edra ミラノ市内の<edra>のショールームで発表された、フランチェスコ・ビンファーレのソファ《Sfatto》。張り地となるテキスタイルのサンプルが大きな壁面を彩る。
2011.06.02
Salone Internazionale del Mobile|ミラノサローネ国際家具見本市 2011
川合将人のミラノサローネそぞろ歩き 前編
ミラノを舞台に家具やインテリア製品の新作が一挙に発表される、世界最大の家具見本市「ミラノサローネ」。
インテリアスタイリスト&ジャーナリストとして活躍する川合将人が前後編の2部構成に分け、
2011年のサローネで体感したことを、昨年に引きつづき独断と偏見を多分に織り交ぜながらリポートします。
写真・文=川合将人
テキスタイルに焦点をあてた展示が目白押し
まずは全体的な感想としてすぐに頭に浮かぶのが、椅子やソファの張り地、ラグやブランケットといったテキスタイルに特性をもたせたものだ。
「TALKING TAXTILES」と題したリー・エデルコートのキュレーションによるエキシビジョンが開催されていたこともあるが、
家具に使用されるテキスタイルの見本を壁面にずらりと並べて見せるブランドが、とにかく多かった。
TALKING TAXTILES テキスタイルを使った革新的なデザインを集めた企画展。手前はブラジルのロドリゴ・アルメイダの椅子。
eumenes トルトーナ地区で発表された、イタリアの家具ブランド<eumenes>の会場入り口。ナイロン生地が青空に映える。
eumenes パオラ・ナヴォーネによるチェア《Eu/phoria》。スチールワイヤーの脚はシェルの座面を支える構造体にも。
なかでも印象的だったのは、市内の<edra>のショールームで展示された、可動式の背もたれをもつフランチェスコ・ビンファーレのソファ《Sfatto》。
ここでは、張り地に使用される生地見本を地下フロアの壁面を使って大量に見せてくれた。英国伝統のチェスターフィールドのソファを、これでもかといういくらいラフなフォルムに仕上げたような造形。不定形な背もたれや座面の感触は非常に柔らかく、どっしりというよりは軽快な座り心地を味わえたのが忘れられない。
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Established & Sons エスタブリッシュド&サンズの展示会場。ロナン&エルワン・ブルレック兄弟やコミッティーなども新作を発表した。
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そして注目なのが<eumenes>というあたらしいブランド。今年はパオラ・ナヴォーネと、ジャン-マリー・マソーの2人がデザインした椅子とテーブルを披露した。
ナヴォーネの椅子《eu/phoria》は、クルマの内装などで使われるアルカンターラやショッピングバッグに使われるナイロンの生地をシェル型の座面に圧着したもので、
カラーや柄のバリエーションも多く揃う。商業施設のカフェなどの内装仕事があればぜひとも納品してみたい椅子だ。
また、イギリスの<Established & Sons>発表の2つもテキスタイルに特化した新作として興味深かった。
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ひとつは、Klaus Haapaniemi & Mia Walleniusがデザインした円形のラグマット《Volcano》。火山が噴火し隕石が落下しているという、かなりインパクトのある風景が柄になったものだ。そしてもうひとつは、コンスタンチン・グルチッチのアームソファ《Cape》。ソファ本体にケープを被せるように、付属のカバーを上掛けしている。季節に応じたカバーを選んで使えるというものだ。しかしこのデザイン、イタリアと日本の家具デザインに精通している人間なら、誰でも昨年に惜しくも他界されてしまった建築家の高濱和秀による名作ソファ《Mantilla》を思い出すことだろう。
コンセプトはほぼ同一だが、ステッチやパイピングの処理などをほどこし、よりカジュアルに現代っぽくアレンジされたものとして、グルチッチの《Cape》も充分に魅力的だ。
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Established & Sons コンスタンチン・グルチッチのデザインしたアームソファ《Cape》。一人掛けと二人掛けが揃う。
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Kazuhide Takahama 高濱和秀のデザインしたソファ《Mantilla》。1974年のサローネで発表され、製品は現在もシモンジャパンから発売中。
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高濱和秀のデザインといえば、<Cassina>のライティング部門である<NEMO>のラインナップに、伸縮性のある生地をシェードに使った照明<KAZUKI>がくわわるなど、
テキスタイルブームに乗って世界的な再評価がされていることもつけくわえておきたい。
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