時の経過をビジュアル化するために、最先端の液体テクノロジーを駆使|HYT

HYT|時の経過をビジュアル化するために、最先端の液体テクノロジーを駆使

BASELWORLD2017

HYT|エイチ・ワイ・ティ

キャピラリーをありのまま見せる
ブランド設立から5年を経て誕生した
金字塔モデル。「H0」がついに完成!

2012年にブランドが誕生し、H1からH4、スカルへと、順にコレクションを発表してきたHYT。その集大成とも言うべき、根幹技術をストレートに表現した新作が2017年のBASELWORLD期間に発表された。文字盤からケースサイドまでを覆うのはサファイアの風防。これによりキャピラリー(ガラスの毛管)とベロー(ふいご。スプリング状の2つのパーツ)を際立たせている。

TEXT by TSUCHIDA Takashi(OPENERS)

未知なる心の動きを創造する、ハイブリッド機械式液体制御時計

「ここ最近の時計については、クリエイティビティが十分に発揮されているとは言えなかったと思います」

これはHYTのCEOグレゴリー・ドゥード氏の言葉だ。あくまでも個人的な印象と前置きをしつつ、彼は包み隠さぬ表現で業界の現状を省みる。

グレゴリー氏は一度、時計業界から離れている。業界の既存技術に飽きてしまったというのだ。

「モーターリゼーションの世界では、自動運転が試験運用されはじめました。携帯電話からスマホに移り、人々の生活もどんどん変化しています。しかし時計業界だけは未だ過去の遺産にすがり、新しい動きが出てこなかった。

ところが私は再びこの業界に戻ってきました。それはHYTが伝統的な時計技術のみならず、宇宙工学、医療技術など、最先端の科学技術を用いることに可能性を見い出したからです。過去に囚われない自由なクリエイションは、心に感動を呼び起こします。腕時計は時を知らせるツールである前に、所有者に感動を与え、誇りをもたらすものであるべきなのです」(グレゴリー・ドゥード氏)

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HYTの根幹技術は、2種類の分子構造の異なる液体をベローの圧力によって正確に移動させることにある。その混じり合うことのない液体の境目が、時針の代わりだ。そしてベローの正確な制御は、機械式ムーブメントが担当する。

内径わずか0.8mm、長さ約11cmのガラス製毛管がキャピラリー。これに注入する液体の着色工程は医療技術に由来する。一方の丈夫で極めて柔軟性が高いベローは、NASAの宇宙工学技術にもとづくものだ。技術概要については、2014年のBASELWORLDで公開された、左下の動画が分かりやすい。主にH1シリーズで機構を紹介しているが、ベーステクノロジーは新作H0を含む全モデルに共通する。

2014年にHYTが公開した動画

今年、HYTが公開した動画

朝夕6時から6時まで、液体の境界で時刻を示し、夕刻の6時になるとベローの圧力が解けて、液体の境界は速やかにスタート位置に戻っていく。レトログラード針のように瞬時にというわけにはいかないが、動きとしては同じである。

この液体で時刻を表示するメリットとして、グレゴリー氏は以下のように指摘する。

「朝6時からの経過が視覚的に示されることから、まるでダウンロード完了までの時間を表示するアイコンのように、タイムフローが感覚的に分かります。つまり日中の活動時間に、有効な時間を過ごせたか、時間があとどれだけ残っているのかを直感的に伝えるのです」

キャピラリーは「スカル・ヴィーダ」のように円でなくてもかまわない。非連続的な形状でも、液体ならば時刻表示が叶うのだ。そして「今後はこの機構をダウンサイズすることも視野に入れたい」と、グレゴリー氏。さらには「液体の動き自体をエネルギーに変換することにもチャレンジしたい」とする。4000年前の古代エジプトで発明された水時計が、現代解釈され、腕に載せることができるようになるとは、いったい誰が想像できただろう。

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H0ブラック H0シルバー H0オレンジ

ムーブメント|手巻き(特殊HYTキャリバー)
パワーリザーブ|65時間
ダイアル|時刻を示す液体を注入したキャピラリーのほか、小秒針、分針、パワーリザーブインジケーター
ケース素材|チタン(DLC加工もしくはサテン仕上げ)
ケース径|48.8mm
ケースバック|シースルー
防水|3気圧
ストラップ|ラバー
価格|560万円(税別)
発売時期|7月発売予定

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