米山庸二×宮下今日子 特別対談「素敵に年齢を重ねるために」|M・A・R・S

M・A・R・S|米山庸二×宮下今日子 特別対談「素敵に年齢を重ねるために」

「M・A・R・S」米山庸二 特別対談

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米山庸二×宮下今日子 特別対談

素敵に年齢を重ねるために(1)

2016年に25周年を迎えた「M.A.R.S.(マーズ)」。それを記念して送るデザイナー米山庸二氏の対談連載。今回のゲストは、女優の宮下今日子氏。結婚指輪を「M.A.R.S.」でオーダーして以来、ブランドのファンを公言する宮下さん。お互いのこれまでの歩みを振り返りながら、人生において大切なことは何かを語ってくれました。

Photographs by TANAKA TsutomuHair by HIROKI (W)Make-up by Nagisa (W)Text by TOMIYAMA Eizaburo

本番よりお稽古が好きで楽しいんです(宮下)

――宮下さんはいつもオシャレなイメージがあって、ファッションもお好きだと思うのですが、M.A.R.Sのどんなところがお好きですか?

宮下今日子さん(以下、宮下) 人気有名ブランドのジュエリーも素敵ですが、誰かとお揃いになることがよくありますよね? それと、チラッと見られて「あのブランドのしてるわね」と思われるのも苦手で。そういう意味でもM.A.R.Sは質が高くて、少しクセがあって、それでいて使いやすいのがいいですね。

米山庸二さん(以下、米山) それは嬉しい。

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宮下 洋服はいろんなタイプを着たいんですけど、ジュエリーはいつも同じものをしていたいんです。使いやすいっていうのは、どんな服にも合わせやすいという意味でもあって。「これさえあればいい」と思えるものが好きなんですよね。体の一部みたいな感覚というか。

――では、あまりフェミニンなのものはお好きじゃないんですね。

宮下 ミハラヤスヒロさんのメンズだったり、普段はお洋服もメンズを着ることが多いですね。でも、M.A.R.Sのなかではわりと華奢なデザインのものを着けています。

米山 今日子ちゃんは、かっこよく着こなすんですよ。何を着ても負けないキャラクターというか色はあるから。そこはすごいなって思う。でも、小さい頃から背が高かったの?

宮下 幼少期は小さかったんですよ。中学2年で急に身長が伸びて。

米山 そうなんだ。もちろんその頃には、すでにバレエをやっていたんですよね。

宮下 物心がついた頃にはやっていました。当時は喘息だったり身体も小さかったので、親もすぐにやめると思っていたみたいですけど。でも、小学校3~4年の頃には一生バレエをやっていたいと思ったんです。

米山 へぇ、それはなぜですか?

宮下 現実から離れた夢の世界だから。あと、舞台に出ることよりも毎日レッスンすることが好きで、本番がなくてもいいくらい。いまもわりとそうなんですよね。本番よりお稽古が好きで楽しいんです。マラソン好きな人が、大会に出るよりも毎日走っているほうがいいみたいな。

米山 コツコツ系なんだね。

宮下 そうではないと思うんですけど、積み重ねたうえでしかできないことが好きで。夫の八嶋(智人)はまったく逆で、パッとできないと嫌みたい(笑)。

米山 やってみて、うまくできないもののほうがやりたいタイプなんだね。

宮下 そうなんです。だから本当はバレエもお芝居も向いてないんですよ。だからこそずっと続いている。

米山 続けられることが才能だし、誰よりも向いているってことだと思う。

宮下 そんなことないです。

体力的には衰えてきますけど、「今が一番いい」って思える(宮下)

米山 でも、よく考えると僕もコツコツタイプかな。大体のことはパッとできるタイプだけど、できないことのほうが続くというか、難しいからこそ続く。

宮下 バレエで生活できないことは中学くらいにわかっていて。でも、すごく好きだったからやめられなくて。20歳になっていよいよという段階で、一回やめて何もしなくなったら体調が悪くなってしまったんです。それからは仕事というよりも、自分のためにお稽古を続けたんですよ。その後、就職活動を目前に控えた大学3年生のときに野田秀樹さんのオーディションがあって。未経験者でも応募可能だったので受けてみて。

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それが最初のお芝居体験。そのときのメンバーとはすごく仲良くなれて、そこから今のキャリアへとつながっているんです。

米山 それで演劇の方向に進まれたんですね。

宮下 野田秀樹さんの舞台がとても難しくて。意味もわからず、言われたことをただやっていて、しかも公演の最後のほうで怪我をするという。何ひとついいところがないまま終わったんです。なので、当初は大学時代の記念みたいな感覚だったんですけど、野田さんにも迷惑をかけっぱなしで、このままでは終われないと思って。そこからまたオーディションを受けるようになったんですよ。

米山 やっぱり、うまくいかないことを選んでしまう(笑)。

宮下 最初にうまくいったと思えていたら、やっていなかったかもしれないですね。いまだにうまくできないですけど。

米山 これまでに、表現者として影響を受けた人はどんな方でしたか?

宮下 たくさんいらっしゃいますけど、ひとりあげるとすれば木野 花さんですね。木野さんとお会いするまでは、「先輩たちに到底追いつかない」という気持ちでやっていたんです。でも、そういうことではなく「ひとつずつクリアしなさい」と指導されて。つまり、それまでの自分は何ができていないかわかっていなかった。できていないことを1個ずつ明確にして、それをひとつずつクリアするようになってから、演劇のやり方も変わっていったんです。

米山 それは大事なことだよね。

宮下 私はすぐに高みを目指す傾向があって。追いつかないものを獲りたがるんですけど、そこに行くためには近くのものからクリアしていかなくてはいけない。それを教えてくれた芝居のお師匠さんが木野さんなんです。

米山 踊りの楽しさというのは、やっぱり年齡ごとで変わっていくもの?

宮下 体力的には衰えてきますけど、「今が一番いい」って思えるんです。バレリーナを見ていても、歳を重ねたがゆえのいい踊りがたくさんあって。そこが一番面白いところですね。

Page02. 思春期の熱量をキープできる人は、40歳になっても50歳になっても醒めない(米山)