ポップな色づかいと有機的なフォルムで知られる人気デザイナー、カリム・ラシッド。
これまで手がけたデザインはカトラリーからハイファッションまで多岐にわたり、その数は200点以上にものぼる。またデザイナーとして、23項目からなる「マニフェスト」を掲げ、質が高く集約的な自身のデザインワークに還元していることも有名だ。
そんな彼のマニフェストの中に「フォルムは主題に準ずる。モノは主題に準ずる」という言葉がある。
カリム・ラシッドが女性用フレグランス「KENZOAMOUR」で魅せた美しいフォルムの背景に、どのようなストーリーが潜んでいるのだろうか。
文=武井正樹
a journey of love──
KENZO PARFUMSは花、水、太陽、風……と自然がモチーフにプロダクトを創作してきた。
2006年に発表された「KENZOAMOUR」は「a journey of love」(愛の旅)がコンセプトとなっている。
これはKENZO PERFUMSのクリエイティブディレクター、パトリック・グエージが、実際に、インド、タイ、中国、インドネシア、ミャンマーといったアジアの各地を、約一年にかけて旅した、その風景や記憶がプロダクトとして表現されている。一見「自然」とは思えないテーマであるが、あえて「a journey of love」を選んだ、というところにパトリックの感性が垣間みられる。
映像作家でもあるパトリックは、その世界観をコマーシャルムービーとしてフィルムにまとめている(特集扉のトップ画像を
参照)。
アジアを旅する男女とそのふたりを見守る天使のように、羽ばたく赤い鳥。アジアの旅路を彩る鮮やかな色彩やひとびとの躍動。
そこには穏やかな時間のみが、ゆっくりと流れているかのようだ。