DIOR FINE JEWELRY|ヴィクトワール ドゥ カステラーヌにインタビュー!

DIOR FINE JEWELRY|ヴィクトワール ドゥ カステラーヌにインタビュー!

FASHION

DIOR FINE JEWELRY|ディオール ファイン ジュエリー

ディオール ファイン ジュエリー初の写真集出版

ヴィクトワール ドゥカステラーヌにインタビュー!

ファンタジー溢れるおとぎ話のようであり、類まれなるクラフツマンシップの結晶……アーティスティック ディレクターであるヴィクトワール ドゥ カステラーヌの想像した世界をぎゅっと凝縮したかのようなディオール ファイン ジュエリーのコレクション。初の写真集の紹介とともに、ヴィクトワールへのインタビューをここで。

Text by OPENERS

ヴィクトワールのかぎりなく広がる創造の世界と、クリエイション

1998年、ディオール ファイン ジュエリーのアーティスティック ディレクターに就任したヴィクトワール ドゥ カステラーヌ。ポップカルチャーや花などの自然モチーフ、ボリウッド(インド映画の制作中心地であるムンバイの俗称)の過激なビジュアルなどをインスピレーション源にして作られる彼女のジュエリーは、つねに遊び心が溢れ、空想的な別世界を想像させるデザイン。このヴィクトワールによって、ハイジュエリーの世界に大きな変革がもたらされたといっても過言ではないほど。

今回、この芸術品ともいえるようなジュエリーの数かずを紹介した初の写真集『DIOR JOAILLERIE』がついに発行された。ヴィクトワールの才気溢れる創造性の秘密を探ることのできる一冊となっている。

この写真集の発売にともなって、ヴィクトワール ドゥ カステラーヌにインタビューをおこなった。

――ジュエリーに関心を寄せるようになったきっかけは?

ヴィクトワール ドゥ カステラーヌ(以下、ヴィクトワール) 祖母のシルヴィア・ヘネシーです。彼女は服装に合わせてジュエリーを選び、一日のうちで多いときは三回も取り替えていました。お洒落にいっさい手を抜かないひとであり、いつも唇にはルージュを、手と足の指にはマニキュアを塗っていましたね。彼女が姿を見せると辺りが華やぎ、みなが見とれてしまうほど。いわゆる“お祖母ちゃん”のイメージは当てはまらないひとでしたね。なんとなくハリウッド映画のヒロインのようでした。

祖母が非常に親しく付き合っていた友人はバーバラ・ハットン。ハットンはケーリー・グラントと結婚していたこともあるアメリカの億万長者で、日中からエメラルドのティアラをつけ、タンジェールの宮殿のような邸宅で暮らしていました。祖母は作家、ハリウッドスター、クチュリエ――そのなかにはクリスチャン・ディオールも――このような人びとに囲まれ、世間一般とはまったく異なる世界に暮らしていました。ジェットセッターの典型のようなひとだったのです。

DIOR FINE JEWELRY|ディオール ファイン ジュエリー 03

――はじめてジュエリーに関心をもったのはいつですか? 具体的にはどのように?

ヴィクトワール 5 歳のとき、母から贈られたイヤリングを解体しました。バラバラになったほうがずっと美しいと思ったからです。12 歳のときには、母が「愛情をこめて」くれたチャームブレスレットの聖人が描かれたメダルを取り外して溶かし、自分の指輪をつくりました。

――なぜ、並外れたボリューム感のジュエリーに魅せられているのでしょうか?

ヴィクトワール これもまた、父方の祖母であるシルヴィア・ヘネシーのジュエリーに見とれていた子ども時代に由来します。大変にクラシックな手法でセットされた祖母の宝石は、小さかった私の目にはとても大きく見えたのです。この“並外れたボリューム”というのはオートクチュールの世界にも存在しますね。オートクチュールでは、イブニングドレスの制作にシルクを500 メートルも使うのですから。ジュエリーの世界でこれに相当するものを探すとしたら、80 カラットのストーンでしょうね。私はカクテルリングをリバイバルさせましたが、当初は皆から“突拍子もないことを……”と呆れられました!

――女性という存在はあなたにどのようなインスピレーションを与えますか?

DIOR FINE JEWELRY|ディオール ファイン ジュエリー 06

ヴィクトワール 幼かったころ、私の目は女性たちに釘づけで、いまでもそれは続いています。女性は私にとってヒロインです。女性の体のイメージは私の頭を離れず、ピンナップガールもお洒落な老婦人も同等に好ましく思っています。グラマラスな女性の魅力、ハリウッド風の技巧的な装い、マリリン・モンロー、映画『クレオパトラ』に出ていたエリザベス・テイラーが大好きです。

私は女性たちを観察します。若いひと、年老いたひと、女らしい豊満な体の持ち主、美しいひと、それほど美しくないひと、男性的な雰囲気のひと、もしくはとてもフェミニンなひと。女性は多くのインスピレーションを与えてくれる存在だと思います。女性の声、歩き方、はいている靴のヒール、身につけているジュエリー、そして仕草が好きなのです。

私が作ろうとするのは、女性の友となるジュエリー、女性を守ってくれるジュエリーです。ジュエリーは母親から娘へと譲られることがあります。そうなると女性の思い出は永続します。祖母の祖母が愛用していたジュエリーをつけているとき、私は彼女の存在をありありと感じます。彼女は私をとおしていまも生きているのです。

いまから4000年後でも、それまでに小惑星が地球に衝突して天変地異を引き起こしていない限り、ジュエリーは残るでしょう! ジュエリーは永遠の欠片なのです。私は、自分が作るジュエリーが現実から逃避する力を女性に与えてほしい、と願います。また、ジュエリーは女性が自由を獲得する手段であるべきだ、とも考えます。女性が逃げ出さねばならぬとき、ジュエリーは一緒に持って行くことができますから。

――ひとつのコレクションはどのようにして生まれるのでしょうか?

ヴィクトワール つねにおなじ道筋をたどります。頭のなかに完成したジュエリーのイメージが生まれると、私はそれをポストイットにさっとスケッチし、スタジオのスタッフにどのようなジュエリーであるかを説明します。すると、スタッフがグワッシュ絵の具でデッサンを起こしてくれるのです。このデッサンをパリの宝飾工房に渡して、その後は、工房と私とのあいだで数多くのやり取りをします。グリーンワックスの作業から鋳造、ストーンのセッティングを経て研磨にいたるまで、あらゆる段階において、私が抱いたジュエリーのイメージに作品が合致しているか確認しなくてはならないからです。

――あなたのクリエイションの出発点は物語ですか? それともストーンですか?

ヴィクトワール 「コフレ ドゥ ヴィクトワール」は例外的に素材を出発点としましたが、私はつねにひとつの物語をもとに創作をはじめます。ディオールのジュエリーを担当することになったとき、私はメゾンのテーマを膨らませたいと考えました。それは例えば、ミリー・ラ・フォレにあるクリスチャン ディオールの庭、クチュール、エキセントリックな舞踏会などです。

――発想のもととなる物語をどこで見つけるのですか?

ヴィクトワール あらゆるところから。芸術、展覧会、映画、写真、ストリート、女性の世界、恋、性愛、精神分析、人生……私がデザインするジュエリーは、言ってみれば物語の登場人物であり、彼らに名前を与えるのが私の役割です。

――個人的にお好きなストーンは?

DIOR FINE JEWELRY|ディオール ファイン ジュエリー 07

ヴィクトワール オパールです。炎にも似た輝きをもち、まるで生きているかのようです。モネの絵「睡蓮」さながらに多種多様な色をふくんでいて、まさに精霊が宿っているようです。

――これまでも一貫してジュエリーのデザインを手掛けてきたのですか?

ヴィクトワール はい、シャネルでも14 年間、コスチュームジュエリーをデザインしていました。昼休みになると外に出かけてアンティークジュエリーを買い求め、自分でカスタマイズしていました。でも、私が望むほど大きなジュエリーを見つけることができずに、いつも不満だったのです。そこで、パリの小さな工房に依頼して、とても大きなリングを作ってもらいました……それが、いまの私のスタイルが生まれるきっかけとなったのです。

――個人的にお好きなジュエラーは?

ヴィクトワール 女性の描き方がすばらしいラリック、そしてボワヴァンとベルペロンですね。

DIOR FINE JEWELRY|ディオール ファイン ジュエリー 02

『Dior Joaillerie』
ハードカバー(英語)/約23×30cm
参考価格|75ドル
出版社|Rizzoli New York
※日本でも一部有名洋書取扱店で購入可

クリスチャン ディオール
Tel. 03-3263-2266