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2007.06.11

バリトン歌手 宮本益光インタビュー (3)

photo by Jamandfix
interview&text by TAKEDA Nanako

著書 『宮本益光とオペラへ行こう』 と新譜 「あしたのうた」 、そして今後

──ご著書 『宮本益光とオペラへ行こう』、とても面白いです。誰が読んでも、「あ、オペラって楽しいかも」 と思えるような内容で。

宮本益光 子供が歩きながら 『さいた、さいた』 と歌う。そこがすでにオペラの入り口なんです。歌が広がり、劇になって、その劇を専門家がやるのがオペラ。子供がお父さんとキャッチボールをする延長上に、プロ野球があるようなものです。『オペラって難しくない』 といってみたところで、『難しくないのに向こうの方にある』 というので終わっちゃいやだな、というのが書いた根底にあります。
もう一つは、オペラの解説書はごまんとあるけれど、これを読むことによって、『この話、もっと詳しく知りたいぞ』 と思ってもらえるような一冊、そういうところを狙ったつもりなんです。

──新譜 「あしたのうた」 を聴いて、宮本さんの日本語の歌、本当に美しいと思いました。日本語の歌を美しく歌うのにも、とてもテクニックがいると思うのですが。

宮本 確かに発語法などのテクニックは必要。でも究極は 『言葉に意思を宿すか宿さないか』 だという気がしています。聴きたいのは 『文字』 じゃなくて 『意味』 だろう、と。

日本人として、日本の歌を……

──日本語の歌をとても大切に考えていらっしゃるんですね。

宮本 滝廉太郎の 『荒城の月』 が1901年に発表されてから100年が過ぎて、外国人歌手もアンコールに日本の歌を歌うようにもなってきた。多分あと100年もしないうちに、ドイツ人が 『日本歌曲のゆうべ』 のようなものを開く日がくるんじゃないでしょうか。そういう時代を呼ぶためには、日本人である僕らが日本の歌を歌って、それを芸術の域まで高めて行く必要がある。また、『僕のオリジナリティーってなんだろう』 と考えた時に、やはり日本の歌を大切にしたい。それがこのCDに託してあることでもあります。

──歌っていて、気持ちがいい瞬間とはどんな時ですか?

宮本 理想とする声をいつでも出せるように毎日毎日鍛えているんですが、野球の選手が毎日ホームランを打てないのと一緒で、ちょっとした事が事故につながるようなぎりぎりのところで僕らは闘います。が、狙っている表現がハマった時には、ものすごい快感があります。もう、脳細胞がピチピチとなるような……

──その声もこれからもっともっと熟成していく……

宮本 と信じたいですね。一般に 『バリトンは40歳過ぎてからが勝負』 と言われています。毎日、稽古場に出て、そこで調整しながら、時間が空く時には、自分の状態を維持する訓練は欠かしません。声を出すことだけではなくて、呼吸法、体力づくり、心の鍛練も必要ですし。

──「音楽家で良かった」 と思うのはどんなことですか?

宮本 『極上の出会い』 が待っていること。リサイタルでお客さまから拍手を頂戴したり、泣いている方を見たりすると、『本当に音楽家で良かったな』 と思います。それから、すばらしい指揮者、共演者、スタッフと仕事ができた時。最初に出会った先生からすべてつながっているんだと思うと、『出会いの尊さ』 に手を合わせずにはいられない。僕はヨーロッパの大舞台に立つとか、そういうことはどうでもいいんです。自分の信じる活動をやり続けたい。それが 『出会い』 が導いてくれた答えだと思います。

──楽しいお話、ありがとうございました。

『宮本益光とオペラへ行こう』 (旬報社刊) と 『あしたのうた』


宮本益光HP
http://www5a.biglobe.ne.jp/~son-net/

2007年4月1日に津田ホールで 「21世紀(ぼくら)の歌」 バリトン・リサイタルが絶賛された宮本益光。

2007年3月25日、ナミレコードより、自らが作詞した 「あしたのうた」 を含む新たなCD 『あしたのうた』 加藤昌則歌曲集 (WWCC 7549)をリリース。

また、ユニヴァーサル・ミュージックより配信専用の「千の風になって」「小さな空」なども録音し、話題になっている。
http://listen.jp/store/album_00028945068756.htm

今年の主な出演予定

日生劇場 音楽ドラマ わが心の旅 チャイコフスキー
www.nissaytheatre.or.jp/fam/paf/chaykovskiy.html
2007年8月3日(金) 14:00開演
2007年8月4日(土) 14:00開演
2007年8月5日(日) 11:00開演
             15:00開演

銀座ぶらっとコンサート #18
http://www.ojihall.jp/concert/lineup/2007/20070905.htm
宮本益光の王子な午後3 「お料理の歌」
2007年9月5日(水) 13:30開演
全席指定 ¥2,500

埼玉芸術劇場
http://www.saf.or.jp/p_calendar/geijyutu/2007/m0930.html
http://www.saf.or.jp/p_calendar/geijyutu/2007/m0929staff.html
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LINK/関連リンク
宮本益光
MIYAMOTO Masumitsu

バリトン
東京藝術大学卒業、同大学院博士課程修了。
論文「オペラの日本語訳詞、その方法論」にて学術(音楽)博士号を取得。
奏楽堂日本歌曲コンクール奨励賞受賞。第69回日本音楽コンクール入選。
国際モーツァルトコンクール派遣者選考会にて優秀賞受賞。
1996年に広島オペラルネッサンス『ドン・ジョヴァンニ』(マゼット役)でオペラデビュー。
コンサートでも「第九」をはじめソリストとして活躍。04年読売日響「カルミナ・ブラーナ」での躍動感溢れる演奏が好評を博し、東京オペラシティでのリサイタル「B→C(バッハからコンテンポラリーへ)」でも成功を収めた。
また、テレビ朝日「題名のない音楽会21」や日本テレビ「深夜の音楽会」、NHK-FM「名曲リサイタル」などテレビ、ラジオにも出演。
2005年10月ユニバーサルミュージックよりデビューCD「おやすみ」UCCS-1079をリリース。12月にはHAKUJU HALLでのCDリリース記念リサイタルを開き、満場の客席から喝采を浴びた。
二期会会員。

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