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其の十二「日本の食卓」 文=田中 玲
写真=中川昌彦
こうして季節を感じ、楽しんでいると、日本に四季があるのを感謝せずにはいられません。 お吸い物に浮かぶ柚の皮のひとひら、和え物にひとつまみの木の芽など日本料理には季節の香りを伝えるいろいろな工夫があります。食欲が衰えがちな夏には、薬味の利いたそうめんや冷や奴がおいしく感じられますし、身体の熱を冷ましてくれるナスやキュウリなどの夏野菜が多く出回ります。 季節の旬なものは日本で暮らす私たちのからだにかなっているのでしょう。 一年間この連載をさせていただいて、もともとあまり食べ物に興味のあるほうではなかった私には、毎月食べ物について考えることははじめての経験でした。しかし、回数を重ねるごとに食べ物への関心が高くなっていくのを実感して、私にとって何を大切にしたいのだろうか? と考えるようになりました。そして、「季節や土地に合った食べ物が大切」という思いに繋がるようになりました。 今の日本は、世界のほとんどの国の料理をお店や自分で材料を調理して楽しむ事ができます。私もエスニックやイタリア料理も大好きですが、特別な食事として楽しんでいます。日々の食卓は日本の旬の食材を食べるようになりました。そのほうがからだにも合っていて、無理なくつづけることができるからです。まだまだ「朝はパンがいい」など、長年習慣づいた好みは変えられませんが、あまり窮屈に考えないで日本の食卓を楽しみたいです。 一日三回の食事を「三回もある」と思うか「三回しかない」と思うか。私は「三回しかない」と思って一回一回の食事を大切にしたいです。手軽に栄養が摂れるクッキーなどの「サプリ飯」よりも、質素でも吟味した内容の食事をできるかぎり良い雰囲気で食べたい。良い雰囲気は音楽を流したり、好きな食器を並べることで簡単につくることができます。
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