連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第6回 「フィール・フェルト・フェルト」

連載・Yoko Ueno Lewis|暮らしノート・第6回 「フィール・フェルト・フェルト」

Yoko Ueno Lewisの暮らしノート

The Way We Live with “STYLE”

暮らしノート 第6回 「フィール・フェルト・フェルト」(1)

3月11日の東日本大地震により奪われたたくさんのご尊命と、被災された方々に対し、深い哀悼とお見舞いを慎んで申し上げたいと思います。私の友人のご家族は岩手県大槌町で被災され、奇跡的に皆さまご無事でした。しかし、その後もたいへんな被災状況のなか、日々、生きるための想像を超える努力をされております。まず、この連載のページをお借りして、今後、私自身でできることはなにかと、日本にいる友人たちと協力し合いながら、具体的な方法を見つけて出していきたいと思っております。

写真と文=Yoko Ueno Lewis(Mar. 2011)

ふたつの優れた素材を組み合わせること

今回ご紹介するのは、フェルトのオーガナイザーのデザインです。すべて、約A4大の3ミリ厚ウールフェルトに、何本かの切り込みと、いくつかのスクリュー(ネジ)をとおす穴を開けて、曲げたり、重ねたり、裏返したりして、スクリューで留めることでかたちにする立体造形の仕事です。

8年ほど前にフランクフルトでひと目惚れしたドイツ製のウールフェルトが、ようやくボストンのディストリビュータをとおして、比較的楽に(人気の色はしばしばsold out)手に入るようになったことで、飛躍的に創作意欲がわきました。3ミリ厚や2ミリ厚のウールフェルトを、曲げたり、ひっくり返したりすることで生まれるフェルトらしい3次曲線を出すには、いちばん効果的であるように思います。ポリエステルフェルトを使うと、もっと直線的な表情が出て、少しシャープで紙っぽくなり、おなじデザインでもまったくちがった見え方がします。

アルミのスクリューは品名Screw Postといいますが、これは俗称で、理由はわかりませんが、シカゴスクリューと呼ばれているようです。これは建築家だった夫が、畳ぐらいのサイズの設計図を大量に留めるために使っていたのを9年ほど前に見つけました。個人的にこの“cheap chic”な美しさにとても感激して、なんとかこのシカゴスクリューを、雑貨やステーショナリーのデザインに使いたいと思いつづけていました。

そんななか、このふたつの優れた素材を組み合わせることで、このデザインが実現したわけです。なにを入れてもいいようで、なにを入れようかと迷うようなデザインもありますが、基本的には、形のおもしろさを、使う方の好きな場所で、自由に楽しんでいただけたらと思います。

ABOUT
UENO Yoko Lewis

Yoko Lewis Design主宰 グラフィック&プロダクツデザイナー 京都芸大ビジュアルデザイン専攻(現大学院)卒。 在学中アーネスト・サトウに写真を習う。 80年代にギフトラッピングの企画で商品企画の世界に入る。 サンフランシスコでタモツ・ヤギに師事。 1992年に独立後、日本とアメリカでさまざまな商品企画、店舗企画、ヴィジュアルプランニングなど主に素材を活かしたデザインの仕事に携わる。 なかでも高知県の四万十ひのきを素材とした商品は国内外で販売されている。 サンフランシスコ郊外バークレー在住 www.yokoueno.com 関連サイト www.tosaryu.com www.ori.bz ベッドファーニシングブランド「SOVA(ソーヴァ)」 www.sova-home.com 著書『contact(写真とエッセイ)』牧歌舍(2010年7月刊) 最新刊『大切な人の看取り方(翻訳)』飛鳥新社(2011年6月刊)