スポーツと環境、極致のゴルフに注目|Volkswagen
CAR / MOTOR SHOW
2014年12月16日

スポーツと環境、極致のゴルフに注目|Volkswagen

Volkswagen|フォルクスワーゲン

持続可能な社会に向けたゴルフと、パイパワーなゴルフ

ロサンゼルスオートショーでフォルクスワーゲンが発表したのは、ゴルフをベースとする3台のモデルたち。ひとつは圧倒的なパワーを誇る「ゴルフ R400」、2つめはゴルフRのワゴン版コンセプトとなる「ゴルフ R スポーツワゴン」、そしてもう1台は先日、ホンダやトヨタが発表をおこなったのとおなじく、水素をパワー源とする「ゴルフ スポーツワゴン ハイモーション」だ。現地の模様を、大谷達也氏がリポート。

Text & Event Photographs by OTANI Tatsuya

注目は水素自動車のゴルフ

フォルクスワーゲンのメインステージを飾ったのは、最高出力400psを誇る「ゴルフ」のフラッグシップモデルである「ゴルフ R400」、「ゴルフ ヴァリアント」に「ゴルフ R」のコンポーネントを移植した「ゴルフ Rスポーツワゴン」、そしておなじく「ゴルフ スポーツワゴン」に燃料電池を搭載した「ゴルフ スポーツワゴン ハイモーション」の3台だった。

ただし、ゴルフR400は北京ショーで発表済み。ゴルフRスポーツワゴンはワールドプレミアムだけれども、ゴルフRのボディちがいといってしまえばそれまで。そういう意味では、ゴルフ スポーツワゴン ハイモーションが最大の注目株だったといえる。

Volkswagen Golf R Sportwagon|フォルクスワーゲン ゴルフ R スポーツワゴン 01

Volkswagen Golf R Sportwagon

Volkswagen Golf R400|フォルクスワーゲン ゴルフ R400 02

Volkswagen Golf R400

OPENERSではすでにフォルクスワーゲンで将来技術の広報活動を担当するウルフガング・シュタイガー博士のインタビューを掲載し、そのなかでドイツ政府の「水素の供給ネットワークを建設するという名目で無駄づかいをおこなうことは1ユーロたりとも許さない」という言葉を紹介したが、今回、複数のフォルクスワーゲン関係者に確認したところ、このニュアンスはかならずしも正しくないとの答えが返ってきた。

というのも、すでにドイツ国内には15ヵ所ほどの水素ステーションがあるほか、これを数年以内に50ヵ所程度まで増やす計画がドイツ国内で進行しているというのだ。

Volkswagen|フォルクスワーゲン

持続可能な社会に向けたゴルフと、パイパワーなゴルフ (2)

日本のようにはいかないドイツの事情

とはいえ、これはまだ日本のように経産省が旗振り役となって進められている「2015年までに全国に100ヵ所の水素ステーションを建設する」という具体的な計画にくらべればあくまでも検討段階のものに過ぎない。

東京から京阪地方までに水素ステーションを建設すれば実質的な需要のかなりの部分をカバーできる日本の状況とことなり、ドイツでは都市の機能が各地に分散しているため、50ヵ所程度では燃料電池車の普及は望めないというのがフォルクスワーゲン・グループの立場である。

このため、今回発表したゴルフ スポーツワゴン ハイモーションも、グループとして燃料電池の開発をおこなっているという姿勢をしめすアドバルーンに過ぎないといえないこともない。

もっとも、筆者はこのゴルフ スポーツワゴン ハイモーションと基本的におなじ技術を用いたパサート ハイモーションに試乗したが、スペックを含めて実用化に向けてなにか問題があるとは思えず、同社の燃料電池技術が世界のトップクラスに位置していることが確認できた。これにかんしては別立ての記事で詳しく紹介する予定なので、そちらをご参照いただきたい。

Volkswagen Golf R400|フォルクスワーゲン ゴルフ R400 07

Volkswagen Golf R400

また、ゴルフ R スポーツワゴンの登場は、ゴルフ R400というあらたなフラッグシップモデルが誕生したからこそ実現できたともいえる。その意味からいえば、ゴルフ Rの魅力的なパワートレーンが今後もさらに増殖していく可能性がなきにしもあらずといえるかもしれない。

           
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