CHRONOSWISS

スイス時計界がクォーツ式時計の台頭によって低迷していた1983年、かつてホイヤー社でも辣腕をふるった時計師のゲルト・R・ラングが、機械式時計の素晴らしさを再び世界に伝えるべく、ドイツに自身のブランドを設立。

彼はミュンヘンに本拠を構えながらも機械式時計の発展を支え続けてきたスイスの時計職人に対するオマージュの意を込め、ブランド名に「スイス」を冠し、名称をクロノスイスとした。

クロノスイスの腕時計は、新旧を問わず常にスイス製の高品質ムーブメントを採用している。比較的新しいムーブメントには独自の改良を施し、ヴィンテージムーブであればとことんブラッシュアップして、徹底的なクオリティコントロールを図る。

また、外装デザインにもこだわりを持ち、菊型リューズやコインエッジベゼルなど、クラシカルな意匠がほぼすべてのコレクションに採用されている。そのため全体的にコンサバティブなイメージを持つが、ギミック感の強い時計が多い現況にあっては、逆に新鮮味を与える魅惑的な仕上がりとなっている。

さらに中3針やクロノグラフはもちろん、トゥールビヨンやミニッツリピーターなどの複雑系も数多く製作。なかでも06年に発表された、同社初の永久カレンダーウォッチ「エターナル・カレンダー」は、創業者が1985年に考案してから約20年の歳月を経て完成させたという、こだわりの逸品。クロノスイスらしいエピソードである。

【創業年】1983年 【創業地】ドイツ、ミュンヘン 【主なシリーズ名】レギュレーター、タイムマスター、クロノスコープ

CHRONOSWISS|クロノスイス|デジター

CHRONOSWISS|クロノスイス|デジター

クロノスイス|CHRONOSWISSデジターText by OPENERS時計の世界では、針がインデックスを指し示す「アナログ式」の表示方法に対して、ディスプレイに数字を表示する方式を「デジタル式」と呼ぶ。一般的にデジタルウォッチといえば、液晶ディスプレイに羅列された数字を想起するユーザーも多いだろうが、機械式時計の場合は内蔵された回転ディスクによって小窓に数字を表示することが多い。クロノスイスのデジターも、内蔵された回転ディスクによって、“時”と“分”と“秒”を表示する。ただし、12時位置に備えられた“時”表示は、1時間ごとに瞬時に数字が切り替えられる。一見すると非常に斬新な表示方法に思えるが、しかし、このような意匠は1930年代の機械式黄金時代にすでに見られたものである。クロノスイスはかつて隆盛を誇ったこの機械式デジタルモデルを、現代に蘇らせたのだ。しかも、栄華をきわめた当時と同様、クロノスイスはこのデジタルモデルに、美しいレクタンギュラーシェイプを与えてくれた。さらに同社がこ...
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