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2015年1月7日
文字盤をながめるのが楽しくなる時計 N.O.A|ノア
N.O.A|ノア
ブロック状スーパールミノバを使用した3Dインデックス
ノアといえば、3Dインデックス。昨年のバーゼルワールドで発表された「N.O.A 16.75 G Lumi」が入荷・販売されるようになった。
Photographs & Text by parametric
文字盤をながめるのが楽しくなる時計
時計の文字盤は時計の顔であるためデザインは非常に重要だ。好みもあるだろうが、プリントのインデックスより、アプライド、つまり立体インデックスの方が、文字盤をながめていて楽しめる。
ドレスウォッチを代表するパテック フィリップの「カラトラバ」に用いられているアプライドの18K製バーインデックス(もちろん3Dとは謳っていない)は、鑑賞に耐える仕上げ&デザインだ。文字盤にミリ単位の「立体物」があるだけで、そこに小宇宙を感じ取ることができる。仕上げの美しさは、ルーペで見ても破綻しない。これらがパテック フィリップ所有者を至福の境地へと導くのだ。
ノアの3Dインデックスも鑑賞に値するデザインと仕上げといえるだろう。
いま話題となっている3Dインデックスは、テンデンスが有名だ。日本上陸もノアより早かったので元祖のように思いがちだが、じつはそうではない。ノアの3Dインデックスは、CEOのニコラ・アンドレアッタ氏が2003年に考案したもので、2006年に米国でパテントを取得している。いっぽう、テンデンス社の設立は2007年だ。
デザインが似ているせいか、テンデンスを立ち上げたFillippo Giardiello氏とGabriele Ghielmini氏のどちらかがノア出身だという噂もある。実際どうなのか、とある人を介してテンデンス本社に問い合わせてもらったところ、両人ともノアで働いていたことはないという回答……。似たようなデザインがいろいろなメーカーから発売されるということは、時計に限らず、どの業界でもあること。
そもそもノアとテンデンスでは価格帯も質感もまったく異なる。客もそこのところはわかっているはずだ。
「ノアの評判はいいですね。この価格帯ですし、取り扱いをはじめたころは不安だったのですが、蓋を開けたら結構お問い合わせをいただいています。おとなの男性にファンが多いですよ」
インデックスは真鍮を削り出し、研磨・色づけして完成する。文字盤だけで製作に約3カ月かかるというのも実物を見れば納得だ。
さて、この時計「N.O.A 16.75 G Lumi」である。文字盤のインデックスは真鍮製ではなく、ブロック状のスーパールミノバ削り出して使用している。スーパールミノバは、日本の根本特殊化学(腕時計分野の蓄光顔料シェアナンバーワン)が開発した高輝度長残光性蓄光顔料(セラミック顔料)の技術を用いてつくられている「夜光」だ。一般的には、液状のスーパールミノバをインデックスや針の一部に塗布して使用される。ところが、このノアのインデックスはブロック状のスーパールミノバを削り出してつくっているのである。ただし、セラミックのブラックではないらしい。電話で根本特殊化学に尋ねたところ、たぶん「樹脂」に10パーセントほどのスーパールミノバを混合させてつくっているのでは、との返事。どちらにせよ、この形状に仕上げるのは大変な作業だろう。
暗闇での視認性もすこぶる良好。なにしろこの体積・表面積である(あくまで見た目)。十分励起(れいき)させれば、一晩中燐光がつづくのだからうれしくなる。
ユーロパッション
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