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more trees meeting 2009
2009年1月29日、東京・港区の「港区立エコプラザ」にて、「モア・トゥリーズ・ミーティング」なるイベントが催された。坂本龍一氏を中心に2007年に発足した「モア・トゥリーズ」のこれまでの活動が報告され、坂本氏をはじめ賛同人、関係者がスピーカーとして登場した。
写真=飯田信雄、加藤文哉
成長の1年
「モア・トゥリーズ」という、環境問題に森づくりから取り組もうというアイディアが公にされたのは2007年5月のこと。細野晴臣氏、坂本龍一氏、高橋幸宏氏、桑原茂一氏、中沢新一氏という錚々(そうそう)たるメンバーを発起人とし、さらに各界から多くの賛同人を集め、同年7月には「有限責任中間法人モア・トゥリーズ」が正式に設立された。
森づくりを通した二酸化炭素(CO2)削減を狙うこのプランの全貌が明らかにされたのはそれから数ヵ月後の11月30日。赤坂区民センターで行われた「みなと森と水会議2007」内の「坂本龍一のモア・トゥリーズ ミーティング」で、活動のコンセプトや国内における森林再生プロジェクト第一号の発表などについて、代表の坂本龍一氏の口から語られた。 そして坂本代表の“キックオフ宣言”から1年強を経た2009年1月29日、「みなと森と水会議」の一環として「モア・トゥリーズ・ミーティング」と題した、これまでの活動報告会が開かれた。 この会に参加し、モア・トゥリーズ自体は、1年数ヵ月という、樹木にしてみたらまだ幼木に過ぎない期間しか活動していないが、しかしその間の成長は目覚ましく、着実にその身を伸ばしているということがわかった。 着実に進む森林再生プロジェクトまず07年11月に誕生したのが、高知県梼原(ゆすはら)町にある「モア・トゥリーズ第一号の森」。新宿御苑とほぼ同じ面積という58.4haの森を3年かけて整備していこうという計画は、間伐率約30%という進捗で、後述する同地のスギの間伐材をつかったグッズも既に販売されている。 そして08年8月、同じく高知は中土佐町にできた第二号の森は、70.23haという広さで、ヒノキをメインとした森の整備が行われている。 四万十川流域のいずれの森でも、間伐をはじめとする整備は着々と進められており、報告会では余分な枝木を取り除く前と後の写真が公開された。間伐後の森に光があふれていたのはいうまでもない。
カーボンオフセットの普及森づくりの一方で、モア・トゥリーズはカーボンオフセットサービスの提供にも着手している。人間の諸活動により排出されたCO2を、植林やグリーン電力などでオフセット(相殺)するというこのアイディアは、坂本代表のCD「koko」のレコーディング・製造やラジオ番組のオンエア、また女優の吉本多香美さんをナビゲーターとした「カーボンオフセットツアー in 四万十川」(ツアーで利用する全日空の飛行機利用)などで導入されてきた。 そして、モア・トゥリーズが手がけるグッズでもカーボンオフセットが実施される。通常、オフセットしたことの証明として紙の証明書が発行されることが多いが、モア・トゥリーズではTシャツやバッジといった商品そのものに、オフセットを示す独自のマークやオフセット量、シリアルナンバーなどを付け、アイテム自体を証明書にしてしまおうというのだ。 「このTシャツをつくるにあたり、●●の森で××キロのCO2を削減した」というメッセージを、たとえば都市生活を営む人々が身につけ、街へ出て行く。これはモア・トゥリーズが掲げる「都市と森との循環」という考えに合致した好例といえる。 森づくりを継続的に行うためには、その活動に資金がまわらないといけない。その資金を、森に直接たずさわる人々だけが払いつづけるというのはアンフェアな話だ。都市生活者である我々も、遠くにいてもさまざまなかたちで必ず森の恵みを享受しているのだから。 我が国の人工林の荒廃は、この不均衡な経済サイクルに問題の根源がある。いや、国内の森のみならず、地球温暖化という人類に突きつけられた大きな課題は、経済のアンバランスの是正以外に解決の方法がないのかもしれない。 続々と誕生するモア・トゥリーズ アイテムモア・トゥリーズからは、さまざまなアイテムが続々と誕生している。「木製USBメモリー」は、梼原町の第一号の森から出た間伐スギを利用しており、売り上げの10%は森づくりのために寄付される仕組みが採用された。 また伊勢丹とモア・トゥリーズとのコラボレーションとして木製アイテムがつくられ、再生素材でつくられた人気フィギュア「BE@RBRICK」や、エコの観点からオーガニック素材を用いたTシャツなども発売された。 これに、新たな木製アイテムが加わりそうである。それはベンチ。手がけたのは世界的なプロダクトデザイナーである深澤直人氏というから、世の注目が集まらないわけはない。 08年8月、深澤氏が坂本代表とともに高知を訪れたことは既に小誌でもレポートしたが、その際に深澤氏によりプレゼンテーションされた間伐材でベンチをつくるアイディアが、プロトタイプではあるが早々に具体化されたのだ。
モア・トゥリーズのこれからじつはデザイナーやミュージシャンといったクリエイティビティにたずさわる多くの人々が、モア・トゥリーズの理念に共感を覚え、そしてなにかしらのアクションを起こしたいといっているという。
環境問題の解決が簡単だとは誰も思わない。また森づくりという活動が短期的に結果をもたらすことがないことも明らかだ。モア・トゥリーズの最初の1年が終わったが、それは次章につながる重要な1ページであったこと、そしてこれからつづく息の長い活動のはじまりであることも、また事実なのである。 ![]() ふたりの賛同人によるトークショー前半のmore treesによる報告会につづき、同日の17時より文化人類学者である中沢新一氏、そして深澤直人氏、両名によるトークライブが2時間ずつ行われた。 中沢氏は港区の水と森の関係性を、民俗学の視点から考察。そしてエコロジー問題が抱える矛盾、人類の脳内革命、金融危機のメカニズムなどいった話題からガタリ、マルクスと著書でのキーワードが次から次へと紡がれてゆくその興味深い内容は、集まった多くの観客たちを多いに感嘆させた。 またデザイナーである深澤氏は、more treesのプロダクトのひとつとなる、自身がデザインを手がけた「ベンチ」を紹介。公共のものであり、かつ誰もが座るだけでmore treesの活動に参加できる「ベンチ」のデザイン論を展開。また自身の「エコロジー」という言葉の意味についても語った。 国内、そして国外へとその活動を広めていくmore trees。その明確な運動、そしてリアルなエコロジー活動に今後も期待していきたい。
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