“一冊の本を売る書店”森岡書店が銀座一丁目に銀座店をオープン|MORIOKASHOTEN
MORIOKASHOTEN|森岡書店
オーナーの森岡督行氏が特別寄稿
“一冊の本を売る書店”森岡書店が銀座一丁目に銀座店をオープン
銀座一丁目に建つ昭和4年竣工のビルで、東京都選定歴史的建造物に指定されている鈴木ビル1階に「森岡書店銀座店」が2015年5月5日にオープンした。オーナーの森岡督行氏が銀座店をオープンするまでに思いを紹介する。
Photographs by Nacasa & Partners Inc.,KANEKO MayumiText by MORIOKA Yoshiyuki (MORIOKASHOTEN)
店舗設計はcmykと吉里謙一氏
“一冊の本を売る書店” ―― 独立して書店をはじめて今年で10年目になります。この間、本の出版記念展を繰り返しおこなってきましたが、そのなかで、筆者と読者のあいだに幸福な会話が生まれる現場に幾度となく立ち会うことができました。
“幸福な会話”は、書店と出版社にとっては売り上げにもつながります。私は次第に、このようなイベントを継続的におこなう書店を運営したいと思うようになりました。そしてこの度“一冊の本を売る書店”をはじめることにしました。
ある会期は、一種類の本を中心に運営される書店です。 一冊の本から派生する展覧会をおこなう書店と言い換えることもできます。去る1月15日、この書店を実現するため、スマイルズの遠山正道氏と「株式会社森岡書店」をおこしました。
屋号は「森岡書店銀座店」になります。
銀座・鈴木ビルの必然性
“一冊の本を売る書店”の所在地は、中央区銀座一丁目に建つ鈴木ビルです。鈴木ビルは昭和4年竣工の近代建築であり、東京都選定歴史的建造物に指定されています。戦中期には名取洋之助が主催する「日本工房」が入居していたことで知られています。
「日本工房」は日本の文化や近代化を海外に伝える『NIPPON』をはじめ、完成度の高い雑誌をつくっていました。写真家では土門拳や藤本四八が参加し、デザイナーでは山名文夫、河野鷹思、亀倉雄策、熊田五郎(後の熊田千佳慕)らが参加しました。
この場所で出版記念展をおこなうことは、写真史の面からも、デザイン史の面からも、意義があるのではないかと思いました。『NIPPON』創刊号の表紙には、関東大震災からの復興住宅である「同潤会江戸川アパート」が掲載されていました。
森岡書店銀座店
東京都中央区銀座1−28−15 鈴木ビル1階
住所|東京都中央区銀座1−28−15 鈴木ビル1階
営業時間|13:00~20:00 月曜休
Tel. 03-3535-5020
森岡督行|MORIOKA Yoshiyuki
1998年に「一誠堂書店」に入社、8年間の勤務を経て2006年7月、東京・茅場町に森岡書店をオープン。2015年5月5日に森岡書店銀座店をオープンした。