石田 もちろん。僕がいいと思う国産時計は3つあって、ひとつめはジウジアーロがデザインし、1983年に発売された「スピードマスター」のデジタル・モデル(SSBA022)。
ふたつめは1999年に限定販売された「キネティック・クロノ」(SBXZ003)。
3つめが1998年に限定販売された、体温を電気に変換して駆動する「サーミック」(SBET001)なんです。
名畑 どれも通好みの傑作ですね。ジウジアーロのスピードマスターは、僕もオリジナルと復刻版の両方を持っています。ただ、キネティック・クロノとサーミックは、限定版だし、ちょっと高価だったので手に入れられなかった。
でも、そういう新技術への挑戦こそが国産時計の持ち味だし、スイスやドイツを一歩も二歩もリードする部分ですよね。
そして最近は、国産の高級時計に対する理解が深まり、需要も伸びたことで、本格機械式時計に対する企業からのアプローチにも変化が見えてきました。
そのひとつの例が、SIIの盛岡工場に設置された
「雫石高級時計工房」(※3)であり、「富嶽」もここで生産されているんですよね。
石田 そうです。僕も、雫石高級時計工房の技術をGSXに積極的に取り入れていこうと思っています。だから「富嶽」にも、あえて「SHIZUKUISHI(雫石)」と刻印を入れたんですよ。
名畑 それは、どんどんやるべきです。最近、ようやく注目されてきましたが、日本ではモノをつくる職人の地位がまだまだ低い。だから、そういった人々や独自の技術をもった工房を前面に打ち出すことで、地位の向上と一般への認知度を高めることが、モノづくり産業の活性化になるはずです。
(おわり)