究極のクォーツ登場。クォーツの新しい未来へ|LONGINES
Watch & Jewelry
2017年4月19日

究極のクォーツ登場。クォーツの新しい未来へ|LONGINES

LONGINES|ロンジン

最も正確でインテリジェントなクォーツウォッチ
ロンジン「コンクエストV.H.P.」(1)

2017年3月23日から30日まで、スイス第3の都市・バーゼルで開催された世界最大の時計宝飾見本市「バーゼルワールド2017」。1832年にスイスのサンティミエで創業したロンジンは、このフェアのちょうど2週間前の3月9日、スイスのヌーシャテル(ニューシャテル)天文台で、世界各国からジャーナリスト&インフルエンサー約100名を招いて、画期的な新技術を搭載した超高精度クォーツウォッチ「コンクエスト V.H.P.コレクション」の発表会を開催した。日本から参加・取材したひとりとして、ロンジンがバーゼルワールド直前に新作発表会を開催した理由、その模様とこのモデルの概要をお伝えする。

Photographs & Text by SHIBUYA Yasuhito(Office Nomad)

「バーゼルワールド2017」に先駆け
伝説の地、ヌーシャテルで発表!

発表会場となったヌーシャテル天文台はスイスの時計業界、そして高精度時計と非常に深い関わりのある伝説的な場所だ。なぜならここは1858年にスイス時計業界の要請を受け、天体観測よりも主にクロノメーター(高精度時計)の検定を担う場所としヌーシャテル州の公共経済局の手で設立された天文台だからだ。

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発表・展示会場は、ヌーシャテルの街と湖を見下ろす丘の上の旧ヌーシャテル天文台。現在は時計産業、ヌーシャテル大学、スイス連邦政府およびヌーシャテル州が1984年に設立した非営利の株式会社、大学や公的研究機関が行う基礎的研究と新技術の製品化の橋渡しをするSwiss Center for Electronics and Micro technology (CSEM)社の施設となっている。ロンジンの歴史的なクォーツモデルと新製品のプレゼンテーション、展示は旧天文台の望遠鏡ドームとその付属施設の中で行われた。

設立2年後の1860年には懐中時計のクロノメーター検定業務を開始。やがて、各時計ブランドが時計の精度と歩度(精度)調整技術を競うクロノメーターコンクールも、スイスにおける草分けである旧ジュネーブ天文台と同様に、このヌーシャテル天文台で開催されることになる。さらに約90年後の1952年にはスイスとフランスが組織するクロノメーター作業調整国際委員会から、旧ジュネーブ天文台ともども、クロノメーターコンクール用時計と特別調整時計の検定と公認歩度証明書の交付を行うヨーロッパでも数少ない天文台となった。熱心な時計愛好家なら、日本のセイコーがこの天文台のクロノメーターコンクールに1964年から1968年にかけて挑戦し好成績を収めた場所として、また市販したクロノメーターモデルの検定が行われた場所としてご存じだろう。

1832年に創業し、19世紀後半から20世紀初頭にはスイス屈指の総合時計メーカーに成長していたロンジンにとってもこのヌーシャテル天文台は、非常に思い出深い場所、記念すべき場所でもある。クロノメーター検定を行ってくれる第三者機関として、また機械式時計に留まらずクォーツ時計でも、優れた成績を上げてその名を高めたクロノメーターコンクールの舞台として、また今回発表された「コンクエスト V.H.P.」の初代モデルの発表会場として。

知る人ぞ知る歴史と情熱。
ロンジンの優れたクォーツ技術

ロンジンが1954年に初めて開発したクォーツ時計は、この天文台で精度における新記録を続々と樹立。16ミリカメラとこのクォーツ時計を組み合わせたクロノグラフ機器"Chronocinégines"は、1/100秒単位で陸上選手の動作を撮影・追跡、そのネガから審判たちはフィニッシュライン通過時の選手の動作を確実に判定でき、この計時機器の登場でスポーツ計時は飛躍的な進化を遂げることになった。

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左/ロンジンが開発した初のクォーツ時計"Chronocinégines"。16mmフィルムカメラと組み合わせることで、1/100秒単位でフィニッシュラインを通過する陸上選手を連続撮影するシステムが完成した。右/船舶に搭載する高精度時計のためのクォーツムーブメント“キャリバー800”。これまで機械式時計で打ち立てられたヌーシャテル天文台の精度記録をことごとく塗り替えた。

ロンジンのクォーツ技術は、この計時機器を出発点に着実に進化を続ける。1965年には、船舶用のクロノメーター(クロック)のために、クォーツムーブメント“キャリバー800”を開発した。このクロノメーターは機械式時計が天文台コンクールで樹立した記録をことごとく塗り替えた。そして引き続きロンジンは1967年に初のアナログ・クォーツ時計を開発したヌーシャテルのCEH(電気式時計研究所)など他社と共同でクォーツウォッチの技術開発を進める一方で、1970年までにクォーツウォッチを開発製造するという「砂時計プロジェクト」を社内において独自で極秘に推進。セイコーにわずかに先行され、残念ながら「世界初の量産クォーツウォッチ」の栄誉を逃したものの、1969年9月には「キャリバー6512」と呼ばれるムーブメントを搭載した「ウルトラ・クォーツ」の量産プロトタイプモデルを発表している。

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左/時計各社が共同で設立したヌーシャテルのCEH(電気式時計研究所)とは別に、ロンジンが「砂時計プロジェクト」と名付けて社内で極秘開発し、秋に完成した「ウルトラ・クォーツ キャリバー 6512」と量産用プロトタイプモデル。残念ながら年内の量産開始には至らずに終わった。右上/サンティミエのエボーシュSA(現在のETA社)とシリコンバレーの半導体メーカー、テキサス・インスツルメンツと共同開発したロンジン初のデジタルウォッチ。斬新なデザインは高い評価を得た。右下/「コンクエストV.H.P.」コレクションのファーストモデル。精度は年差±10秒だった。

さらに1970年代に入っても、ロンジンは精力的にクォーツ腕時計の開発を推進した。1972年にはエボーシュSA(後のETA社)と半導体メーカーのテキサス・インスツルメンツと共同で「ロンジンLCD」という初のデジタルウォッチを、その後も超薄型クォーツを発表。そして1984年、ロンジンはヌーシャテル天文台を会場に、当時としては最先端の高精度クォーツウォッチ、初代「コンクエスト V.H.P.」を発表した。

つまりバーゼルワールド直前にもかわらず世界中からメディアを招待して行った今回の最新の「コンクエスト V.H.P.コレクション」の発表は、1996年のパーペチュアルカレンダーモデルの発表から21年ぶり、このコレクションがデビューした記念すべき場所での発表会は実に33年ぶりのイベントなのである。ロンジンのこの新コレクションに対する並々ならぬ自信と意気込みがうかがえるだろう。

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パーペチュアルカレンダー機能を搭載した「コンクエスト V.H.P. パーペチュアルカレンダー」。この後、機械式時計ブームの中でこの名前はしばらく封印されることになる。

Page02. クォーツで最高レベル超高精度に加えて、針で時刻を正確に表示する新機構を搭載!

LONGINES|ロンジン

最も正確でインテリジェントなクォーツウォッチ
ロンジン「コンクエストV.H.P.」(2)

クォーツ腕時計でも常にスイス時計界のトップを走ってきたロンジン。その最新コレクションである「コンクエスト V.H.P.」に搭載されたクォーツ技術も間違いなく現時点での最先端だ。発表会で配布されたパンフレットの「THE ULTIMATE QUARTZ INNOVATION 〜BACK TO THE FUTURE OF QUARTZ(究極のクォーツ発明 クォーツの未来に立ち返って)」という、スマートウォッチを意識した挑戦的なコピーからもそのことがうかがえる。

機能や技術など革新的な要素が満載だが、「コンクエストV.H.P.」でまず語るべきは、年差(1年間の精度誤差)が±5秒というクォーツでも最高峰の超高精度である。日本製のクォーツ腕時計でもこのレベルの超高精度を謳うモデルはごくわずか。スイス製クォーツでは超高精度を誇るものでも年差±10秒がこれまでの最高レベルだ。つまり従来の2倍もの高精度を実現しているのである。

ただ、技術的には精度を改善する方法自体は従来と変わらない。周囲の温度によって微妙に変化するクォーツ振動子の発振周波数のズレを、温度センサーと電子回路で補正している。

しかし、この時計で何よりも画期的で素晴らしいのは、強烈な衝撃や磁気の影響を受けても、年±5秒という高精度を常に正しく表示する新機構だ。そしてその機構の要となるのが、時分秒針の位置を常時把握しているGear Position Detection(ギア・ポジション・ディテクション=ギア位置検出)システムである。

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時分秒3本の針の位置は、常にこのシステムがモニターしている。そして時計内部で年差±5秒で時を刻む超高精度クォーツ回路の現在時刻データと針の表示が、衝撃や磁力線など外部からの力が加わったことでズレる(針飛びしてしまう)と即座にそれを検知し、針の駆動回路に指令を出し、針を自動的に正しい位置に戻している。

たとえば、時計に物理的な衝撃が加わると内蔵のGセンサーがどのくらいの衝撃かを検出。時計に加わった力が500Gまでの場合は、針の位置を瞬時に修正する。そして500Gを超える場合には、針や歯車への悪影響を最小限にするためにいったん針を止め、衝撃がなくなってから現在時刻データに基づいて自動的に修正を行う。

またこの時計では内蔵の磁気センサーも常に働いており、正しく駆動できる限界値以上の強い磁気を検知すると瞬時に針を止め、針や歯車の損傷を回避。そして磁気がなくなったことを確認してから、現在時刻のデータに基づいて正しい位置に針を自動的に戻す耐磁&修正機能を備えている。

そして、強い衝撃や強い磁気に晒されるという問題が起きなくても、毎日深夜3時にはGPDシステムが自動的に働いて、針のズレを修正する。

さらに、時刻表示の修正の際、針を動かす機構にも「パワードライブ400」という新システムが搭載されている。これは3針モデルでは3つのモーター、クロノグラフでは5つのモーターを搭載し、それぞれの針を秒速400ヘルツ、1秒間に400ステップという超高速で時計回りと反時計回りの両方向に動かすもの。だから針が止まってしまった後、針が驚くほど早く正しい位置に戻る。このシステムを活用すると、針で多彩な表示を行う機能も可能だという。

またリュウズを操作することで秒合わせができる、簡単にサマータイムの切り替えができるなど操作性に優れた「スマートクラウン」機能や、カレンダーの日付修正は一切必要ないパーペチュアルカレンダー機構の搭載も大きな特長だ。

一見するとオーセンティックなアナログウォッチだが、耐ショック性を誇るアウトドアウォッチを凌ぐ、ケタ違いの耐ショック&耐磁気性能、そして年差±5秒の超高精度を備えたロンジンの新しい「コンクエストV.H.P.」。デビューから33年の時を経て再び「究極のアナログクォーツウォッチ」が登場した。

LONGINES Conquest V.H.P.
ロンジン コンクエスト V.H.P.

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1984年にスタートした高精度クォーツウォッチ「ロンジン コンクエスト V.H.P.」の歴史と伝説を受け継ぐ、年差±5秒という時計界で最高峰のクォーツウォッチ コレクション。V.H.P.は「Very High Presision(超高精度)」の略。3針とクロノグラフの2つのモデルがあり、文字盤のカラー&デザインはそれぞれシルバー、ブルー、ブラック、ブラックカーボンの4種類、計8つのバリエーションがある。ケース径は3針モデルが41mm、クロノグラフモデルが42mm。すべてSSケース&ブレスレット。5気圧防水。価格は3針モデルが12万1000円(税別)、クロノグラフモデルが19万6000円(税別)。今秋発売予定。

問い合わせ先

スウォッチ グループ ジャパン ロンジン

Tel.03-6254-7351

http://www.longines.jp

           
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