連載・藤原美智子 2015年7月|インスタグラムで「ライフスタイルデザイン」発信
BEAUTY / THE EXPERTS
2015年7月28日

連載・藤原美智子 2015年7月|インスタグラムで「ライフスタイルデザイン」発信

連載・藤原美智子 2015年7月|ひとはより幸せになっていくために生きている

インスタグラムで「ライフスタイルデザイン」発信

最近、私の「ヘアメイクアップアーティスト」という肩書きのほかに、もう一つ「ライフスタイルデザイナー」というものが加わりました。「えっ? どんな仕事?」と疑問に思うような、なにやら抽象的な肩書きですよね(笑)。ということで今月は、その経緯と説明をさせていただきたいと思います。

Photographs&Text by FUJIWARA Michiko

年の功を求められている!?

「ライフスタイル」という言葉を辞書で調べると、「生活様式や営み方。または人生観や価値観、習慣などを含めた個人の生き方」と出ていますが、まさにそうしたことを提案するお仕事ということです(「なんと、まぁー、大きく出たもんだ!」という感じなのですが)。でも、よく考えて見ると随分前から、依頼される取材内容や講演などで聞かれるのは本業の美容やメイクのことだけでなく、半分はこのような「ライフスタイル」的なこと。「どんな食生活をしているの?」、「各年代で習慣にすべきことは何?」や「人生で大事にしていることは?」などなど。

考えてみれば、過去に出版した本の内容も、生活の営み方や生き方について書いたものが多いし、いま、雑誌やネットで連載しているのも人生相談的なものがほとんど。たぶん、年の功からもそういったことを求められているのでしょうね。このOPENERSの連載も、そのときどきで私が興味をもったことを好きなように毎月書かせてもらっていますが、それこそ「ライフスタイルデザイナー」的な活動だったのかも!

部屋という“器”はひとの内面に染み込んでくる

それにしても、私は若いころから、ライフスタイルについて(いわゆる生活全般から人生観まで)すごく興味をもって生きてきたように思います(皆さんもおなじだと思いますが)。たとえば、お金がない若いころから家賃やインテリアにお金を一番かけてきたのだけれど、それは部屋のあり方が、知らず知らずのうちに内面に染み込んでいき、やがてはそのひとの外見にもあらわれてくると、無意識にも思っていたから。だから、そのときどきで自分が「こんな風になりたいな」という印象の部屋に移り住んできました。そういった意味でいま、私が部屋という“器”から自分に染み込ませたいと思っているのは、“朗らかなナチュラルさ”という感じでしょうか。

また若いころ、気持ちがスッキリとしていないときは部屋も散らかっていることに気がつきました。自分はどうしたいのか、あるいはなにが大事でなにが好きなのかがわからずに、混沌としているときは、部屋もおなじような状態になっていたということです。もちろん“人生、いつでもスッキリ!”というわけにはいかないけれど、そうした経験からなるべくスッキリした状態を維持するためにも、気持ちだけでなく、部屋もつねに整理整頓を心がけるということが私の習慣となりました。

もちろん落ち着く部屋のあり方というのはひとそれぞれですが、私が一番落ち着くのは70%のスッキリ感と30%の余分がある感じかしら。私は「70%のストイック、30%の世俗的」という生き方に憧れているので、それが部屋のあり方にもあらわれているのかもしれませんね。

言葉を交わさなくても伝わってしまう職業

ひとの肌や髪に触る職業(ヘアメイクアップアーティスト)として、自分の内面こそが大事と気づいて以来、心理的なことや精神的なことについて書かれている本をよく読むようになりました。なぜなら自分の手を通して、自分の内面の良いものも悪いものも、触る相手に伝わってしまうからです。たとえば、自分がそのときに落ち込んでいたり、荒んでいたり、変に競争意識が出てしまっていたら、言葉を交わさなくても“悲しい”とか“トゲトゲしい”とか“くつろげない”といった感じが伝わって、相手に不快な思いをさせてしまうからです。だから、なるべくなら良い波動が伝わるようなひとになりたいと思ったんです(でも、ときには逆側に大暴走することも多々ありましたけれど、ね)。

こうしたことはなにも「ヘアメイク」という職業だけでなく、肌や身体に触れる職業のひとはおなじように感じているようですね。触れる職業でなくても「なんか嘘っぽいなー」などと感じることがあると思うんですが、それは理屈ではなく人間の本能からのもの。でもときには、「そう思い込みたい」と無意識下で思わせているときもあるので、人間って複雑ですよね。

「思考を変えると現実は変わる」という実践

では、私が苦手なタイプのひとをメイクしなければいけないときはどうするか。この苦手意識というのも相手に伝わるもの。でも無理に好きになろうとしても、その不自然感も伝わっちゃう。私が実行しているのは、その苦手な部分をおもしろがっちゃおう! というものです。だいたいにおいて、自分の許容範囲が狭いほど、好き嫌いは増えるでしょ? でもそれが広くなれば、嫌いは減ってくる。自分とは違う部分こそおもしろがろうという思考回路に変えて好奇心をもつほど、相手に対する苦手意識はなくなってくるし、そのひとに興味も出てくる。それによって、またひとつ自分のなかのキャパシティも広がる。「思考を変えると現実は変わる」と昔から言われているのは、こういうことも指すのかもしれませんね。

そして最近、フッとある言葉が頭に浮かびました。それは「ひとは、より幸せになっていくために生きている」というものです。若いころは上記のような解決方法がわからなくて、悩んだり苦しんだりすることが多いかもしれない。でも人生を積み重ねて体験していくうちに、ひとそれぞれの解決法が見つかっていく。そうすると悩むことは減ってくるし、幸せ感は増えていく。もちろん、人生に大変なこともいやなことも起こらなくなるというわけではではなく、積み重ねてきたそのひとなりの処世術や思考パターンを変える方法などで、それらを「幸せに変える力」が備わっていくということです。

「幸せ感」ってどんなものだろう?

この“幸せ”という言葉が浮かんだとき、「幸せが増していくような歳の重ね方をしなくて、どうする!」と叱咤激励するような声が聞こえたような(誰!?)……。まっ、それは置いておいて(笑)。そのときどきに、自分が置かれている環境のなかで創意工夫して、できるだけ自分の意識を幸せに向ける。そうすることで、幸せの分量は増えていく。瞬間だけのものではなく、積み重っていく幸せってそういうものなのかもと最近、つくづくと思います。目指したいのはなにもなくても、なにもしなくても幸せな心境でいられること。でも、そうした達観したひとになるためには、まだまだ“道のり遠し”なので、幸せの欠片を具体的にも精神的にも周りに増やそうと意識しているところです。

こんなふうに「幸せ感」のことを考えていたら、自分が目指していたメイクも、そこにあったことに気がつきました。20代後半のころ、ヘアメイクアップアーティストとして自分が作りたい女性像はどんなものなんだろうと自問自答したときにわかったのは、「透明感があって、品があって、フンワリとした幸福感のある女性」でした。そして、そうした女性の印象をつくるためにはどうしたらいいのかと試行錯誤してできあがったのが、私の基本のテクニックとなっています。つまり私は、20代のころから、モデルを通して「幸せ感」をメイクで表現したいと思っていたことに改めて気づいたんです。

インスタグラムと出合った!

なぜか、最近になってこうした事柄につぎつぎと改めて気がついて、「それならば!」全方位的に“幸せ感”を目指すことを提案する「ライフスタイルデザイナー」を名乗ることにしたというわけです。

そして、このようなことをいろいろ考えているころ、いままで使っていたiPadの調子が悪くなり、あたらしく買い換えようと思い立ち、ついでに携帯電話も、ガラケーからiPhoneに変えることに。そして、iPhoneでできる、いろいろなアプリを試しているときに、インスタグラムを動画でも作成できることを知りました(遅いですよね~)。この編集作業がおもしろいのなんの! そして、このインスタグラムで「ライフスタイルデザイナー」として何か表現することができるかも! メイクや美容、食、運動、インテリア、ガーデニング、旅、癒し、思考などなど幸せ感が増すような動画や写真をアップしよう! と思いついたんです。つまり、このオウプナーズの連載の動画や写真版という感じでしょうか。

とはいえ、いままでいっさいSNS系を使ったことがない私だったので、毎日、四苦八苦しながら投稿をしている状況です。でも、インスタグラムを見てくれたひとがちょっとした幸せ感を感じてくれたり、ヤル気が出たり、なにかしらのヒントを得たり役に立ったりするようなものにしたいという思いで日々、作っています。

ユーザー名は、「michiko.life」です。よかったら覗いてみてください!
※今回は思いが強すぎて長文になってしまいました。最後まで読んでいただいて、ありがとうございます!

           
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