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2009.06.25

AROMATHERAPY AND YOU

Vol.1 補完療法としてのアロマセラピー

 
“人を癒すのは人である”という信念のもと、「アロマティーク」代表、アロマテラピストとして活躍される中村あづささん。この連載では、アロマセラピー、つまり「芳香療法」を通して、心身のバランスを整えるための香りについて、お話しいただきます。

写真・文=中村あづさ
編集=小林由佳

ハッとする香りと私たちの感覚

何気なくふっと香ってくる香りに、ハッとすることはありませんか?
それは食べ物のにおいかもしれませんし、誰かの香りかもしれません。外国の空港に降り立ったときに、その国の空港特有の香りを感じた経験のある方も多いのではないでしょうか? 好きなひとの香りがとても気になったりしませんか? ときには、なんとも表現しようのない良い香りを、ふと感じることもありますよね。

そして私たちは、そういった記憶や経験から、おなじ香りを再現したい、好きなひとの香りをつねに身近に感じていたいなどと感じます。そしてその心地よい香りを自分の部屋、自分が落ち着く場所に取り入れたいと考えはじめます。だからこそ、いつも自分を心地よくしてくれる香りを探し求め、見つけようとしているのでしょう。

「これはおいしそう!」、「この色がいいね」、「この曲はとっても素敵だね」など、私たちは感覚で捉え、感じるものに関して深い理由をいつももっているでしょうか? おなじものを目にしたり、聴いたりしても、こういった感覚は、個人差があり、そしてその感覚は自分そのものを作り上げている要素です。ですから、ほかのひととちがったとしても、それを否定することはありません。……それでは、香りはどうでしょう?

つねに「香り」を意識して生活している、というわけではありませんが、鼻をつまんでなにかを飲んだり食べたりしてみてください。味を感じないことがわかります。また、数日前につくったおかずを目の前にして、「これはまだ食べても大丈夫かな……」と思うものがあったら、私たちはそれを無意識にすぐ「嗅いで確かめる」という行為に及ぶことが多いことがわかります。

そしてその判断で、その可否を決めたり、食べ物であれば口に入れることができるかどうかと判断します。香りをとても身近に感じる行為ですよね。

子どもが風邪気味だったり、病気の予感がするときにも、多くの母親が子どもの汗や身体のにおいで気づく場合も多いでしょう。異性の香りとおなじ香りを身につけたいという感覚。これはそのひととおなじものを共有することによってより「親近感」や「安堵」そして「共有感」を味わうことができる要素であり、それが「香り」だけで心も身体も満たされたような感覚になれるなんて、素晴らしいと思いませんか? それだけ、「香り」は私たちに影響が大きいことがわかると思います。

このように、私たちはこの「本能的」に備わっている嗅覚を決して無視してはいけません。そして嗅覚は、普段決して容易に目に見えるものではありませんが、その働きをより知ることによって、私たちのとても大切な部分をつかさどっている根本のひとつであると理解することができます。


好きな食べ物・好きな色・好きな音楽、好きな触感。そして好きな香り

何かの香りを感じたとき、「私はこの香りが苦手だな……」と思っても、誰かが「この香りいい香りだよね!」と言ったとき、みなさんはどうしますか? もしそれが家族や気の知れた友人である場合には、「私は苦手だな……」と伝えることはできるかもしれません。しかし正直に自分の感覚を伝えられない場合に、自分の本能的な感覚を抑えて、苦手であることをつい我慢して……といった経験があるのではないでしょうか? そこには、他人とちがうことを恐れる自分が存在しているからではないでしょうか。

誰もが個性をもっていることが常であり、「自分の感覚」に正直に向き合う方法として、まず誰かに合わせて「我慢しすぎる」ことはやめましょう。ときには自分の感覚が間違っているように感じることもあるかもしれませんが、感覚に「間違い」など存在しません。とくに嗅覚で感じるものは、みなさん自身の本能であり、記憶とも深くつながっています。これは、個々がそれぞれにちがった環境や家族で育ち、ちがった背景をもっているのとおなじです。このちがいがあるからこそ、嗅覚で感じる感覚は難しくもあり、そして未知的で神秘的でもあります。そしてこれが“嗅覚の研究は難しい”といわれる理由のひとつでもあります。
ちがう仲間の数だけ、ちがう感覚が存在します。「誰かの感覚に自分をあてはめること」、それは自分の感覚を否定することにもなるため、どこかで苦しくなりはじめるのです。

私たちには必要な我慢もたくさんありますが、必要のない我慢をせずにどれだけ気持ちを開放できるか……それが、結果的に、気持ちだけではなく、私たちの「健康維持」や「免疫強化」につながるということがわかれば、もっと感覚に正直になれる、正直になってみよう! と思うかもしれません。

そしてこの感覚は、個々の「本能」でもあり、皆さん自身です。


Complementary Therapy(補完療法)としてのアロマセラピー(芳香療法)

私たちが日常病気などをしたときに病院にいって診察をしてもらうといった医療の枠組みのほかに、事前に自分で病気にならないようにケアを行ったり、病気になったことをきっかけに、おなじ症状が生じないように予防としてのケアを行うといった「補完療法」という方法があります。

これは、代替療法とはちがって、医療に取って代わるような方法ではありませんが、あくまで医療と付随して、もしくは医療のサポート的な働き、そして予防を行う観点で、世界中で活用されつづけています。また、この補完療法の枠組みの考え方は、国の医療に関する法律と準じて各国で差があるということも事実です。簡単な例だと、日本では漢方薬は医薬品の扱いですが、英国ではこれが補完療法の扱いとなります。

医療的な役割をもってアロマセラピーを活用しているフランスなどの場合には、心身のバランスのケアというよりも、身体的な病気や症状のケアでの活用が高いというのが特徴です。本来、日本のアロマセラピー(芳香療法)は、補完療法としての役割が強く、精油の香りを活用して私たちの心身のバランスを整えることが目的であり、決してなにかを急激に「治す」ものではありません。

私たちは病気になると、その病気になるまでの過程を悔やみますが、アロマセラピーは、まさしくその病気になる手前までのケアを行うための療法であり、「予防医学」としての目的をもちます。 また、病気が完治したあとに、おなじような状態を繰り返さないためにも、その後のケアをするといったことにも用いられ、薬ではなく治療の補助的な役割をするものとして、「補完療法」の枠組みで考えられています。

私たちにとっては、イベントのような使い方ではなく、何気ない日常のなかで自然と活用できるアロマセラピーが本来の活用方法であり、なにか状態が悪くなってから薬のように活用するのでは、予防という観点からも外れてしまい、実際の働きとしても、その症状を急激に変化させるだけの力は弱いということ、そして何か症状があれば自分だけで判断せず、まず医療機関にかかってからその後のケアをどうするかを判断したほうが、リスクも軽減できます。

どんな症状や病気がその裏に隠れているかを実際に知ることも、自分を見つめる大切な場面です。また、アロマセラピーに急激に「効く」ということを期待するよりも、自分のその状態をつくりあげてきた年月を考えながら、徐々にその年月をさかのぼるように、症状を緩やかに改善していくということが、心と身体にも負担なく行える方法であることを覚えておいてください。

これからそれぞれの季節やその時期に考えられる症状などをピックアップしながら、実際のみなさんの生活に身近に関していただける補完療法としてのアロマセラピーをご提案していきます。また、毎回アロマセラピーで活用できる精油(エッセンシャルオイル)について、どういったものを選べば良いか? どういったことに注意しなければいけないか? ということを、ご紹介していきたいと思います。


AROMATIQUE
http://www.aromatiqueltd.com
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