THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 植物染料による染織文化の歴史は古く、なかでも絹糸を染める技術は、仏教伝来とともに発達したといわれている。この長い歴史をもつ伝統工藝を今に伝える染織家 清水繭子さんは、紬織重要無形文化財保持者 志村ふくみさんに師事を仰ぎ、京都で修業を積んだのち、現在は鎌倉を拠点に活動している。
THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 清水さんの作品
(写真=大屋孝雄)
「志村先生の著書のなかに桜で染色する話が出てくるのですが、桜は、あの淡く美しい花びらで染めたらうす緑になり、幹で染めてみたら桜色に染まったというくだりを読んで、胸に残っていました。その後、実際に自分で桜の枝で糸を染め、ほのかな桜色が出たときには感動しましたね。表面にあらわれていない色、植物の内側に蓄えられている生命力に感銘を受けました」
THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 清水さんの作品
(写真=大屋孝雄)
「もともと布や糸のような優しいものに触れるのは好きでした。だから世界各地のテキスタイルには関心があったのですが、素材でいうなら、やはり絹糸との出会いは大きかった。繭から紡いだ糸の光たくとしなやかさ、けがれのない清らかな白さは格別です」
THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 「染め上げた糸は織機で反物にしていきますが、手が荒れていると、この作業中にささくれや小さな傷に糸をひっかけてしまう。だからハンドケアは、つねに予防の要素が高いですね。THREEのハンド & アームクリーム ACは、ほかのハンドクリームよりも使い心地がいい。植物由来で、ユズや梅など“知っているものが入っている”という点も、安心感につながっていると思うんです」
THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 「植物の色には日々おどろきと発見があります。それはもう思いがけないことの連続で、そのうちに“こういう色が出るだろう”なんて想像すること自体が、おこがましいというか、想像するものではないなという感じです。想像したところで、いい意味で裏切ってくれますし(笑)」
THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 「最初のうちはことごとく失敗していました。 “こういう赤みのあるクリーム色”なんて思いつつ染料を選んでみても、なかなか思うようにいかない。どんどん色が逃げていく。結局、自分の創作のために、命あるものをコントロールしようとしていたんですよね」
THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 「色を追えば追うほど、色が逃げていくという経験を重ねていくうちに、植物に合わせてみる、植物そのものを活かすことに力を注いでみようと気づいたんです。今は“これはどんな色に染まるだろう”と思いながら糸を染め、それでどんなものが作れるだろうと考えるようになりました」
THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 「植物の色に自分が合わせたら、それまでになかったような透明感溢れる色が出て、植物のいちばんいい状態を引き出せたと実感できることもしばしば。生き生きとして、それぞれにあたたかさや深みがある。創造力も掻き立てられます」
THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 取材にお邪魔したお宅には、織機が置かれた部屋がある。昔ながらの織機には経糸(たていと)が張り巡らされ、杼(ひ)と呼ばれる道具で、上下にわかれた経糸のあいだに緯糸(よこいと)を繰り返しとおしていく。1日約3尺(1尺は37.8センチ)のペースで進めていると清水さんは言うが、着物に必要な反物は、一般的に32尺(約12メートル)前後。その根気と集中力は計り知れない。
THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 清水さんは、自身の創作活動のほかにも、染色を体験してもらうワークショップを開催している。 「本当に身近なもので色が染まるんだと、おどろいてくれます。私は染色を特別なものにしたくないんです。絹糸にかぎらず、植物染料でいろいろな素材が染められる楽しさに触れていただけたらと。……手の感覚から得られることは大事です」
THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 「この仕事をはじめたときは、頭で“こうしよう”と思って手を動かしているという感覚で、それゆえなかなかうまくいかなかったことがありました。でも、修練を重ねていくうちに、頭でやろうとしていることに手が追いついてくるようになる。それをさらにつづけていくと、手が先に動くようになる。指の腹で糸をたぐり、織物に触れるこの仕事をしていると、その変化を痛感します。だから、手の感覚は絶対に鈍らせたくないんです」
THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 「命の色をいただく植物と、作ったものを着てくださる方を尊重し、両方にそっと寄りそうような感覚であいだに立つのが、自分なんじゃないかと思います」──自然の恩恵を真摯に受け止め、そしてそれをあますことなく使うひとへと導く姿勢は、THREEの理念とつうずるところが多い。
THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 「きものを着てくださった方から“着やすい”きものというだけではなく、“私自身が着ているという感じ”と言っていただけたときには、本当にうれしかった。これが自分がやりたかったことだと思いました。作品で自分を出す、表現するのが“作家”なのかもしれませんが、自分を出さない作家性があってもいいんじゃないかと思うんです。植物と着るひとのあいだで自分がやるべきことがある。それが丁寧な姿勢につながるのではないかと思います」
THREE|スリー 染織家 清水繭子さんが語る、植物の力 植物の数だけ色があり、季節や育った土地でまた色が異なる。植物が発するままに染め上げられる色には、日々思いがけない驚きがあるという。写真左から、ヨモギ、クサギ、サクラ、サンゴジュ、ニッケイ、ヤマモモ、シラカシ、ハゼで染め上げられた糸。絹の光たくと相まって、柔らかい光を放つ。この糸が反物となり、きものへと生まれ変わっていく。その計り知れない工程のひとつひとつに、清水さんの想いが込められている。