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2008.04.23

特集 | 日本のプロダクトデザイナー
河内和徳さんと民藝 (後編)

カンナで力強い家具をつくり続ける河内和徳さんと、ランドスケーププロダクツ代表の中原慎一郎さんとの対談。おふたりの創作の背景にあるものをうかがいます。モノをつくることで見えてくる、これまでの民藝のあり方、そしてこれからのあたらしい民藝のあり方とは?

まとめ=加藤孝司
協力=Landscape Products



モノづくりの根源へ

河内 シェーカーの家具には影響を受けました。それとエチオピアの家具が好きでしたね。そのふたつを自分のなかで融合させました。

──シェーカーというストイックなものと、エチオピアのプリミティブなものは、河内さんのなかでどのような化学反応を起こしたのでしょうか?

河内 精神面で非常に強く作用しましたね。古いエチオピアの家具はもの凄くシンプルでいいんですよ。

──中原さんは河内さんの家具の作為のないところに惹かれた、とおっしゃっていましたが

中原 こういうのをつくりたいんだというのもよく分かるし、それに挑んでいるところがいい。

──そうやってアウトプットされたものは、シェーカーともちがうし、どちらかというと中国の古いものに似ているところもありますね
中原 アフリカのプリミティブなものにもちかいですね。ディテールにしてもカタチにしても、作り込みすぎずに、あるところで止められるのがすごい。つくり手としての自分としては、まだ触りすぎてしまうところがあるから。

河内 でも、一度はとことんまでのめり込むことも大切だと思います。行くところまでいかないと見えてこないものもあるから。

中原 一度はね。でも家具をつくる人は40代後半くらいになるといいモノづくり出しますよね。ぼくらはまだ若すぎますよね。

河内 売れるもの、っていう考えはわかりませんね。それよりも日々精進して、クリエイトしていくほうがギンギンになります。使えるものをつくりたいという、精神的に。

中原 民芸なんかも毎日つくり続けることが大切だったりしますからね。つねにおなじものを作っているがゆえに技術が磨かれていくという。釉薬のかけかたにしても毎回やっている人がいちばん上手。習慣ということです。

河内 そのへんをぼくは音楽から教わっていますね。ライブも数をこなすとなると一回一回がどうではなくて、いまがベストな、力の抜け出るフィーリングがいちばん大事で、調子が悪ければ調子が悪いビートをつくりあげる。それがバンドの醍醐味ですね。

──今回の作品はランドスケーププロダクツの別注になるのですか

中原 いや、これはもともと河内くんの作品であったものです。色は特別にお願いして黒を作ってもらいました。

──黒に使われた塗料のベンガラとは顔料ですか

河内 顔料ですね。黒ベンガラです。岡山の特産でもあります。

中原 ベンガラって表現の仕方にしても、日本の色の呼び方っていいですよね。イメージが浮かびますね。



ぼくらの民藝、そして地方の時代へ

──今までの民藝のありかたをどのようにとらえていますか

河内 頭でっかちになってしまっているように思うんですよ。

中原 当時をリアルに知っているわけではないけど、いまぼくたちが好きなものを前に置いて、良い、悪い、って盛り上がってるのと基本的に一緒だと思うんですよね。コミュニケーションのうえに生まれたものだと思います。

河内 でも、柳宗悦氏はすごかったですね。やっぱりあの着眼点は素晴らしいと思いますよ。音楽でいえばビートルズがいなければいまのロックがない、ってくらいに影響力は大きいと思います。民藝という言葉でうんちくたれたらややこしいですが、やはり好きですね。大事な精神面ですね。

中原 日常にモノを見たり選らんだり、つくっていく上では重要なシステムのひとつですね。

河内 もう普通のことです。日常生活とおなじことです。

中原 もうデザインという言葉と一緒ですよ。モノをつくったり見たりするうえでの解決手段のひとつ、民芸という方法論です。

河内 民藝運動以降、それに類する運動は起きてきていませんよね。やっと最近だと思いますよ、当時の民藝の見直しを含めて。これからは絶対、地方が面白いと思います。

中原 それと当時とちがうのは、あのころは民藝といえば工芸に限られていたけど、いまはファッションをふくめ、あらゆるものをそういった視点でくくることができます。

河内 諸先輩方は若いものは、と思っているかもしれませんが、間違いなくいまの若い連中はセンスがいいですから。日本らしい日本人のつくる、静かなプロダクトが必ず出てくると思います。海外から日本に来た人が、日本っていいわ、って時代になることは確かだと思います。いままで少し無駄なことをしてきたけど、かならず良くなりますよ。





河内 和徳

1971年岡山県新見市に生まれ。1994年大学卒業後、木工を始める。1995年京都の彫刻家 松崎勝美さんプロデュースのもと製作。2000年 岡山県へ戻り家具の製作を続ける。2007年Design Tideに参加。民藝の考えかたに共鳴したモノづくりで、あたらしい民藝ともいえる日常に根ざした道具を作り出している。




中原慎一郎

1971年生まれ。ランドスケーププロダクツ代表。千駄ヶ谷にてオリジナル家具、雑貨を販売するshop「Playmounatain」、庭をテーマにした喫茶店「tas yard」、印刷サービスの店「papier labo」、広尾に子供用の服や家具を扱う「CHIGO」を展開する。その他店舗、住宅のデザイン設計施工も行っている。
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