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photo by Nicole Bachmannc / c Copyright Vitra (www.vitra.com)
2007.07.27

イームズ夫妻やジャン・プルーヴェなどの復刻家具で知られるヴィトラ。このブランドが、現在のデザイン・シーンの中でも特に個性的な15組のデザイナーを起用して発表したのが「ヴィトラ・エディション」というシリーズだ。作品はすべてリミテッド・エディション。大量生産・大量消費へのアンチテーゼともいえる、この一連のデザインが意味するものとは?

文=土田貴宏
構成=柴田隆寛


report :
コンセプトによって導かれたデザインの先端



グルチッチ、ブルレック、カンパナ兄弟、ジャスパー、深澤直人……。第一線で活躍するデザイナーたちが、市場の動向やコストなどに縛られず自由に発想したのがヴィトラ・エディション。
ある意味ではアートにちかい。しかし、これはデザインが持つ可能性を最大限に追求した成果でもある。


アートとヴィトラ・エディションの関係

毎年6月、スイスのバーゼルではアート・バーゼルという世界最大のアートフェアが開催される。現代アートを買い求める富裕層が世界中からこの街を目指し、今年は200機のプライベートジェットがバーゼルの空港に到着したという。その会期中に、バーゼルから近いドイツのヴィトラで発表されたのがヴィトラ・エディションだ。

ヴィトラは名作家具の復刻や現代の家具デザイナーによるプロダクトで人気が高いが、今回発表されたのはすべてリミテッドエディション。製品として出回ることはなく、ほとんどは2007年末までに限られたルートで1〜10点程度販売される予定になっている。近年、気鋭のデザイナーが手がけたリミテッドエディション作品がオークションやギャラリーを通して売られ、数百万からそれ以上の高値でアートとして流通することが増えた。ヴィトラ・エディションがアート・バーゼルに合わせて発表されたのも、そういったムーブメントをふまえているからだ。

ただし、その作風に注目すると、ヴィトラ・エディションは必ずしもすべてがアーティスティックとは言えない。それよりも、現在のデザインが果たすべき使命を見つめ直したものや、これからの家具に求められる新しい次元の機能性を模索しているものが多い。自由度が高いぶん実験的かつ前衛的であっても、作り手の視点はあくまでデザインであることをキープしている。たんにオブジェのような家具なら、ずっと前から存在していて、特に珍しくはない。今回のプロジェクトが特別なのは、デザインを追求する行為が結果としてアートと変わらない価値を生み出したことだ。

【参加デザイナー】
ロン・アラッド■ユルゲン・ベイ■ロナン&エルワン・ブルレック■フェルナンド&フンベルト・カンパナ■深澤直人■フランク・ゲーリー■コンスタンティン・グルチッチ■ザハ・ハディド■ヘラ・ヨンゲリウス■グレッグ・リン■ユルゲン・メイヤー・H■アルベルト・メダ■ジャスパー・モリソン■ジャージー・シーモア■吉岡徳仁


「ヴィトラ・エディション」に関するお問い合わせは、hhstyle.com(http://www.hhstyle.com/)まで。

→「8組のデザイナーのクリエイションを探る」に続く。
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