但馬の食文化を伝え紡ぐ「さんぽう西村屋 本店」がオープン|EAT
LOUNGE / EAT
2019年5月29日

但馬の食文化を伝え紡ぐ「さんぽう西村屋 本店」がオープン|EAT

EAT|木の温かみが感じられる空間で、但馬の食文化に触れる

但馬の食文化を伝え紡ぐ「さんぽう西村屋 本店」がオープン

城崎温泉で150年の歴史を持つ老舗旅館「西村屋」がオープンさせた「さんぽう西村屋 本店」。兵庫県・但馬の地で、但馬の食文化を伝え紡ぐ拠点として、地元の高品質な食材を使った料理がふるまわれる。

Text by ITOI Natsuki

ダイニング・ギフトショップ・サロンで地元の「食」文化発信

兵庫県北部、但馬の豊かな山々と日本海に囲まれた城崎温泉で150年の歴史を持つ老舗旅館「西村屋」が「さんぽう西村屋 本店」をオープンした。温泉街の中心に流れる大谿川に沿って個性豊かな7つの外湯を有する城崎温泉は、外湯めぐり発祥の地といわれている。同店は、こうした外湯めぐりを満喫する観光客を幅広く向かい入れるなど、これまでにはない温泉地の過ごし方を提案する。

さんぽう西村屋 本店は、但馬の食文化を伝え紡ぐ「発信地」。地元食材を生かした和食を振る舞う「ダイニング」、西村屋が開発・製造を手掛けたオリジナルブランド商品をはじめ、西村屋の眼で厳選した地元の食材、伝統工芸品などを扱う「ギフトショップ」、軽食のスナックビュッフェを楽しみながら一息つくことのできる「サロン」の三部で構成されている。店名の「さんぽう」は、西村屋の社是にも反映される「三方良し」の精神を表したもの。また、地域の氏神であり、湯宿の火と竈の守り神として長らくこの温泉地を守る三宝荒神への感謝の意を込めたという。

生産者の顔が見える地元食材をふんだんに使用したダイニング

木の温かみに溢れる店内の中心は、ダイニング。中央に据えられた囲炉裏を囲うように設置されたカウンター席からは、シェフが目の前で調理する臨場感が味わえる。ひとたび料理が始まると、囲炉裏から漂う香ばしい匂いや炭のはじける音が食欲を刺激し、料理ができあがるまでの時間も五感が満たされる。

ディナーコース「宝珠」の肉料理

食材は、料理長が直々に足を運ぶなどして、できるだけ生産者の顔が見える素材を厳選している。 例えば、地魚のお造りに添えるわさびは、但馬の地で創業300年を誇る「北村わさび」のわさびを採用。地元神鍋高原のミネラル豊富な湧き水を使って栽培したわさびは、後味の甘みと香りが引き立つ。有機農法にこだわった優しい風味の野菜に定評のある「ナカツカサファーム」からは、四季折々の旬の野菜を仕入れている。クリーム色のルッコラの花は、さわやかな苦味でメイン料理の但馬牛赤身肉を引き立てる。

このほか、38種類の種モミを一緒に蒔いた「三十八穀米」、日本古来の固有原種の「赤花蕎麦」を使用した自家製の十割手打ち蕎麦、地場小豆の「美方大納言小豆」のデザートなど、但馬ならではの伝統食材をふんだんに取り入れ、同店の料理人が腕をふるう。

ギフトショップでは、オリジナルブランドを展開

洗練された雰囲気のギフトショップは、食品から工芸品に至るまで、地元産品やオリジナリティにとことんこだわった。西村屋のオリジナルブランドとして開発した「朝倉山椒と紅ずわい 蟹山椒」は、紅ずわい蟹のふんわりとした甘みと食感に、山椒のピリッとした辛味がアクセントになった逸品だ。スライスした但馬牛を西村屋の料理人が厳選したこだわりの調味料で煮た「但馬牛しぐれ煮」も味わい深い。

工芸品では、透き通るような白を特徴とする「出石焼」のオリジナル食器がおすすめだ。三方(三宝)を示す三角と、浄化・清浄を表す白を基調としたデザインは、城崎温泉の古き守り神と伝えられる三宝荒神への感謝の思いと、日常生活をいつも晴れやかに過ごしてもらいたいという願いを込めたという。同店のダイニングでも使われている。このほか、城崎の伝統工芸品で鮮やかな色彩と光沢が美しい「麦わら細工」なども扱う。

レターラウンジを併設したサロン

外湯めぐりの帰りに、ゆったりとした空間で、贅沢なひとときを味わってもらいたいと設けたのが、吹抜けの煙突を囲むように配置された2階の「サロン」スペース。地元の食材を使った軽食や地酒の試飲などが楽しめるスナックビュッフェ(有料)で、一息つくことができる。

城崎温泉は、多くの文豪に愛された町としても有名。城崎滞在中の体験をもとにした小説「城の崎にて」を発表した志賀直哉をはじめ、島崎藤村や与謝野晶子といった数多くの著名な文人が訪れた。こうした文学にゆかりの深い同地の特長を生かし、サロンには手紙をしたためることができるレターラウンジを設けた。但馬の風景を収めたフォトギャラリーも併設しており、散策の合間にくつろぎのひと時を過ごすことができる。

観光客が集う、新たな憩いの場として

大谿川の柳並木と石造りの太鼓橋——。情緒ある城崎の町並みは、近年、欧米を中心とした外国人観光客からも注目されている。さんぽう西村屋 本店は、城崎を訪れた観光客が誰でも立ち寄ることができ、またこれまでにない、より優雅で贅沢な街の楽しみ方を提案する。

さんぽう西村屋 本店
住所|兵庫県豊岡市城崎町湯島463-2
TEL|0796-32-4680
営業時間|
【ダイニング】
ディナータイム
18:00〜23:00 (L.O.21:30)
ランチタイム
11:00〜14:30 (L.O.13:30)  ※ランチは土日限定
【ギフトショップ】
10:00〜23:00
【サロン】
10:00〜23:00
2,000円(税別)/ 大人1名終日利用可能

料金|ディナーは、但馬牛炭火と旬菜<澄明>(囲炉裏炭火で繊細に火入れした但馬牛赤身肉と旬の焼き野菜のコース) 8,000円、精進菜食<三柱>(旬の地野菜を贅沢に使った低カロリーで体に優しいグルテンフリーの野菜食コース)8,000円などのコースとアラカルトを、ランチは、但馬どり親子御膳1,600円などをそろえる。(いずれも税別)

定休日|水曜日
URL:http://www.sanpou-nishimuraya.com

           
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