高橋幸宏×小山田圭吾 ワールド・ハピネス 2015を語る|WORLD HAPPINESS 2015
WORLD HAPPINESS 2015|ワールド・ハピネス 2015
8月23日(日)、東京・夢の島公園陸上競技場にて開催される音楽フェスティバル
高橋幸宏×小山田圭吾 インタビュー(1)
ミュージシャンの高橋幸宏のキュレーションのもと2008年にスタートした音楽フェスティバル「ワールド・ハピネス」。今年も新旧織り交ぜたアーティストラインナップのもと、8月23日(日)に東京都・夢の島公園陸上競技場にて開催される。本公演に「METAFIVE(メタファイブ)」のメンバーとして出演する小山田圭吾と、高橋幸宏へのインタビューをお届けする。
Photographs by KOBAYASI Takashi(ITARU Studio)Text by IWANAGA Morito
音楽フェスティバルのありかたについて
――最近、海外アーティストが出演するフェスの客足が遠のいていたり、以前と音楽フェスティバルの印象が変わってきたとおもうのですが、いかがでしょうか。
高橋 お客さんがフェスに慣れてきているということでしょうかね。それだけ日本の音楽フェスが根付いてきたということでもあるのでしょうけど。いくつものステージのあるフジロック フェスティバルなんかでも、どのステージにも偏りなくお客さんが集まっていて、どのアーティストを観るか照準を決めて、お客さんが計画的に動いていますよね。キャンプ・サイトを活用しながら、アウトドアの遊びという側面の楽しみ方も定着しています。
ただ、そのいっぽうで、フェスが飽和状態になってきているということもあるのかな。ワールド・ハピネスは後発のほうではありますが、僕たちがはじめてからのこの8年間でも、大きな規模のフェスが全国でかなり増えてきたということがあります。ワールド・ハピネスは、毎年8月の前半の日曜日に開催してきたんですが、今年はじめて後半に開催日程をずらしました。これはほかのフェスが前半に集中しているからという理由もあったんです。もうひとつは、天候のことも考えてね。
小山田 昨年は雨が降りましたからね。でも幸宏さんが演奏しているときは、やんでるんですよね(笑)。ほかのアーティストの出番のときは、けっこうひどかった。
あと暑さのなかというのも、疲労しますよね。楽器関係も大変で、鈴木慶一さんの「No Lie-Sense(ノーライセンス)」のときは、コンピュータが止まってましたよ。
高橋 そりゃあ、シャワー浴びるみたいに水浸しだったからね(笑)。はじめてなんだよね、あれだけの雨と風は。でも、そんななか、「PUFFY(パフィー)」はしょっぱなから、ずぶ濡れになってオーディエンスを盛り上げてくれました。あれはテンション上がりますよ。全曲ヒット曲で、ドシャ降りのなか走り回ってるんだもん。「真心ブラザーズ」のふたりも「パフィーおいしいなぁ」って言ってた。アクシデントも盛り上がる要素で、会場全体に連帯感が生まれるんだよね。
ワールド・ハピネスのホスピタリティ
――ワールド・ハピネスはステージ間の移動も少なく、居心地がいいと評判です。
高橋 そうですね。転換がなく、センターステージとレフトステージで交互にやるかたちなんですね。短い時間でこれだけのバンドが出演してもらうとなると、それがいいんです。これだけのものがこの料金で観られるのは、すごいとおもいますよ。
――小山田さんは、海外のフェスなどと比べ、ワールド・ハピネスはどのような点が特徴的だとおもいますか?
小山田 ホスピタリティが全然ちがいますね。託児所も用意されたりしていて、充実していますよね。
高橋 フジロックフェスティバルにも出ている海外のアーティストが言ってたんだけど、こっちのほうが全然好きだって言ってたもんね。
小山田 あと出演する側から言うと、ご飯がおいしいです(笑)。たぶんケータリングは世界一おいしい。
高橋 食事をしながら、出演者のあいだで交流ができるようにしています。はじめて会ったひとたちと、次の機会にはセッションしたり、レコーディングやライブに発展していったりして。それは開催する立場からしても、いい場所なんだな、と感じる部分ではあります。
――アーティスト同士の距離感も近いと。
高橋 そういう意味でも、居心地をよくしたいんですよね。国内のフェスに比べても、そこには自信があります。やっぱり、演奏する側のモチベーションも大切だとおもいますので。
――ワールド・ハピネスでは毎回、高橋さんがキュレーションを担当していますが、あたらしいミュージシャンをセレクトする基準などはありますか?
高橋 基準らしい基準といったものは無いんですが、自分がそのときどきにおもしろいとおもうアーティストや、スタッフからの紹介などのなかから相談して決めています。ただ、成長株の若いアーティストだと、ワールド・ハピネスに出たあと、どんどん引く手数多になっちゃって、次の年にはもう出演してもらえなくなっちゃってたり、なんてこともありますね。よろこばしいことではありますが。
――小山田さんは、今回のラインナップのなかで、注目しているアーティストはいますか?
小山田 「筋肉少女帯」かな。なかなか観れなそうだし。
高橋 僕もすごく楽しみ。どのくらいでかい音でやるのか。
――毎回、イベントのビジュアルも注目を集めていますが、今回はファッションデザイナーの山本耀司さんです。
高橋 はい。耀司さんには手描きのドローイングも描いていただきました。
小山田 これは、誰かの犬なんですか?
高橋 うん。耀司さんとこの犬、リンちゃん。めちゃくちゃかわいいよ。このビジュアルがステージのバックに飾られる。あと、お客さん全員に配布されるレジャー・シートにも使います。例年、シートだけほしいっていう人もいるんですよね。今年のもカッコ良く仕上がっているとおもいますよ。お尻の下に敷くのがもったいないくらい(笑)。
――ワールド・ハピネスは、世界に向けてアピールするイベント?
高橋 世界に向けてのアピールという意識はあまりありませんね。海外からアーティストを呼ぶ必要もないかな、といまは考えています。それはワールド・ハピネスの役割ではないかもしれません。基本的に、邦楽のアーティストでやっていくつもりですし、まだまだ引っ張り出したい邦楽アーティストもいますしね。
Page02. ヘッドライナーは「METAFIVE」
WORLD HAPPINESS 2015|ワールド・ハピネス 2015
8月23日(日)、東京・夢の島公園陸上競技場にて開催される音楽フェスティバル
高橋幸宏×小山田圭吾 インタビュー(2)
ヘッドライナーは「METAFIVE」
――昨年と同様に、高橋さんと小山田さんは「METAFIVE」での出演です。今年ならではのアプローチはありますか?
高橋 あ、これまで「高橋幸宏 & METAFIVE」だったんですけど「高橋幸宏 &」がとれて「METAFIVE」になりました。「METAFIVE」という名の6人組です。
小山田 スタートは去年の1月だから、今年で2年目ですね。これまでの活動としては、「イエロー・マジック・オーケストラ」や、幸宏さんの80年代の楽曲をライブで再現したり、オリジナルの楽曲を制作することもありました。
じつは、META“THREE”くらいで、別の楽曲やライブでメンバーが顔を合わせることは、たびたびあるんですけどね(笑)。ライブは去年の11月以来で、そのときの演奏があまりにもよかったので、楽しみにしています。
――衣装の3本線が、意味するものは?
高橋 これは、レスキューをイメージしたものです。海外のレスキューのひとたちって、みんな黄色い3本線が入ってるでしょ。別に『みつばちハッチ』からとったわけじゃないですよ(笑)。それにしても、このメンバーで、まだこのバンドをやっているということ自体が、奇跡みたいなもんですよ。
――今回、ワールド・ハピネスのタイミングでメンバー全員が集まったということも奇跡的ですよね。
小山田 僕はもう、METAFIVEに集中しています。個人の活動としてはアルバムの制作をしていましたけど、ここ数年コラボレーションで制作した楽曲をまとめたものなので、レコーディングという作業とはちがって。それでも、幸宏さんがむちゃくちゃ忙しかったから。
高橋 やっといろんなことがひと段落しました。ライブへの準備もこれから。
小山田 本当にこれからですよね(笑)。
高橋 そうそう(笑)。まだ、これからなんだよね。方向性は、メンバーみんなで決めています。前回とはまたちがった、それぞれが主張するステージを披露できたらとおもいます。
周りからもこのメンバーをどうやってまとめているんだ?と聞かれることもありますけどね。まとめていないんです(笑)。みんな、好きにやっています。そのなかで、しっかりと役割をもって個性を発揮しているって感じですかね。
――あらためて、今年のワールド・ハピネスの見どころをうかがえればとおもいます。
高橋 それぞれ、独特の個性をもったひとたちが集まりました。「トライセラトップス」も、前から出てほしいとおもっていたバンド。「クラムボン」も、出てそうなイメージがあると言われますけど、今回がはじめてです。「LOVE PSYCHEDELICO」では、僕がドラムを担当します。ゲスト扱いではなく、フルでね。こちらも楽しみです。
小山田 天気がいいと、いいですね。今年は、前年から少し後ろの日程なので、過ごしやすい気温のなかで、やれるとおもいます。
高橋 そうだね、釣り師の感覚(※釣りは高橋さんの40年来の趣味)からいくと、晴れますね。絶好の天気のもと、楽しんでもらえるとおもいますよ。
WORLD HAPPINESS 2015
日程|8月23日(日)
時間|11:00開場 12:30開演 20:00終演予定
会場|夢の島公園陸上競技場
東京都江東区夢の島 3-2
<チケット>
ブロック指定 8800円/小学生 1200円/親子チケット 9500円
※いずれもレジャーシート付き
詳細は下記URLより
http://www.world-happiness.com/ticket.html
<TIME TABLE>
■センターステージ
12:30~ TRICERATOPS
13:20~ SCANDAL
14:20~ 坂本真綾
15:10~ 筋肉少女帯
15:55~ スチャダラパー
16:50~ LOVE PSYCHEDELICO
17:50~ クラムボン
19:00~ METAFIVE
■レフトステージ
13:00~ Charisma.com
13:50~ 野宮真貴 with カジヒデキ
14:50~ 土屋昌巳[KA.F.KA]
17:30~ Controversial Spark
18:30~ POLYSICS
Constellation Of Music
コーネリアス
8月19日(水)発売
2700円(WPCL-12154)
ワーナー・ミュージック・ジャパン
Tel. 03-6439-8710
http://www.cornelius-sound.com/
高橋幸宏|TAKAHASHI Yukihiro
音楽家。1952年東京都生まれ。「サディスティック・ミカ・バンド」「イエロー・マジック・オーケストラ(Y.M.O.)」など、日本を代表する音楽グループのメンバーとして活躍。ソロとしては、通算21枚のオリジナルアルバムを発表。また、ソロと併行して鈴木慶一との「THE BEATNIKS」、細野晴臣と「SKETCH SHOW」、原田知世、高野寛、高田漣、堀江博久、権藤知彦と共に「pupa」を結成。2008年に信藤三雄とともに野外音楽フェスティバル『WORLD HAPPINESS』を開催。
小山田圭吾|OYAMADA Keigo
音楽家。1969年東京都生まれ。1989年、「フリッパーズギター」のメンバーとしてデビュー。バンド解散後の1993年、ソロユニット「Cornelius」として活動を開始。現在まで5枚のオリジナルアルバムをリリース。自身の活動以外にも、国内外の多数のアーティストとのコラボレーションやリミックス、プロデュースなど幅広く活動中。2015年8月、未発表曲を含めた自選ワーク集『Constellations Of Music』を発売。
ホット・スタッフ・プロモーション
Tel. 03-5720-9999(平日12:00~18:00)
http://www.world-happiness.com/