連載|台湾の素顔を探しに台中へ(後編)
LOUNGE / TRAVEL
2017年8月4日

連載|台湾の素顔を探しに台中へ(後編)

気さくで懐かしさすら感じる台中でスローな台湾時間を満喫

台湾の素顔を探しに台中へ(後編)

成田から、台湾の玄関口である桃園空港まで直行便で約4時間。移動時間からしても、文化的親しみやすさからしても、とても身近な旅の目的地、それが台湾だ。2016年、台湾に旅した日本人の数は約190万人に及ぶ。その多くは台北を目指し、日本人旅行者のリピーターも増えている。首都・台北には中華料理の名店も多く、スイーツや夜市などB級グルメを食べ歩くという楽しみもある。さらに、マッサージやショッピングなども、フレンドリーな価格で楽しめるとあれば、一度訪れたらファンになるのもうなずける。そんな台湾を気に入ったのなら、ぜひ台北以外のエリアにも足を延ばしてみてほしい。例えば、台湾の中部に位置する台中市などいかがだろう。台北中心部からは、快適な新幹線の旅で1時間弱。平均温度23度と1年を通して温暖かつ穏やかな気候でも知られている、台湾人が最も住みたい都市ナンバー1だ。国際都市である首都よりも、もっと素朴な台中には、より気さくでどこか懐かしささえ覚える、素顔の台湾が見えてくる。

Text by MAKIGUCHI June

VOL.2「街&自然探訪」

台湾の街歩きで外せないスポットといえば、屋台グルメで知られる夜市。台中には、台湾で最も有名な観光夜市がある。逢甲大学の周囲約1kmにわたって広がる逢甲夜市だ。文華路、西屯路、逢甲路、福星路を中心に広がっており、オリジナリティあふれる屋台の味が大盛りで供されることでも有名。特に台湾の軽食“小吃”のメニューの豊富さと安さには定評あり。老舗店も多く、台湾の人気屋台メニューの多くが逢甲夜市発とされている。タピオカやバジルシード、仙草を使った個性的なドリンクや、こんがりと焼いたチキンや腸詰、かりっと揚げた臭豆腐など、地元の人々が日常的に親しんでいるB級グルメに出会える場所だ。

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逢甲夜市
住所:西屯区逢甲大学周辺
営業時間:12:00〜26:00

古跡保護区に指定されている鹿港旧市街も、台中の食を知ることのできる楽しい散策地だ。1785~1845年、清乾隆期に交易港として栄えた町。近代的な発展からは取り残されたことで、100年以上前の伝統的なレンガ造りの建物が今も残り、今ではゆったりとした時間が流れる古都として観光客を魅了している。レンガ造りの家屋の間には細くまがりくねった路地が伸び、タイムスリップ気分が味わえる。
大通りには昔ながらの菓子やシーフードの店が立ち並び、小腹を満たしながら散策という楽しみ方も可能だ。シャコやカキが有名で、フライ、スープや卵とじにしたものが美味。全国的に有名な肉まんの店もある。台中で生産がさかんなタロイモを使った団子や、緑豆でつくられる落雁、台中の伝統菓子であるパイのような太陽餅などのお土産店も軒を連ねているので、鹿港旧市街巡りの際はおなかをすかせて行くことがおすすめだ。

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鹿港旧市街エリア
彰化県鹿港鎮

B級感いっぱいの愉快な屋台グルメが進化する一方で、台湾で昔から親しまれているのが素食だ。街を歩けば、「素食」の看板を掲げた店が多く目につく。いわゆる、ベジタリアンフードのこと。最近では、西洋のテイストを取り入れた素食のレストランも多くみられる。

レンガ造りの建物に囲まれた鹿港九曲巷エリアの「意楼」にひときわ目を引くモダン建築が人気の高級素食店「掬翠拾煙 養食房」だ。1、2階はカフェ、3階がベジタリアンフード・レストランだ。自分たちで育てた自然農法の新鮮な野菜や芋を使った前菜、ボリュームいっぱいの精進料理、雑穀米を使ったご飯がウエスタンスタイルでサーブされる。素材のうまみや季節感大切に、クリエイティビティにもこだわって作られる料理は、体にも優しく、旅の途中で胃が疲れ気味な人や、今日は中華料理とは違うものをと考える人にもぴったりだ。食後にはぜひ、目の前で豆乳から作ってくれる豆腐花を。ほのかな甘みと、ふんわりとした口どけがやみつきになるデザートだ。

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掬翠拾煙 養食房
住所:505彰化縣鹿港鎮金盛巷10号
電話番号:+886-4-778-9112
営業時間:11:30〜21:00
https://www.facebook.com/veggie.tw/

自然豊かな台湾の中でも、2つの国立公園、3つの国有森林地区、4つの景観保護区、そして3つの野生動物保護区を有する台中は、美しい景色でも知られる場所。なかでも、今、国内外で熱い視線を注がれているのが高美湿地だ。清水大甲溪河口の南側に位置する生態保護区でもある。

約300ヘクタールと面積は狭いながらも、乾地と湿地、砂質と泥質の土壌が混ざり合っているため、複雑な生態系が形成されている。珍しい植物、鳥類、魚類、甲殻類を観察できるが、この地を有名にしたのは息をのむような絶景だ。

特に夕景は美しく、風がない日の夕刻、干潮時刻になると、沈みゆく太陽の光を水面が鏡のように反射し、あたり一面がオレンジ色に染まる。刻一刻と変化する幻想的な情景を見ていると、時間を忘れてしまいそうになるほど。その美しさが、アジアのウユニ塩湖と称されているのもうなずける。風力発電の風車も立ち並び、自然とテクノロジーが融合して作り出す風景も見もの。

ベストシーズンは3月~10月とされているが、気候と時間帯によってみられる景色が変わるので下調べは必須。遊歩道は整備されているが、湿地に入ることも可能なので、ご希望の方はタオルとビーチサンダルをお忘れなく。

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高美湿地
台中市清水区大甲渓
http://www.gaomei.com.tw/

台北から、わずか1時間ほどで出会える新しい台湾の魅力。台中ならではの味と風景を探しにでかけてみてはいかがだろうか。

TRAVEL INFORMATION
●台湾に行くなら、チャイナ エアラインが便利。成田をはじめ、日本の15都市から桃園空港へ週200便以上を就航。桃園空港から台中市までは、直通バスで約1時間30分。
https://www.china-airlines.com/jp/jp

●「台湾好玩卡(台湾おもしろカード)」
台中を旅するなら、移動をより快適にする「台湾好玩卡(台湾おもしろカード)」の入手がおすすめ。観光スポットの特別優待を提供する電子チケット式カードだ。台中市内の200のルートのバスが乗り放題。本カードにより、現地でさまざまな特別優待やサービスを受けることができる。空港やコンビニエンスストアで購入可能。
http://ct-pass.com/product/show/539?lang=ja

           
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