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2007.12.05

Glass box

光るガラスの箱

工事現場のそばを通りすがる歩行者の人たちが、「何あれ」と指差しているのを見て、「やった」とおもった。クレーンが一枚のガラスをつり上げて取り付けるのを、 子どもが祈るように、クライアント、施工者、コンサルタントの人たちと一緒にさまざまな思いで見守っていた。

建築は立ち上がろうとするときがもっとも刺激的だと思う。安藤忠雄さんがそれのようなことを言っていたような気がする。

この2年間、カナダのバンクーバーとニューヨークを絶え間なく行き来した。
コンペで勝ち、雨が多く薄暗い地で、キラキラ光るガラスの箱を創ろうとJANSONGOLDSTEINのみんなで決めてから、なれない海外の仕事の壁のうえに、法的、社会的、経済的、さらには時間的制約 が重なって悪戦苦闘した。


建築は、自分ひとりではつくれない。せいぜい図面やモデルを頼りに、「こうなるかな」と夢見るくらいが正直言うと自分たちの限界で、多くの人たちの力と助けでつくられる。自分でつくれない分、ハラハラしたり、ハガユイおもいをすることがおおく、「なんで分からないんだ」と頭をかかえ、それでも前に進んでいくしかない。

ここで創ったガラスは、ラビオリのようなかたちが三次元のパターンとなって、光をさまざまなかたちで受け取ってくれる。コンセプトデザインの時点から、世界各国のガラス屋さんと連絡をとり、デザインのみならず、強度、施工精度、ディテールなどのスタディをサンプル、モックアップで繰り返した。最終的に、建物は、不透明、透明、半透明の3種類のガラスたちで覆われ、見る角度によって豊かでさまざまな表情を投げかけてくれる。自分はとくに雨上がりのときが好きだ。水滴とガラスのパターンが2重になって光を吸い取り、静かにキラキラ光ってくれる。

ガラスが一枚一枚たされて、工事から完成へ、異物だったガラスもいい意味で街並みになじんできた。少し光り方が「薄れたかな」と思いながら、ガラスが取り付けられたときの興奮をもう一度と、またつぎの挑戦をしている。
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