2009.05.29
ヤマダユウの「ミタヨサローネ」
2009ミラノサローネ観てある記(2)
前回に引きつづき、今回はミラノサローネの模様をさらにお伝えしようと思う。ただ、実際の開催時期からは幾分時間が経っているので、主な展示の様子はその他のレポートで十分情報は得ることができるだろう。
というわけで、ここは僕の完全な独断で、気になった場所やモノ別にとりとめもなくピックアップしてみよう。
写真・文=ヤマダユウ
ヤマダユウの気になったモノ
各会場で発表されているプロダクトの「強度」みたいなものは、もちろん平均レベルが高いのはいうまでもないことではあるのだけれど、正直なところ、日本国内で生まれる優秀なプロダクトも、質の面ではまったく劣らないと客観的に思えたし、その確認が今回自分の目でできたことはいい経験だった。さらに、全体としては個々のモノがもつ「強度」については、いまだオランダ勢、イギリス勢が力強い印象。あくまで個人的な私見だけれども……。
ドイツの家具レーベル「e15」
まずは、ドイツの家具レーベル「e15」のStefan Diezデザインのチェア「HOUDINI」が、僕のなかでの今回の最優秀プロダクト。まず構造がとても興味深い。もちろん美しいことはいうまでもない。さらには、ストイックなデザインにビビッドなオレンジのカラーパターンを展開するなど、センスの良さが本当に隅々まで感じられる。また、Philipp Mainzerのサイドテーブル「HABIBI」もキレイだった。
オランダの「Maaten Baas」
デビュー作「SMOKE」の衝撃が記憶からなかなか離れない、オランダの「Maaten Baas」は、「時間」をテーマに、なんと映像作品を発表。自分も「Nooka」というプロダクトで時間という概念の表現には普段から接しているだけに、デザインという文脈から生まれた「時間」のさまざまな表現方法に興味を覚えた。ファインアートで類似した表現はあるといえばあるのだが、ゴミの集積で分針と時針を象って、ひたすら12時間人力で動かしつづけ、その模様をリアルタイムでカメラを回しつづけた根気には頭が下がる。
本会場フィエラ内の「e15」のブース
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Moscova地区で開催されたEstablished & Sonsの会場の風景
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オランダのレーベル「moooi」
いつもド派手な印象のオランダのレーベル「moooi」も、今年はギュッと締まった印象。イギリスのデザインチーム・Freshwestのプロダクトが完全に個人的な好みで目を引く。彼らの「Lazy Chair」や「Brave New World Lamp」は、理由もなくただ好きとしかいえないのである。また、Raimond Puts in Association with OX-IDのLED照明も美しかった。
Melitalia
最後はイタリア代表ということで……。Melitaliaから発表されていた「Gaetano Pesce」のソファ「Montanara」。大自然のパノラマを感じさせるリアルなテキスタイルプリントと、山水の大胆な構図、そして山脈そのまんまの不規則なフォルムをもったソファ。最高。
ヤマダユウの気になった場所
各会場の場所自体の天井高や空間、周囲の環境、そして場所がもつ雰囲気が良いのはいうまでもないのだが、発表するモノを演出するためのデザイナーの起用、ブースや什器などのつくりこみ。そもそもの「見せる」行為に対する各メーカー、レーベルの力の入れよう。
僕個人の感想では、それこそがミラノサローネの最大の強みであり、違いともいえる。この点において、今回の旅では非常に学ぶべき点が多かった。
「Richard Ginoli」
またもや独断と偏見で、今回の最優秀会場は、トルトーナで開催された地元イタリアの老舗陶磁器メーカー、「Richard Ginoli」のインスタレーションに決定。大規模な会場で、工場を再現したようなディスプレイ。会場奥はラウンジとなっている。古きものと新しきもの。華やかな部分と地味な部分。モノ自体、そしてモノづくりにまつわるすべての要素を余すところなく表現し、クオリティの高い展示としてまとめあげている。そのセンスの良さにはため息が出るばかり。
Richard Ginoli@Taste Longeの様子
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Richard Ginoli@Taste Longeの様子
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イギリスのレーベル「Established & Sons」
例年通りミラノ市街の中心部の会場で開催された、イギリスのレーベル「Established & Sons」の展示風景。今回は大量の間伐材を使ったドーム状の構造物をブースに、多数のプロダクトを発表。いい意味でのラフ感と抜け感。圧倒的な物量による迫力。この時代のテーマに合致した素材。秀逸。
「Studio Job」
最後に、京都のお寺でモダンなプロダクトの展示をしたいとは、僕も当然思ったりもするので、これはある意味、反則技ということでいちゃもんもつけられるし、一方で、ただただ羨ましいともいえるのが、教会内を会場にした「Studio Job」の展示。2階では思わず「そのまんまじゃねーか!」とツッコミすら入れたくなる、「Last supper」と銘打たれたテーブルウェアを、代表作「Paper Furniture」に収めて展示。
1階では巨大なステンドグラス2種類と、これまた大きな鉄製のテーブルウェアをモチーフにしたオブジェを発表。会場を後にして建物を見上げると、教会の窓にはめ込まれていた無色のステンドグラスの存在が、作品自体の色彩との対比で妙に印象に残った。深読みすぎるとは思うが、万が一ここまで計算していたら凄い。
さて、次回の連載が、今回のレポートの最後となるが、ミラノサローネに出展していた日本のメーカー、デザイナーの動向と、今年のサローネの自分なりの総括をしたいと思っている。お楽しみに。
ヤマダユウの「ミタヨサローネ」
2009ミラノサローネ観てある記(3)につづく
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