2008.07.11
デザインの力で豊かな緑を──
「green auction」に参加した、建築家・石上純也氏インタビュー
「デザインの力で、この地球に少しでも緑を還元できないか」というコンセプトのもと、昨年からスタートしたhhstyle.com主催の「green auction」。hhstyle.comにて取り扱う商品に、クリエーターがオリジナルペイントを施し、オークションに出品。落札価格の全額を緑化運動に寄付するという新しい試みだ。
文=武井正樹
協力=hhstyle.com
二回目となる今回は、新進気鋭の建築家として大きな注目を集める石上純也氏が参加し話題となった。イームズの名作椅子「ラ・シェーズ」に、鉛筆による緻密なオリジナルペンティングを施し、ここに世界にひとつだけのアートピースが誕生。その製作秘話とは?
──こんかいの「green auction」に出品された「ラ・シェーズ」のコンセプトをお聞かせください
石上 「ラ・シェーズ」に描くことは最初から決まっていたのですが、もともと僕はイームズの作品の中で「ラ・シェーズ」が一番好きでした。座ってもいいし、寝転がってもいいし、足を投げて座ってもいい。そこで顔を近づけてみると、表面が丘のように見えてきたり、地形のように見えてきたんです。イームズの「POWER OF TEN(注:チャールズ&レイ・イームズ夫妻による短編映画。宇宙空間からミクロの世界までのドキュメンタリー)」のなかでも、このようなスケール感があったことを思い出しました。ならば「ラ・シェーズ」の表面を地形に見立てて、街を作ってみたらと思い、絵を描いてみたのが発端です。

──家があり、森があり、牧場には牛もいますね。見る角度や椅子の置き方によって「街」の表情は様々ですね
石上 たとえば、ここからだと森はみえる、こちらからだと街は見えない、というようなシークエンスというかランドスケープとしての空間を考えながら描きました。実際は椅子に絵を描いているんだけど、絵を描くというよりは「空間」を椅子の表面に作っていく感じに近いと思います。
──こんかいはそういった「空間」を鉛筆で直接描かれていますが、なぜ鉛筆を使ったのでしょうか?
石上 白い椅子なので、繊細な濃淡があるタッチがいいなと思いまして。また僕はもともと鉛筆が好きなんです。細くも太くも描けるし、ペンなどの均一なグラデーションよりも微妙なタッチがでますから。例えば同じ花をいくつも描くとして、意識して描くのだけど、(鉛筆でかくことで)意識しないところでひとつひとつの個性が出る。鉛筆はこんなことを自然に招くんですね。

──ペインティングも当てはまるかもしれませんが、石上さんは建築だけでなくアート寄りの切り口で語られることが多いようです。そのことについて、また建築とはどのようにお考えですか?
石上 確かに「アート」として取り上げられることはありますが、僕は建築の可能性を考える一環として、空間をつくることができるいろいろな環境を探しているのだと思います。だから、建築と切り離して「アート」としてなにか考えているということはありません。
そもそも建築とは、縮小した模型をつくり、それを元に実物を想像することからはじまります。しかし僕は模型の中にある小さな空間を眺めることも、実物の建築を眺めるのと同様に、たくさんの発見があるんです。模型は建築物の縮小ではなく、模型はただの小さな空間。実物、実際のものでなくても、小さい空間が目の前にあると思う方が、いろんな可能性があると思います。だから今回の「ラ・シェーズ」のペインティングも純粋に僕にとっては空間体験の実験なんです。
hhstyle.com "green auction"
オークション期間|2008年7月17日 - 27日
オンラインショップにて開催(http//auction.hhstyle.com)
作品展示期間
青山店|2008年7月1日 - 7月27日
問い合わせ
hhstyle.com原宿本店|03-3400-3434
hhstyle.com青山店|03-5772-1112