ブルガリ「オクト」を生んだイタリアデザインをめぐる対談|BVLGARI

BVLGARI|ブルガリ「オクト」を生んだイタリアデザインをめぐる対談

2人のデザイナーが語る、イタリアデザインと「オクト」

BVLGARI|ブルガリ

ブルガリ「オクト」

エレガンスと強さを兼ね備えた、イタリアならではの造形美

八角形をベースとした幾何学的なデザインで、高い人気を誇っているブルガリ「オクト」。同シリーズに、日本が世界に誇る工業デザイナー、奥山清行氏が手がけた限定モデルが登場した。その発表イベントのために来日した、ブルガリ・ウォッチ・デザインセンターのシニアディレクター、ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏と奥山氏に、イタリアデザインの神髄と「オクト」の魅力を語ってもらった。

Photographs by JamandfixText by OGAWA Fumio

2つの日本限定モデル

ブルガリが、「オクト ヴェロチッシモ KEN OKUYAMA DESIGN 日本限定モデル」と「オクト ソロテンポ KEN OKUYAMA DESIGN 日本限定モデル」を、2015年秋より発売。早くも大きな話題を呼んでいる。「オクト」は八角形を基本に、幾何学的な美しさを特徴とするウォッチで、スポーティさとエレガンスさとのバランスのよさが高く評価されている。そこにくわわった限定版は、スポーツカーの計器を思わせる文字盤や、逸(はや)る心を象徴するようなレッドの色づかいが見事。

奥山清行氏は、マセラティやフェラーリのスタイリングを手がけた後、現在は自分の工房でスポーツカーを制作する世界的なデザイナーだ。プロデュースを担当したのは、ブルガリ・ウォッチ・デザインセンターでシニアディレクターを務めるファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏。東京・銀座のブルガリ銀座タワーにおいて、今回の2つのモデルの発表がおこなわれた際、クリエーションの背景について、両名に対談形式で語ってもらう機会に恵まれた。

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ブルガリのウォッチにとって重要なこと

ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏(以下 スティリアーニ) 私がケン(奥山清行氏のこと)の才能のことを知ったのは、彼がイタリア・トリノのカロッツェリア・ピニンファリーナにいて、マセラティやフェラーリのスタイリングを手がけていた時です。もし、誰かに「オクト」のデザインを頼むとしたら、ケンをおいてほかにいないだろうと思いました。

奥山清行氏(以下奥山) 僕がイタリアのデザインを理解していると思ったから? たしかにトリノに住んでいたし、仕事でもプライベートでも、あらゆるイタリア文化に触れてきたと思います。たとえば、フツウのイタリア人男性は、紺のジャケットに、ブルーのシャツしか着ないといっていいぐらい、ファッションに保守的でつまらない、とか(笑)。

スティリアーニ (笑)

奥山 でもなかには、とびきりセンスのいいひともいるんですよね。自分の感覚を信じてスーツをオーダーでつくっている。そのひと以外、誰にも似合わなそうだけれど、本人が着ると、驚くほど決まっている。こんなひと、日本では見たことないですよ。僕はこれがイタリアのすごさだと思うんです。

スティリアーニ ブルガリのウォッチであるからには、そこに、イタリアのものづくりの哲学が込められているのは、とても重要なんです。

ブルガリの神髄とは

奥山 イタリアはデザインの国といわれている一方で、ドイツなどと較べると、感覚的なデザインを重視しているととらえるひともいますよね。ファッションはいい例で、自分の感覚を大切する分野です。でもたいていのプロダクトでは、イタリアのデザインはとても論理的ですよね。

スティリアーニ そう、ちゃんと造型には裏づけがないといけないと、僕たちイタリア人は思っています。そもそもローマ時代や、ルネサンスに、建築、彫刻、絵画ですばらしいものを生み出した文化があります。19世紀から20世紀初頭にかけて、工業デザインという分野が確立された時、イタリアは、イギリスやドイツ、あるいは北欧に対して、少し遅れをとりますが、第二次世界大戦後、国が力を入れました。たとえば家具の分野で北欧の家具が、イタリアの市場を席巻しそうでしたから、イタリア産業界は焦ったのです。

奥山 ファブリツィオと話すと、かなり理屈を重視しますよね。ブルガリのウォッチ・デザインセンターはスイスにありますが、つねに“ローマのブランドだから”と言う。僕はブルガリの真髄はこれだ、と気づいたことがあるんです。

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フランスやイギリスのプロダクトとのちがい

奥山 僕が見るところ、ブルガリのウォッチの特徴は、イタリア特有のエレガントさを持ちながら、力強いところだと思います。一見派手なんだけれど、シック。ここがフランスやイギリスのプロダクトとちがう点でしょう。イタリアだからこそできるプロダクトというのがある。僕は、「オクト ヴェロチッシモ KEN OKUYAMA DESIGN 日本限定モデル」と「オクト ソロテンポ KEN OKUYAMA DESIGN 日本限定モデル」を手がけて、イタリアデザインのキャラクターというものをあらためて意識しました。

スティリアーニ スポーツカーを例にとっても、イタリアと日本とでは違うでしょう。たとえば、フェラーリとkode9(コードナイン)。どちらもケンがデザインしたクルマだけれど、キャラクターはまったくちがう。フェラーリにはイタリアのキャラクターがあります。

奥山 僕の「KEN OKUYAMA CARS」が制作して販売する2シーターのスポーツモデル、kode9を見て、ファブリツィオは連絡をくれたんだよね。kode9はイタリアっぽくないと思いますが。

スティリアーニ もちろん、先に話したように、ケンがピニンファリーナにいた時、私はフィアットのデザインセンターにいたから、才能ぶりは高く評価していましたよ。そのあとケンは、家具や眼鏡も手がけて、デザイナーとして、大きく飛躍していたから、まさに「オクト」のデザインを依頼するのに、ぴったりのタイミングだと思ったんです。ポイントはそこなんです。僕の持論ですが、デザイナーは本来、さまざまなジャンルのプロダクトを手がけられなくてはいけない。

ウォッチ好きの男心をくすぐる、男のためのウォッチ

奥山 ファブリツィオも、いろいろやってきたからね。フィアット時代はクルマを中心に、スクーターや家具まで手がけていた。マルチタレントですよ。

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スティリアーニ 複数の分野のプロダクトをデザインするためには、ある能力が必要になります。それは、プロダクトランゲージといって、デザインの哲学的な部分を、マーケットと結びつける理論を理解していることです。クルマではたいへん優秀でも、ウォッチのプロダクトランゲージはわからないひとには、この仕事は依頼できません。なんとかあたらしいウォッチのデザインを、と思っていた私(たち)にとって、ジャンル横断的にみごとな仕事をしているケンの有能ぶりこそ、ぴったりだったのです。

奥山 僕は「オクト」が2012年に発表された時、すごく気に入ったんですよ。一見シンプルだけれど、じつはカーブから文字盤にいたるまで、じつに入念な作業がほどこしてあって、いい意味で複雑。それらが破綻なく緻密に組み合わされているのは、ウォッチ好きの男心をくすぐりますね。本当に男のためのウォッチだと思いました。だから、今回「オクト」のバリエーションを手がけられたことは、とてもうれしく思っています。

次回は、「オクト」とイタリアデザインの深い関係についてファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ氏にインタビュー。

The Essence of the BVLGARI OCTO
ブルガリ「オクト」 今回のリコメンドモデル

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オクト ヴェロチッシモ KEN OKUYAMA DESIGN 日本限定モデル

ケース|41mm
ムーブメント|キャリバー ヴェロチッシモ(自動巻き)
パワーリザーブ|約50時間
石数|31石
ストラップ|ブラックアリゲーター
価格|131万7,600円
限定数|200本


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オクト ソロテンポ KEN OKUYAMA DESIGN 日本限定モデル

ケース|41mm
ムーブメント|キャリバー ソロテンポ
パワーリザーブ|約50時間
石数|31石
ストラップ|ブラックアリゲーター
価格|104万7,600円
限定数|50本


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オクト ヴェロチッシモ

ケース|41mm
ムーブメント|キャリバー ヴェロチッシモ(自動巻き)
パワーリザーブ|約50時間
石数|31石
ストラップ|SS製 ブレスレット
価格|126万3,600円


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オクト

ケース|38mm
ムーブメント|キャリバー ソロテンポ(自動巻き)
パワーリザーブ|約42時間
石数|26石
ストラップ|ブラックアリゲーター
価格|81万円

Fabrizo Buonamassa Stigliani|ファブリツィオ・ボナマッサ・スティリアーニ
ブルガリ ウォッチ デザイン センター シニア・ディレクター。1971年イタリア・ナポリ生まれ。国立デザイン大学ローマ校(ISIA)でインダストリアル・デザインを専攻。卒業後はイタリア・トリノのフィアット・スタイル・センターに入社。2001年、ブルガリのウォッチ デザインチームに移籍。07年にブルガリ ウォッチ デザインセンターのディレクターに任命されキャリアを重ねる。

Ken Kiyoyuki Okuyama|奥山清行
工業デザイナー/KEN OKUYAMA DESIGN代表。1959年山形市生まれ。GM、ポルシェを経てピニンファリーナのデザインディレクターに就任。フェラーリ エンツォやマセラティ クワトロポルテなどのデザインで注目を集める。2007年よりKEN OKUYAMA DESIGN代表として、自身のブランドで自動車、インテリアプロダクト、眼鏡などの開発から販売までをおこなっている。ヤンマーのトラクターや新幹線などのデザインも手がけ話題を呼んでいる。

問い合わせ先

ブルガリ ジャパン

Tel.03-6362-0100

http://www.bulgari.com/ja-jp/octo