REBIRTH PROJECT|伊勢谷友介|「Lee BIRTH PROJECT」
FASHION / NEWS
2015年5月14日

REBIRTH PROJECT|伊勢谷友介|「Lee BIRTH PROJECT」

REBIRTH PROJECT|リバース・プロジェクト

Leeとのコラボレーション「Lee BIRTH PROJECT」

リバース・プロジェクト伊勢谷友介さんらにインタビュー

シーズンが過ぎるとともに店頭から外され、不良在庫として眠らざるを得なくなる衣料がどれだけ多いことか。それはまさに大量生産・大量消費時代の産物なのだろう。そこにクリエイティビティをもって挑むリバース・プロジェクトのあらたな試みが、今回発表された「Lee BIRTH PROJECT」。ひょんなアイデアから生まれた“蘇生計画”について、リバース・プロジェクトの伊勢谷友介さん、龜石太夏匡さん、葛西信博さんに話を聞いた。

Text by OPENERSPhoto by JAMANDFIX

cart_120704rumors_banner

社会のひずみから生まれる問題に、
自分たちの好きなデニムというテーマで取り組んだ

そもそも、伊勢谷友介さんが率いる「REBIRTH PROJECT(リバース プロジェクト)」とは何なのだろうか。ひとことで言うと、“人類が地球に生き残るためのプロジェクト”である。衣食住のさまざまな分野において社会のなかに山積みにされている問題に対し、未来に向け、自分たちで解決できる方法を模索していく――という活動全般をさす。

衣の分野は「HATCH YOU(ハッチ・ユー)」、食は「HOUSE475(ハウスヨンナナゴ)」、住は「THE SPIKE SHOW(ザ・スパイクショー)」というネーミングで活動しているが、今回話を聞いたのは「HATCH YOU」でのプロジェクト。デニムブランドのLeeとコラボレイトした「Lee BIRTH PROJECT(リー バース・プロジェクト)」だ。

龜石 僕は昔洋服屋をやっていたんですけど、アパレルが抱える不良在庫というものはすごく重要な問題だとずっと考えていたんです。従来だと安価でアウトレットで販売されたり、倉庫に置かれたり……サンプルセールをやっても売れないものは廃棄処分、つまりは燃やしてしまうっていう。でもそれって、すごく勿体ないことじゃないですか。そこに何かできないかと考えたのが今回の「Lee BIRTH PROJECT」のきっかけですね。

リバース・プロジェクト代表 伊勢谷友介さん

伊勢谷 衣類は、本当に必要な量の1.5倍のものが作られているそうなんです。大量生産・大量消費の仕組みのなかだと、どうしても残っていかざるを得ない。

今回「Lee BIRTH PROJECT」によって生まれたデニム

龜石 そう。在庫であったり余剰なものって必ず生まれるんですよね。どんな分野でも。結局昔のものは忘れ去られて価値がなくなると捨てられてしまうということがつづいてしまっている。じゃあ本当は捨てられてしまうようなものに、僕らのクリエイティビティを落とし込んだら、何かちがうものに生まれ変わらないだろうか、って考えたんです。で、僕らがデニム好きということもあってデニムで何かやってみたい、となって。REBIRTH……リバース……リーバース……ん!? 「Lee BIRTH」!?、という感じでアイデアが湧いてきて。

一同(爆笑)

伊勢谷 なんなの(笑)!? 真面目に話すと見せかけて、そのいきなりのダジャレ(笑)。

龜石 まぁまぁ(笑)。そんな感じで名前を考えて。そこからの行動は早くて、知人を通して2日後にはLeeさんにアポイントを取っていましたね。

リバース・プロジェクト副代表 龜石太夏匡さん

「Lee BIRTH PROJECT」ペイズリーモチーフのもの。

葛西 ちょうどLeeさんも、在庫にかんしてはアウトレットや郊外の格安ショップで売るという方法もあるけれど、何かもう少しちがったアプローチで販売ができないか、って模索していたようで。そこに僕たちリバース・プロジェクトのもっているテーマがフィットしたようです。僕らは最初、そういった在庫を買い取って細々と売ろうとしていたんですが、Leeさんからもちゃんとやりたいとの希望もあって、今回Leeのプロジェクトを僕らがプロデュースする、というかたちになったんです。今回は第1弾としてA品、つまりデッドストックですね。つい最近までは店頭にあったけれどシーズンが古くなって在庫になってしまったものからのスタートです。今後はB品C品と呼ばれる廃棄寸前のものまで手をくわえていこうという計画も、あります。

デッドストックを“蘇生させる”イメージから広がったデザイン

龜石 そこでまず、僕らのなかでコンセプトだったりどういうものを、っていうところを考えて。

AEDマークをあらわすハートに雷を組み合わせたモチーフ

伊勢谷 そこに藤本明くんというデザイナーがくわわって。彼が、こういう死んでるアイテム、いわゆる“デッドストック”を生き返らせるっていう意味でAEDマーク(※註|AEDとは、心肺停止の仮死状態に対し電気ショックを与える治療機器を指す)を使った。Leeのアイコンを用いて、馬がカウボーイの心臓マッサージをしているようなビジュアルつくったりとか。デニムのデザインのひとつであるイカヅチも、AEDの電気やエレクトリカルなものがイメージ。蘇生されたジーンズであるということを表しています。

葛西 そうそう、AEDの電気ショックを表現している。雷ということばも“神鳴り”とかけて、生き返る可能性のようなものを表わしています。ちなみにこのAEDマークは、Leeさんとのプロジェクトに限らず、これから僕らリバース・プロジェクトが何かを蘇生させるときには必ず使っていくというアイコン的なものなんですよ。

伊勢谷 いいですよね、ハートにイカヅチ。

葛西 今回はまず、A品で300本ほど製作しました。デニムは基本的に加工前のウォッシュをしていない状態のものに、紫外線による抜染をほどこして。表面をレーザーで焼いているんですね。ちなみにケミカルレス・ウォーターレスでできる工程なんです。それが可能な機械も、Lee Japan取締役/ディレクターの細川秀和さんにご紹介いただいた岡山の工場にあるのですが。何年か前にレーザー抜染が流行った時期にかなり高額な資金を投じて機械を導入したらしいのですが、それも使われなくなってしまっていたそうで。

リバース・プロジェクト HATCH YOU代表/プロデューサー 葛西信博さん

「Lee BIRTH PROJECT」ウィメンズも登場。

伊勢谷 デニムだけでなく、機械もリバースさせた。しかも出来上がったデニムを見たら思ったより形がいいんですよね。すごく足長く見えるし。こんなふうに少しデザインが入っていると、Tシャツに合わせただけでもデニムスタイルに変化が付けられると思う。大人にもぴったりハマるグラフィックなんですよね。

葛西 今回はレギュラーストレートとタイトストレートの2型で、メンズとウィメンズともに2型ずつ。限定数で出しています。

根本のテーマは“人類が地球に生き残るためのプロジェクト”

伊勢谷 このLeeさんとのプロジェクトが良い例なんですけれど、社会にはある程度流通のシステムというものができあがっていて、たとえば在庫みたいな余剰が生まれる事実とかもひとつのシステムのなかのネガティビティじゃないですか。その流れのなかにちゃんとした流れを起こすというか、空気清浄機的な役割を果たすことが、僕らリバース・プロジェクトのやらんとしていることだと思うんです。

何かひと手間くわえることで、自分のなかにモノに対する愛情が生まれてくる。僕はそういう小さなことがこれからのエネルギーのつなげ方なんだと思っていて。たとえば大学生が就職を考えるときに、お金が儲かるかどうかっていう判断基準は、資本主義経済が破たんしかけているいま、世の中の方向性としてもなくなりつつありますよね。昔のかっこよければそれでいいっていう考え方や、お金がかかっているものであればいい、っていう価値基準じゃなくて、そこではないところにいかなきゃいけない状況にきていることを皆が肌で感じているというか。

リバース・プロジェクト代表 伊勢谷友介さん

僕らがまず、良心が起点になっている会社というものをビジネスとして成立させていき、小さいと思えることでもやりつづける、そして流れをポジティブに展開していく、そういうことがつぎの世代にとって大切な価値観につながっていくと思うので。

「Lee BIRTH PROJECT」メンズのバリエーションより

龜石 リバースのプロジェクトは全部そこにあるんですよね。僕がよく言うのは「モラル」と「想像力」を大切にしよう、と。想像力だけを働かせても、そこにモラルという基準がないと成り立たない。モラルばかりを強調してもそこにはおもしろみがない、というようにどちらかがバランスをなくすと成立しないものですから。今回の「Lee BIRTH PROJECT」で感じたのは、いろんなクリエイターたちが集まって未来に対してすごく良いイメージを共有して。そしてそのイメージがかたちになって……という経緯を体験するなかで、僕のなかでひとの善意というものがじつはすごくすばらしいエネルギーを生むんだと実感した。

今は負のスパイラルになっていると感じるような社会でも、みんなのエネルギーでそれを逆回転に変えることができるんじゃないか、と。

伊勢谷 何かひとつ、いまの社会で山積みになっている問題に対して考えるきっかけにでもなれば。本当にみんなが意識を共有するには時間がかかるだろうし、僕らもつねにあたらしいプロジェクトを展開して、そこにクリエイティブな価値というものを付加していければと思っています。モノを買うという行為は、そこに自分が何か価値を感じたからお金を支払うのであって、ひとつの意思表示だと思うんですね。商品を買うということは理念を買う、じゃないけれど、今回の「Lee BIRTH PROJECT」のデニムをもつということもひとつの意思表示だと思います。もちろんデザインが気に入らないと、買っちゃダメですけど(笑)。

「Lee BIRTH PROJECT」ウィメンズのバリエーションより

★「Lee BIRTH PROJECT」のアイテムは、7月よりラフォーレ原宿Leeショップ、9月より伊勢丹新宿店本館2階デニムコーナーにて販売予定。

Lee Japan
Tel. 03-5604-8948
www.lee-japan.jp

REBIRTH PROJECT
http://rebirth.heteml.jp/leebirthproject/index.html

伊勢谷友介|ISEYA Yusuke
リバース・プロジェクト代表
1976年東京生まれ。東京藝術大学入学後、アートユニット「カクト」として制作活動を開始。俳優として活躍しながら、2003年には映画『カクト』の監督も。2008年株式会社リバース・プロジェクト設立。

龜石太夏匡|KAMEISHI Takamasa
リバース・プロジェクト副代表
アパレル業界で活躍したのち、俳優、映画の脚本やプロデュースなどを手がける。伊勢谷友介さんとともに映画『カクト』の製作も。

葛西信博|KASAI Nobuhiro
リバース・プロジェクト HATCH YOU代表/プロデューサー
10代より販売員、バイヤー、プレスを経験。ファッションブランドの企画、プロデュース、デザイン及び、音楽イベントのオーガナイズやブッキングをおこなうVersoixを設立。リバース・プロジェクトの衣の部門を手がける「HATCH YOU」代表。

banner_rebirth_project_rumors

           
Photo Gallery