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ヤマダユウ|Singapore
2010.08.06

「Go abroad !」

買い付け以外でバイヤーが海を渡る理由 (1)

 
前回の#12で先走って「method的シンガポール案内」の記事を紹介してしまいましたが、シンガポールに行った肝心の「TOKYO POP UP STORE - 33 days limited store by 33 creators from Japan - 」の紹介を忘れていました! 今回の記事を読んで、さらに前にもどっていただくと、理解度200パーセント(!)です。

文=ヤマダユウ

僕らmethodのセレクトによるショップをつくってみたい

今年のワールドカップの開催前に連載した「南アフリカ編」も好評とのことで、南アという国についても、治安の悪さといったネガティブな側面だけでなく、人びとのホスピタリティのすばらしさについて触れている報道を見ると、昨年実際に南アを訪れて、現地の人びとのあたたかさを感じた自分としては、大層うれしくなります。今回のワールドカップ開催を機会に、南アという国に興味をもっていただける方が日本で少しでも増えていけば、と心から願っています。

さてさて、昨年の南アだけでなく、一昨年はミラノサローネのレポートを数回にわたって掲載しましたが、僕のようなバイヤーが海外へ行く理由、それはほぼ買い付けやリサーチのためです。ただ、僕は昨年、羽田空港のショップ『Tokyo's Tokyo』を手がけたころから明確に意識していました。“空港のつぎは、海を渡った外国で、僕らmethodのセレクトによるショップをつくってみたい”と。

そのタイミングは思ったより早くやってきました。取引先でもあり、友人でもあり、そしておなじオウプナーズの連載仲間でもある、高橋理子さんのブランド「HIROCOLEDGE」さんの紹介で、シンガポールのマリーナ地区にオープンする『PARCO Marina Bay』のオープン記念イベントとして、2階のファッションフロアの1区画でなにかおもしろいことができないだろうか? というパルコさんからの相談があり、僕は迷うことなくこのお話をお引き受けすることにしました。

もちろん、自分自身や、ひいては会社のつぎなる目標に対して、その実現への欲求がギラギラしていたことも事実ですが、今回のプロジェクトにおける、僕なりの大義として念頭に置いていたこと、それはリーマンショック以降の日本国内の不景気を身をもって体感したいま、思うこと。つまり我われのような人間でも、もう日本国内のマーケットを中心にした活動をしている場合ではないなぁ、ということでした。







島国だからなのか、あまり英語がうまくないせいなのか、我われのこんな小さな業界においても、日本人のアウトプット能力は正直決して高くはないと、日々感じていました。語弊があってはいけないので、もちろん海外ですでに目覚ましい活躍をされている方も当然数多くいます。ただ、それはあくまで“点”であって、その点の集積が、線にも面にもなっていないのではないか? と感じていました。

さらには、いまの海外諸国における日本文化への関心の高さ、人気の高さは、突き詰めれば、それは日本人のアウトプットの下手さの結果であって、かつ海外の人びとへ届ける意識が希薄で、その結果小出しで、断片的な情報を、海外の人びとが受け取ることによって生まれた、ある種のオリエンタリズムに近いものではないだろうか?? 少々乱暴な解釈かもしれませんが、僕にはどうにもそう思えてならなかったのです。

また、安価であるがゆえに、お隣の中国で生産されている商品が街に溢れている昨今、商品生産における価格面などの競争力において、いわばハードの部分では、大きな意味で今後、日本は、中国やアジア諸国にはかなわないだろうことは明白だと思うのです。もちろん、その事実があるからといって、日本国内のものづくりの抱えている問題を解決しようとせず、あきらめるわけでは決してありませんが──

ヤマダユウ|method|シンガポール|PARCO Marina Bay|TOKYO POP UP STORE 09


ただ一方で、技術の高さや、こまやかさなどに代表される日本の商品生産における美徳、そしてその高い技術や細心の注意を産み出す完成度の高さに対しての飽くなき探究心、さらには、そんな日本人の想像力から産み出されるクオリティの高いデザインや、そのほかのクリエイティブな能力。僕はその部分において、日本のもつソフト力は、現在、世界でも屈指の水準にあり、今後もアジア諸国のなかで十分リードしていくに値する大切なものである、と考えてもいます。

だからこそ、漫画やアニメなどに代表される、そんな日本人がもつソフト面での価値を、ファッションやデザイ ン、アートなどより広いジャンルから、“点”としてではなく、ある程度の集積をもって“線や面”として積極的に世界へ、とくにアジア諸国へ輸出していくべきではないだろうか? という僕個人の想いから、今回の『PARCO Marina Bay』での期間限定のショッププロジェクト「TOKYO POP UP STORE - 33 days limited store by 33 creators from Japan - 」は産まれました。


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