashi(OPENERS)

新スローガンは、#JUSTRAW(自然のまま)

――はじめに。CEOとなる以前、マルコ氏にとって、ロマン・ジェロームという時計ブランドはどう映っていましたか?

Marco すごくユニークなブランドですよね。これまでフォーカスしてきたキャラクターやDNAも好き。他ブランドと比べることができないぐらいの強烈な個性は、私自身、個人的にも好感を持っていました。

――このブランドはMarcoさんの指揮下で、どう変わっていくのでしょうか?

Marco ブランディングは変えていきます。そのひとつとして、名前が変わりました。「ロマン・ジェローム」から「RJ」というブランド名に変更したんです。

でもこれは新たなブランドとしての船出ではなく、元々の名前を使いつつも、ブランドの現状を分かりやすくしただけと捉えています。

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RJの新CEOマルコ・テデスキー氏。

――とはいえ、名称を変える意味合いはブランドにとって小さくはないと思うのですが、具体的に「RJ」という新名称に込めた思いを聞かせてください。

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アロー クロノグラフ 45MM

ムーブメント|自動巻き
ケース素材|ブラックセラミック
ケース径、厚|45mm、14.8mm
ケースバック|サファイアクリスタル
ストラップ素材|ラバー(インターチェンジャブル)
防水|10気圧
価格|164万円(税別)

Marco RJとは、ブランド創設者にちなんだ名前ロマンとジェロームのイニシャルですが、その創設者がすでに組織から退いている以上、名前自体に特別な意味はありません。

実を申しますと過去8年前ぐらいから、すでにロマン・ジェロームというブランド表記は用いず、RJというイニシャルを文字盤にも使ってきました。それを今回、前面に押し出したまでです。ただしこの名称変更とともに、これまでのマーケティング主体のニッチブランドから、もっとリアルで本格的な高級機械式時計ブランドに変えていきたいという願いがあります。

――具体的にはどう変わるのでしょう?

Marco まず3本の柱を掲げていきたいと思います。ひとつはバーゼルワールドで提示した「アロー・コレクション」。このモデルが、新生RJのベースになっていくものと考えています。次にブランド創立当初からのDNA、タイタニックをはじめとするコレクションですね。それからさまざまなキャラクターとのコラボレーションモデル。

まとめると、アロー・コレクション、DNA、コラボレーションをそれぞれ柱として、ブランドを成長させたいと考えています。

――たしかにアロー・コレクションの外装のアップデート感は明快なもので、誰の目から見てもその上質さが滲み出ていました。これは、過去、ロマン・ジェロームというブランドがストーリー性で個性を打ち出してきたコンセプトとは異なるものですが、その意図を教えてください。

Marco 今までのロマン・ジェロームには個々のモデルでストーリー性に満ちていても、高級時計としてのクオリティを提示する要素がなかったんですね。そこで新しく立ち上げたアロー・コレクションにより、新生RJの時計製造におけるハイパフォーマンスをアピールしていきたいと考えました。

例えば、

1 スタンダードモデルのケース素材をSSからチタンに変えました。
2 ブラックPVDよりも上質なブラックセラミックに変えました。
3 ゴールドモデルについては、合金部分の内容をアップグレードして、質感をさらに高めました。
4 インターチェンジャブルストラップを採用してストラップの付け替えをスムーズにしました。

加えて、来年のSIHHでは自社ムーブメントを発表します。これは遠くない将来、RJブランドの全モデルをインハウスムーブメントにしていくための第一歩です。

――マニュファクチュール化ということですね。

Marco そうです。それと同時に、ブランドが得意とするストーリー性やDNAも生かしていきます。

――MarcoさんがCEOとなったことで見る見るうちに改善が進んでいきますが、どうして実現できるのでしょうか? 業界のコネクションですか? それとも、生産規模が変わったのですか?

Marco 実は私、2017年12月23日にCEOに就任しまして。スイスではウィンターバケーション時期でしたが、休んでいる最中もずっと「新しいRJをどうしていこうかな」と考えながら、自分でデザインを描いたりもしていました。

それからバーゼルワールドまでの2カ月余り、過去10年間さまざまなサプライヤーさんらと、個人的に良い関係を築いてきたことが、試作品に結実したと考えています。

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